研究所
研究所-----
待機していたナースアンドロイドに鳥の巣を預け、
「練り餌を上げて、
病気やケガが無いか検査してから暖かい部屋でゆっくり休ませてあげて」
それを伝えると、子狐を抱え、診察室へ。
診察台に子狐を載せると、ドクターアンドロイドに
「各部検査と治療は勿論だけど、この子の親と兄弟の遺体を持って来たから、
能力向上に使える物が有ったら移植してみて。」
と言って、子狐を預け、親と兄弟の遺体は隣の診察台に乗せます。
内ポケットにしまってあったポーチから蛇の卵を出し、ナースアンドロイドに
「この卵を孵して。」と言って預けます。
ナースアンドロイドは、卵に手をかざすと少し魔力を放出、検査している様です。
しかし、ナースアンドロイドは首を傾げ、
手に平を見てからもう一度魔力を放出すると、あきらめた様に手を戻し。
『この卵は、無精卵の様です。孵る事は有りません。』ですって。
「が~~ん!!。蛇母さんに助けると言ったのに・・・。」
少し考えると、「この卵、まだ生きているよね!」
『はい、生きてはいますが時間の問題かと』
「他の子蛇が卵から孵っていると言う事は、二ヵ月位経っているはず。
それでも腐らず、生きているのは、何か特別な卵では?」
ナースアンドロイドが驚いて目を丸くしている
『それは、ありえない・・・』
「もう一つの可能性は、他の卵か、新しく産んだとか・・・。
蛇母さんが大事にしていたのなら絶対孵るはず」
「だから何とか孵して。
カエルの卵も針先でつつくと分割を始めると聞いたことが有るわ」
「兄弟蛇と、母蛇の遺体も持って来たから、
衝撃、DNAの移植、なんでもいい、何とかしてこの卵を孵しましょう」
「最悪、クローンでもしょうがないっか・・・」
「とりあえず、子狐と蛇卵、
小鳥三羽は私の手を離れたと。心配だけどしょうがないし・・・。」
「最後に杖だけど、
他の人に任せるわけにいかないし、私は回復モードに入るからなぁ」
「仕方がない、
余裕が出来るまで、近くに置いて、時々魔力を入れておくしかないか」
応接室を小さくしたような個室に向かう。
ゆったりとソファーに座ると傍に待機していたナースアンドロイドに
「私の回復スケジュールに付いて相談したいから、マスターAIに繋いで。」
と、指示を出した。
出されたお茶を飲んでいると、ピシっと黒の燕尾服を着こなした
40歳代くらいの細身の男性が入って来た。
「相変わらず、かっこいい端末だねぇ。」
AIマスター、の動ける端末で有る、執事服の男性アンドロイドが、
《有難うございます。
改めまして、ご主人様、無事帰還おめでとう御座います。》
「そうでもないよ、
緊急退避LV9だから、今まで積み上げた物が全部無くなったからなぁ」
「記憶も経験も、もとに戻すのに手間も時間もかかるだろうしねぇ」
「緊急退避LV9の原因は分っている?」
《はい、大体把握しています。》
「この件については、事件の背景も含め、
出来る限り、情報を集めて。勿論、私の行動も含めてね。」
「アンドロイドやクローンを冒険者に仕立てて情報収集してもかまわないし、
経費も必要経費として制限なしにするよ。」
「とりあえず、この件は任せるとして、私の回復助スケジュールはどんな感じ?」
《はい、まず、
魔力の回復と同時進行で各部検査、退避前との比較検証に一週間。》
《その後記憶を戻しながらスキルや技術、体力を付与していきます。
これも一週間をスパンとして行う予定です》
「一週間に一回お休みが有るのね。」
《はい、休みは一日取りますが、カプセルに入る為、
回復中は会話等が必要な場合を除き。殆ど通し、外部に連絡出来ません。》
「確か、スキルや技術、記憶も疑似体験しなければ成らないんだよね。」
《はい、睡眠も疑似体験中に取ります。》
「そうか・・・。それじゃあ始めようか。」
REVERSEと書かれた部屋に移動。
裸に成って、龍玉物語の治療カプセルみたいな物に入る。
(「これ、気持ち悪いんだよねぇ。
ウンチとおしっこ取るのに管突っ込まれるから・・・。」)
「うッ!。来た!」
口に酸素供給マスクを付けられる。
しなくても良いのだが、慣れないと溺れる恐怖感が有るので最初だけ付ける。
(「マスクは眠った後で外されるんだよね。
肺も胃も液体で満たされるけど問題無いんだなぁ。どう言う仕組みなんだ?」)
と思った瞬間に眠ってしまった。
次話:子狐