583話 草原のダンジョン
草原のダンジョン---
(「最初に草原のダンジョンに行くよ、情報頂戴。」)
《はい、》
座標データと映像が送られてきました。
「此処は。クーヘンの森の手前ですね。」
お屋敷とクーヘンの森を結んだ直線より北に数キロ外れてます。
〔テレポート〕飛行しながら探ってみると、
北側に入り口が有ります、これじゃあ分りませんね。
ゆっくり降りてみると、地面に割れ目が有りそこが入り口の様です。
「狭いですね。服が汚れます。ここを通れば・・・。」
「抜けました。わぉ!本当に、絵にかいた様な草原です。
これはこれで綺麗ですね。タマ、出て」
タマを呼び出し、念話でアンナを呼びます。
(念話「アンナ来て。」『はーい』)と、目の前に現れます。
アンナ、上空から魔物が襲ってこないか、警戒して。
タマはアンナが襲われないか、警戒。
『『は~い』』タマを頭の上に乗せて、
遠くにある丘の方に歩いて行きます。
「本当に何も出ませんね。」
ずんずん歩いて行くと、アンナから念話です。
(念話『ララ様、丘の向こう側に大きな白い物が居ます。
気お付けてください。』)
(「ありがと」)暫く歩くと、丘のふもとに着きます、
回り込んで、白い塊の正体を確認したいと思います。
しばらく歩いて行くと、見えて来ました。
でっかい、小さな家程もあるホーンラビット、角兎です。
むしゃむしゃ草を食べていた様です。
ふと、目が合ってしまいました。此方を向きますが、
敵かどうか判断に困っている様です。
かなり知能が高いと見て、意思の疎通が取れるか試してみます。
私は味方で、困っているダンジョン核を助けに来たというイメージを送ります。
すると、ウサギの目から敵意が消え、のそのそと歩き出します、
時々此方を振り返るので、ついて来いと言う事なのでしょう。
こんもりとした丘に向って歩いて行き、
途中で右に回り込むと木製のドアが見えます。
ウサギがそのドアの横にたたずむと、こちらを見て何か言いたそうです。
「う~ん、此処に入れと言う事なのでしょうね。」
(念話「アンナ引き続き上空で警戒お願い。」『は~い』)
ドアをノックしますが返事が有りません、タマを頭に乗せたまま、
「失礼します」と言って、ドアを開け、中に入ると。
テーブルの上に座布団が敷かれ、
その上に直径50㎝程のダンジョン核が乗って居ます。
(AIマスター、測定器で確認します?」)
《はい、お願いします。》
送られて来た測定器を取り出し、
測定器の手を引っ張って、ダンジョン核の上に手の平を乗せると、
《このダンジョン核は賢いです。会話が成立します。》
「で、どうなの?」
《他の搾取されているダンジョン核の座標のイメージを送ると、
搾取されている者同士、龍脈を通じて交信が可能との事です。》
《本来はお互い無干渉なのですが、今回非常事態と言う事なので、
回線が繋がりました。
ララ様の動き、働きに期待しているそうです。》
《他にも同じ事で困っているダンジョンが無いか、
広範囲にコメントを飛ばしたけれども 返事がないそうなので、
これはここの三つだけが被害を受けていると解釈出来る様です。》
「じゃあ、計画としてはこの黒いお手手を一気に切断して、
蟻の巣の下の魔核を奪うと言う事で良いですね。」
《それでよろしいかと思います。》
「もう一件のダンジョンの位置を教えて、私に手を出さない事を約束させて、
ダンジョン核の所まで案内してくれるように連絡して頂戴。」
《承知致しました。》
次話:洞窟のダンジョンボス、リッチ




