532話 ララの隠れ里に-眷属達の観閲式--
ララの隠れ里に-眷属達の観閲式--
『ララ、言いたい事は分ってる。今回だけ、奥様と一緒に行かせて。』
「分かったわ、でも、他の子には絶対内緒ね。」
『うん、誰にも言わない』
「じゃあ、これ持って居て。」パトラにショートスティックを渡します。
「これで私の承認を得ている事に成るから、忘れないでね。」
本当はこんな物無くても良いんですけど、
特別な事をしているんだと言う意識づけです。
でもこれから、何かあったら、こんな事も良いですね。
「では行きましょう。」皆で屋敷を出て、門に向います。
門番の前に来ると、
「ヴラド様ご一家、並びに客人パトラ、屋敷の前に行きます。」
門番二人が声を合わせて、『『承知した。』』
「さぁ、行きましょう、この靄の中を通ると目的地です。」
靄の中を数歩進むと屋敷の前に到着です。
『らら、これは、家の屋敷とそっくりだね。』
「はい、似せて作りました。私の大好きな家です。」
と、ドアが開き、クヌギがご挨拶です。
『ヴラド男爵様、わたくしがこの館の執事長の任を授かっております、
クヌギと申します。何卒お見知りおきの程お願い申し上げます。
歓迎いたします。どうぞ中へお入りください。』
奥様がポカンと屋敷の中を見ながらメイド達が整列した中を進みます。
ご主人様はこめかみにお指を当て、眉間にしわを寄せて、進みます。
『では、応接へ・・・』クヌギの話の途中で、
「まって、皆を展望台に案内するわ、」そう言うと先頭に立ち、
二回に上がり、展望台に向う階段を上がります。
ドアを開き、展望台に上がると狼広場が見える方に移動します。
『みんなー!ご主人様が来たヨー!!』
と言うと、狼達が出てきて、親行進をする様です。
おっ、先頭が空に上がっていきます。
立体的にアーチ状に整列すると、真ん中をベリアが前に進みます。
空にはカラス達がトルネード上に舞います。ベリアが止まると全員が上を向き、
ベリアがグオォオーンと一吠え、次に狼達の大合唱と成ります。
ご主人様、奥様、パトラが、口開いてます。
「ご主人様、手を振って上げてください。
みんな、ご主人様に褒めてもらいたいのです。」
そう言うと、ご主人様がはっと気が付き右手を高く上げ、手を振ります。
そうすると狼達が上の方から三匹づつの小隊にわかれ、
カラス達と一緒に空中パフォーマンスです。
ご主人様がびっくりを通り越して、真面目な顔で、ララに聞きます。
『ララ、お前は何処と戦争をするんだい?』
「私は、魔国が攻めて来ても負けない、
殺されない戦いが出来る様にするつもりです。」
『ご主人様、後ほどお話させて頂ければと思います。』
ララも真剣な顔でご主人様に向います。
(「現状分って居る事を全て、お話しなければ成らない時が来た様です。」)
『ララ、ララ、ベリアンもあそこに居るの?』
ルビちゃんがベリアンを探していますが、見つからない様です。
「ベリアンは、家の中から、
お兄さんやお姉さんたちが活躍するのを見ていると思いますよ。」
「もう直ぐ観閲式も終わりますから、
そうしたら、狼達の所に行くといいですよ。
パトラ、ルビちゃんに付いて行って、』
(念話「パニエル来て」『はい、只今。』)
パニエルがテレポートでララの元へやって来ます。
「パトラ、この子はパニエル、狼達全体のリーダー。
この子に付いて行って。」
「言葉は分るから、何か有れば私を呼ぶように言って頂戴。
ルビちゃんもベリアンのお母さんに付いて行って、」
『ベリアンと遊んできて良いのね』
ルビちゃんがご主人様と奥様を見ます。二人が頷いたので、ご機嫌です。
『パトラ、一緒に行くよ。』ルビちゃんが、駆けだそうとするのを、
パニエルが前出て、行く手を押さえます。
”ワゥ”走っては駄目とでも言っている様です。
パニエルがお座りをして、背中を見せると、ルビちゃんが
しがみつきます。そのまま、速足位の速度で、外に出て行きます。
パトラは結構全力に近い走りですね。少し同情します。
「ご主人様、奥様、もう一か所、見学して頂いてから、
屋敷に帰って、魔国の現状を説明したいと思います。」
『解った、今度は何を見せてくれるのかな?』
次話:ララの隠れ里に--農場の里---




