536話 お父様とオーガ血鬼(ケッキ)
お父様とオーガ血鬼-
お母様がシールドの中でお話をしている間、私とお父さんは、
『ララ、あの畑、誰が手入れするんだい?』
「まだ、ご案内して居ませんでしたが、
オーガの集落を三つ、眷属にしたので、戦闘訓練の傍ら、この者達に、
管理させようかと思っています。大体、大人で200人以上居ます。」
『聞き間違いで無ければ、オーガと言ったね、』
「はい、」
『どうやったらオーガを眷属に出来るんだい?』
お父さんはすごく困惑したした様子です。
「はい、最初の集落は其処の者数名が狩りに失敗し逃走している所を助けた事で、
眷属化致しました。その者達が集落に戻り、私の眷属と成ると、
力が増す事を宣伝した為、しばらくして、その集落に行ってみると、
全員が眷属と成る事を希望しました。」
「其処の者達を眷属化している最中に。他の集落の者達がビックアントに襲われ、
壊滅寸前との情報が入り、急遽、ビックアントを撃退、救出した事で、
眷属と成りました。 お父様。オーガ達の村に行ってみましょうか?」
『そうだね、一度見てみたいね。』
立ち上がったお父さんの手を取って、
「オーガの里へ入る」
「ドドル、」
『只今!』ドドルがすぐに走ってきます。
「急でごめんね、こちらが私のご主人様、ヴラド男爵様です。」
ドドルが土下座をして、
『ははっ、ドドルと申します。ララ様の下でオーガ達の
教育係をやらせて頂いております。どうぞ良しなにお願い致します。』
「オーガの教育係は、ドドルの奥さんの他に4名、計6名で行っています。
ドドル、ムービングはどれくらい進んだ?」
ドドルが正座をしたまま、
『はい、魔力循環が出来る様に成り、
スプーンを持ち上げる所まで8割の者が出来ています。』
「後で、出来なかった者達は私が見るね。
必ず全員が出来るから大丈夫だと言っておいて。」
『承知致しました。』
お父様が周りを見渡し、
『ララ、此処も広いね、どれ位の大きさが有るんだい?』
「ここと、先ほどの隠れ里は直径3000ⅿの球場の世界で半分は地下に成ります。
畑の方は直径4000ⅿです。」
『ララ、この世界は壊れる事は無いのかい?』
「永遠と言う事は有りませんが、計算では、
私が世界から消えても一万年は大丈夫です。
また、外からの攻撃には、神の存在が無くならない限り、
受ける事は有りません。
中からの襲撃、攻撃には、何重にも備えがして有り、
現在考えられる方法では破壊出来ません。伝染病などの対策も万全です。」
『今、気に成る言葉があったけど、”神の存在が無くならない限り”とは、
此処は神の身元に有るのかい?』
「はい、神の住まう宮殿の一室に置かせて頂いております。」
『・・・・・』お父様は無言で目をつむって居ます。
ララに聞くように、独り言の様に、ぼそりと言います。
『私はここで、跪かなければ成らないのだろうか・・・』
「お父様、辞めてください、私は私であって、神の使徒では有りません」
『そうか、お前がそういうのであれば、それが良いのであろう。』
思い出したようにドドルを立たせ、
『ドドルよ、これからもララを頼む。』
お父様が軽くうなずくようにします。
『もったいないお言葉です、私ごときがララ様に何か出来るとは思えませんが、
誠心誠意お仕えさせて頂きます。』
『ん、』お父さんが軽く返答して、ララを見ます。
「では戻りましょう。”隠れ里へ戻る」
ソファーに座って、軽くお茶を飲んだお父さんが、
『ララ、さっきのオーガだが、周りを歩いている者達を見ても、
普通のオーガとは違うのだが、特異種なのかい?』
「はい、私の眷属に成った事で、血鬼と成りました。
中には進化種の魔血鬼と成った物も居る様です。」
『そうかヴラドの血が入ったと言う事だね。
じゃあ、狼達もただの森林狼じゃあないんだね。』
「はい、血狼と成ります。
一匹だけ、進化種の魔血狼に成った物が居ます。」
(まったく、ボスは何をやっているんだか。)
『そのせいだね、とても賢く見えるのは』
「はい、魔力も知恵も力も原種とは比べ物に成りません。」
『そうか、一国の戦力に匹敵するのか。騎士団より強いとはね。』
「お父様、比較する事に意味は御座いません。
騎士団とは争う事は無いのですから。」
『解った、分かった、怒らなくていい、特別な意味があった訳じゃない、
この戦力は秘匿しなければ成らないなと思っただけだよ。』
「はい、魔国の貴族の軍勢と戦う事に成った時に使う戦力です。
願わくば、畑の労働力で終わって欲しいです」
「近い内にクーヘン、オーガ達を襲ったビックアントや
周辺のダンジョンを調べてみたいと思います。」
『大丈夫なのかと聞く事は、かえって、失礼だな、
しかし、十分だと思った所からもう一つの対策を考える事も大切だよ。』
「はい、肝に銘じておきます。」
次話:パトラが眷属?




