529話 奥様への報告-ラグジュの救出
奥様への報告-ラグジュの救出
『それで芋の話は分かったわあなたの眷属襲撃の件と
ルビが騒いで居た事だけど、狼達どこへ行ったの?』
「はい、ご心配なく、狼達みんないますよ、
後から、ご主人様と一緒に行きましょう。」
奥様が驚いた様に
『え?主人と一緒に?あの人が行くと言ったの?』
「その承諾は頂いておりませんが、結局いく事に成ると思います。」
『何か悪だくみしていそうね。』
「そんな、奥様、私の様な天使の如き無垢な娘を捕まえて、
小悪魔の様に言われては可哀そうです。」
奥様が両眉の上に指を当て、笑いをこらえています。
『久しぶりのララ節ね』
パトラが、きゃっきゃと笑いながら
『奥様、ララ節、最高です。』
(これ広まりそう。)
『ララ、眷属襲撃の話を聞かせて。』
奥様がうずうずしている様です。
「はいそれでは、眷属襲撃の情報を貰ってから、逆に襲撃者を捕まえて、
情報を吐かせる事にしたんですが、捕まえてみてびっくりです。
その時、行方不明に成っていた、私の眷属、ラグジュと申しますが。
そのラグジュの昔の部下でした。
事情を問いただしたところ、ラグジュが囚われ、
言う事を聞かないとラグジュを殺すと脅されたことから、
やむなく犯行に及んだとの事です。」
「ラグジュは、魔国の貴族に囚われているとの事でしたが、
捉えた者の話によると、私も、そこに行く事が出来ると分かったので、
魔国に救出に行き秘密裡に助け出す事に成功いたしました。」
「そこまでの情報収集で分かった事なのですが、
魔国の上級貴族、まぁ悪魔ですが、
魔王に知られぬ様にして、
何やら人の国に悪さをしようとしている様です。」
「取りあえず、魔国での情報収集が出来るように手はずを整えてから、
こちらに戻って、予想される攻撃の対応と戦力の増強に努めておりました。
以上が事のあらましでございます。」
奥様が”ふぅ~”とため息をついて、
『ララ、まるで、誰かが作った物語を聞かされているみたいだったわ。
それ、本当の事なんでしょ。』
「もちろんでございます。旦那様にも同じことを言われました。」
『でも、魔国が此方に侵略するつもりなら、
王国に報告しなければまずいんじゃない』
「いえ、確定的な証拠も有りませんので、
こんなことが起こりそう的な情報としてしか話せません。」
「それに魔国の話も出来ません。
太古の昔、神と悪魔との話し合いにより、相互不干渉の掟が決まった為、
今では魔国の存在すら絵本の中です。」
『ちょっと待って、それは神話、聖書の天地創造、創造神カイルス様と
魔王との戦いのお話よね。あなた、それが真実だと言うの?』
「はい、魔国が、魔王が存在している事が解った今、そのお話は真実だったと
解釈するのが一番自然だと思います。」
奥様が不安そうに『実際に危険は無いの?』
「有ります。その対策も進んでおります。
実際に見て頂く事が必要かと思いましたので、
今日、昼食後の午後からご主人様と一緒に実際に見て頂きたいと思います。」
るびちゃんが『ララ、ベリアンには会えないの?』
「会えますよ、後で奥様と旦那様と一緒に移動した所に、みんな居ますよ。」
機嫌が直った様です。今度は奥様が不安そうに、
『らら、それは遠いの?』
「う~ん、近くて遠い所です。」
次話:奥様への報告-果物




