534話 魔国の脅威と現状--
魔国の脅威と現状--
「私の眷属襲撃から、襲撃者を捕まえた所、その時行方不明に成っていた眷属、
ラグジュと申しますが、そのラグジュの昔の部下だった事、
言う事を聞かなければ、捕虜のラグジュを殺すと脅されたので仕方なく
言う事を聞いたと言う所まではお話したかと思います。
その捕まえた元部下、ライナと申しますが、
魔国に潜入する方法を知っていた事から、私の眷属、精鋭たちと一緒に、
潜入し、救出する事が出来ました、
その時、ライナの仲間たち、ラグジュの元部下たちの話から、
魔王は暇で退屈に飽きてしまい、勇者も来ないなら、寝ていた方がましだ、
内政を部下に丸投げして、ずーと寝て10年に一度起きて、
部下がちゃんと働いているか、確認し、また寝るそうです。
しかし、ここ15年程魔王は起きて来ないそうです。
魔王を起こす為には、公爵クラスの大貴族がそれぞれの特徴のある魔力を
何らかの形で魔王に注がなければ成らないとの事でした。
魔王が起きなくても内政がちゃんとしていれば良いのですが、
何やら、ここ数年で貧富の差が激しくなり、止める物は貴族や金持ちばかり、
平民は仕事も減り、貧しくなっているとの事。軍隊も、給与、待遇が悪く成り、
不満が募ってきているそうです。そこで最近ささやかれているのが、
人間の国、世界への進出です。
魔国では魔獣が居ない為、魔石が取れません。
秘密裡に、人の世界との貿易で入手しております。
人の国の大手の商社、私が掴んだのは、
王都のフェルゼン商会に魔国の手下が入り込んでいる事です。
人の世界に進出すれば、こそこそと魔石を集めなくても、
大手を振って収集出来ます。
もし、魔王がこの事を知れば、関わった物は全員粛清される事は明らかです。
理由は分りませんが、魔王は神々と交わした不可侵協定の盟約を反故にする事は
出来ない様です。したがって、魔王は今後も起こされる事は無いと思います。
では、何故ヴラド男爵様が魔国の連中に狙われるかと言うと、
原因はルビ様に有る様です。
ルビ様は魔力が高く、しかも精霊に対する親和力が突出しています。
更には五元素全てに適性を持ちます。
この為かどうかも、どの様にするのかも分りませんが、
ルビ様の魂を用いれば強い力が得られ、
人間界進出に有利に成ると考えている様です。
なので、最初にルビ様を捕らえ、
後に人間界に進出と言うのが魔国側のシナリオかと思います。
方法としては、ダンジョンに何かを仕掛け、スタンビートを起こさせる、
魔物に群れに襲わせて、混乱に乗じてルビ様を攫う計画かと思います。
スタンビートの件は、規模は小さいですが、
実際に起こし、ているのを確認しております。
しかし、魔国に有りましたその装置を回収した事で、
しばらくは大丈夫だと思います。
この装置、とんでもなく貴重な素材が必要で、
再度作るにはかなり時間が掛かると言う事を盗聴しております。
ただ、ダンジョンはクーヘンの森にもあり、
今の状況では、何処に出現してもおかしくない状況です。
おそらくですが、王国の騎士団や冒険者を合わせても、
魔国の軍隊には勝てないと思います。
彼らは魔法剣士です。剣を5ⅿも伸ばして振り回したり、
バリアーで体を守り、 ファイヤーボールを打ちながら剣を振る相手に
騎士団や冒険者がかなうとは思えません。
今、この魔法剣士に対応できる者達を育てている最中ですが、
一ヶ月程かかると思います。ですので、現状は全てを捨てて、
どの様に命を守るか、と言う事を優先して考えております。」
以上が魔国の情報と現状です。
『ふぅー。』ご主人が大きなため息、
奥様はソファーに埋もれたまま目をつむって居ます。
『何か、とても現実味の無い、壮大なお話を聞いている様だね。』
「この御話は、誰にも話さない方が宜しいかと思います。
絶対信用してもらえませんし、 ご主人様が変人扱いされてしまいます。
その時どうするかと言う事を心にとめて置いて頂ければありがたいです。」
「私も、此処までお話したのですから、
色々と頼らせて頂きます。宜しくお願い致します。」
次話:私の真名はルビ・ヴラド




