528話 奥様への報告-サツマイモ
奥様への報告-サツマイモ
ノックをして、「ララです。」『お入りなさい。』
入ったとたん、奥様にハグされました。
『よかったわ、無事に帰って来れて、毎日本当に心配したのよ。』
奥様涙目です。私もつられて涙目になってしまいました。
自分の事を損得なしに、
心から心配してくれる人が居ると言うのは何て嬉しい事でしょう。
「有難うございます、ご心配をかけて、真に申しわけ有りません。」
「奥様から、お預かりいたしました、
守護の短剣、守ってくれたと感じました。」
ララがマジックバックから、出かける時に奥様からお預かりした、
短剣を取り出し。両手で奥様に差し出すと、
『その剣があなたを守ってくれたと感じたなら、
その剣は、貴方に差し上げます。持っていて頂戴。』
これは有難く頂戴するパターンですね。
「はい、有難うございます。直ぐに取り出せる所に置いて、
護身刀にさせていただきます。」
『さて、何が有ったのか聞かせて頂戴、
貴方の眷属が襲われるとか言っていたけれど、解決したの?』
「はい、結構長いい話に成りそうなので、お茶菓子を用意いたしましたので、
それを食べながら、お話をさせて頂きます。」
焼き芋、タルト、わかさいもを取り出し低ブルに並べます。
リリと一緒に絵本を読んでいたルビちゃんが、御菓子と聞いて、飛んで来ます。
猫用ハウスの中で横に成っていたルルも気怠そうに頭を上げ、こちらを見ます。
奥様が焼き芋を見て、『これ、凄いわね、どうやって食べるの』
「はい、これはこのようにして、・・・」
焦げた所を簡単に取り、手で割って、差し出します。
「このように。手で食べてください。」
奥様が少し驚いた様ですが、ララがそのまま食べたので、
指で少し、むしって口に入れます。もぐもぐと咀嚼すると、
『おいしいわ~、これは癖に成るわね。』
ルビちゃんとパトラは、夢中です。これで虜ですね。
「此方の御菓子もお召し上がり下さい。」
お茶を飲み。他の御菓子も召し上がると、
『こちらは、あたらしい味の御菓子ね。
私は此方の焼き焦げが付いた方が好きだわ。』
ルビちゃんとパトラも、
『『こっち~』』といって、焼き芋を持ち上げます。
やはり焼き芋は何処の世界でも女性の嗜好品ですね。
ルルにも小さく切って焼き芋を持って行きます。
一口食べると気に入ったのか、ペロリと食べてしまいます。
『所で、ララ、これは何処から持って来たの?』
こんなおいしい物今までしらなかった事が理解できない
と言う感じでララに聞いて来ます。
「はい、これはサツマイモと言いまして、
種の発芽温度が高い為、この辺では、見られない物でした。
ここの様な気候では種からは育たない作物なのです。
それが、王都の、分邸が今度引っ越しする所に
生えていたのです。ほとんど奇跡です。」
『ララは、この作物の事を以前から知っていたのね。』
「はい、これはそもそも、南の暑い地方の作物で、
育てるにはいくつかの方法が有ります。」
「この作物は種以外にも芋や苗から芽が出て育てる事が出来ます。
その育成温度は今ここの地域より寒い地方でも、増やす事が出来ます。
しかも、この作物は肥料も水も要らないし4か月で芋が出来ます。」
「つまり、救荒作物です。今年は雨が降らない飢饉に成りそうと、
思って時に植えておけば、4か月後、他の作物が駄目でも、
この芋が出来れば餓死者が居なく成る程の物です。」
『ララ、それはとんでも無い事よ、』
「はい、旦那様にもお話しました。旦那様が仰るには、今は増やすとき、
本当に色んな所で育つか、確認する事、
国王に報告するのはそれからだと言われました。」
『確かにその通りよ、話は進んでいるのね、安心したわ、
こんなおいしい物だけど、しばらくお預けね。』
「はい、4か月後には十分頂けます。
ただし、過食は肥満の元に成りますので、お気を付け下さい。」
奥様が渋~い顔をします。
「と言う事で、私はこの芋の育成担当に成りました。」
『ん?と言う事は、ルビちゃん担当、いや、メイド服を止めて、
作業服を着る様に成るの?』
パトラが面白そうに聞いて来ます。
「あなた、私が作業服着て、土まみれに成っている所想像したでしょ。
おあいにく様、私はメイド服は脱ぎません。
土いじりをするのは私では有りません。
私は指導する立場です。ルビちゃんの担当を外れる気は御座いません。
ちょっぴり、こちらに来る頻度が減るだけです。」
『誰が畑起こしするのょ?』
パトラが言い返します。私がじっと、パトラを見ると、
『私はしませんよ、剣ならともかく、鍬なんて盛った事ありませんから、』
「大丈夫よ、鍬の握り方から、力の入れ方まで、
しっかり教えてあげるから、いっしっしっし」
『ララ、パトラをからかちゃ駄目よ』
「えへへへへ、ばれた。」
「畑起こしは男の人じゃ無けりゃね。
これは植えっぱなしでいいから、あちこちの農家に
一畝か二畝作ってもらえばそこに種芋を埋めるだけ。
それと、苗や、蔓から増やす検証もした方が良いわね。」
「特に人では要らないから、私が、ご主人様の名前を出して、
お小遣い程度の御金を渡せばみんな了承してくれるわ。」
奥様が次の話を催促します。
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