617話 防壁とペンダントの許可申請
防壁とペンダントの許可申請
トントン「ララです。」ドアが開き、ハンスが出ます。
「お屋敷の防御に付きまして、
ご主人様にご報告と許可を頂きにまいりました。」
『少し待ってください。』
ドアが閉まります。ご主人様に許可を貰いに行ったのでしょう。
直ぐにドアが開き、
『ご主人様の許可が下りました。お入りください。』
ハンスもだいぶ慣れた様です。中に入り、ご主人様に礼をして。
「お忙しい所お時間を頂きありがとうございます。
今日はお屋敷と、オクタの街の防壁に付きまして、許可を頂きに参りました。」
ご主人様が呆れた様に
『ララ、今防壁といったね、私の聞き違いでは無いね。』
「はい、防壁です。お屋敷は高さ7m、オクタの街は高さ5mを考えております。
更に、魔力石刻印魔法によるバリアも加えたいと思います。」
『どうせお前が遣るのだろうけど、費用だとか人員だとかで
結構物入りに成ると思うが、そこはどうするんだい?』
「はい、私と眷属たちの土魔法で行います。余裕を持って、広めに囲みます。
ご不便はお掛け致しませんので、ご了解願えませんでしょうか。」
ご主人が左手で眉間を押さえながら、
『ララ、そこまでする必要が、危険が迫っているのかい?』
ララがちらりとセバスチャンとハンスの方を見ます。
ご主人様が穏やかな声で、
『大丈夫だよ、此処で見聞きした事は、そのドアを出た途端に忘れるからね。』
セバスチャンとハンスは無言で立って居ます。
「分りました、最近、クーヘンの森の近くに有りましたダンジョンを
調べました所、その近くの三つのダンジョンから、
魔力を集めている装置を発見致しました。
調査の結果、 行っていたのは魔国の貴族の手下、魔法使いゲネメです。」
「前回もスタンビートを起こす準備を行っていた所を潰したばかりですが、
またもや、スタンビートの準備を行っていたと考えられます。
現在は、これ以上の事は不明ですので、
今は何が起こるか分からないのが現状です。
その為、防御の準備だけはしておきたいと思います。」
「それから、お屋敷の皆には此方を首から下げる様にご主人様から、
お渡し願えませんでしょうか」
転移様パンダント、男女各20こをとりだし、ご主人様に渡します。
AIマスターが一個づつケースに入れてくれました。
『ララ、これは?』
「はい、緊急転移用のペンダントネックレスです。
先日、ご主人様、奥様、ルビ様に御渡しした物の劣化版です。
命の危機と判断された場合は、強制的に門前のお屋敷に転移されます。
自分の判断での移動は出来ません。」
ご主人様が、一つ取り出し、持つと、
『おっ、ずいぶん軽いね、銀では無いのか?』
「はい、特別な金属で微細な装飾を施して有ります。
ヴラド家の縁者としての証にも使えるかと思いまして、
少し手の込んだ物にしてみました。」
『ほぅ、表が我が家の紋章で、裏が屋敷か、
しかも微細な金細工だね。これほどの物は見た事が無いね』
「如何でしょうか」
『良いね、全員肌身離さず身に着ける様に、明日にでも配ろう。
だが、各20個は多いが?』
「残りは予備として、あたらしい使用人が増えた時に
ご主人様からお渡しください。」
『分った、そうしよう。』
「皆にお渡しする時は、少しだけ魔力が上がる物、
と言う事を申し上げても宜しいかと思います。」
「お屋敷の使用人たちの魔力でしたら、
1割程度は上がるかと思います。」
『それはすごい。』
次話:ペンダント型魔力上昇魔道具の注文




