表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と闇と薬師の少女  作者: 羽牟 星
527/969

527話 救荒作物、サツマイモの報告

救荒作物、サツマイモの報告---


『もったいぶらずに出しておくれ。』

ララは焼き芋と、サツマイモのタルト、わかさいもを取り出し。

「取りあえずこれをお召し上がりください。」


ご主人が首をかしげて、休憩でもするのかな?と思った様です。

『セバスチャンお茶を入れておくれ。』

『畏まりました。』


『ララも座って、そこでお茶をしながら、話を聞きましょう。』

「はい、こちらからお召し上がりください。」

ララが焼き芋を手で割って、差し出します。


ご主人が少し驚いたそぶりを見せますが、手で受け取り、

ララの動作をまねて、焦げた所を取り、口へ運びます。

一回二回咀嚼すると驚いた様にララを見ます。


『この甘さは癖に成るな、』

「はい、今、召し上がったのは焚火の残り火で、

 その灰の中に生めて焼いた物です。」


「此方の御菓子も召し上がってください。

 今の芋をアレンジして仕立てた物です。」


『確かにこちらは菓子としての体裁が整っているが、

 それにしても初めての味覚だね。』

「ご主人様驚くのはこれからです。これは救荒作物です。


 苗を植えて4か月で収穫できます。しかもやせた土地でも良いし、

 水も要らない、収穫量が多い。ただし連作が出来ない事が欠点でしょうか。

 飢饉による死者が殆どいなく成る程の代物です。国王様に献上してください。」


ここまで一気に言うと興奮を抑える様にお茶を一気に飲みます。

ご主人様も口の中の御菓子を飲み込むと、

目をつむって、ソファーに沈み込みます。


『ララはこの作物の事を知っていたんだね、

 これはその屋敷の前の持ち主が増やそうと思っていたのでは無いのかな?』


「いや、それは無いと思います。これを見つけたのは、花壇でした。

 おそらく、この植物は種でも、芋でも、苗でも増やす事が出来ます。

 花は淡いピンクの優しいふんわりとした花が咲きます、その為、種を取り寄せ、


 育てようとしたのかと思いますが、これは、暑い地方での植物の為、

 王都の気候では発芽出来ないはずです。

 しかし、しかし、苗が一本育って居たのです。


 王都の執事長に聞いた所、2年ほど前は暑かったと言っていましたから、

 その時、生き残っていた種が発芽し、何とかいこが出来たものと思います。

 芋からの発芽は、王都より北でも大丈夫です。


 いま、王都の分邸の空き地に植えて、種芋と蔓を増やしている所です。」

『わかった、そこで苗が増えたら領地のあちこちに植えて、検証してみよう。

 王家に献上するのはそれからだね。』


「もし、それまでに、飢饉が発生しそうなときは、

 植えてもらう事は出来ないのですか?」


『訳の分からない物を、話だけを信用して作付けする事は難しいと思う、

 それより、こちらで栽培して、持ち込んだ方がいいだろう。

 まずは、苗や芋を増やす事が先決だね。』


確かに、こちらで作って、飢饉が発生した所に持って行く、

救済する方がいいですね。農業の里に沢山植えなくては成りません。

でも半分はサトウキビを植えたい。


「分りました、とにかく、今は増やす事に専念致します。」

『そうだね、来年が楽しみだよ。』


「ご主人様、御願いが御座います。

 私をこのまま、サツマイモ担当、にして頂けないでしょうか。」


「魔国の状況はとても王国に進言できる程度の事では有りません、

 しかし、脅威は徐々に上がってきており、特に最初の襲撃は、

 此処のお屋敷の可能性が高く、ルビ様を狙って来るものと考えております。


 週に一度の状況報告は致しますので、どうぞお願い致します。」

『解った、しかし、具体的な脅威は有るのかい?』


「魔国の貴族がダンジョンでスタンビートの実験を

 している事を確認しております。そして、クーヘンの森のダンジョン、

 その近くのビックアント達の不穏な動きも有ります。」


「実際、クーヘンの森のオーガ村が複数同時にビックアントに襲われ、

 壊滅寸前に成るなど、通常では考えられない、動きが有ります。」


『スタンビートはまずい、住民の避難をさせなくては、』

「今の所大丈夫です。それに使う装置を破壊し、心臓部を奪っております。

 貴重な素材が必要なため、同じものを作るには相当な時間が掛かる様です。」


「そちらの素材の動きの監視も行っております。」

ご主人様が、浮いた腰を下ろします。


『しかしここが襲われると成ると、

 避難の方法を考えねばならない、いっそ王都に、』


「ここが襲われるとの予測はルビちゃんがここに居るからで、

 ルビちゃんが王都に移動すると、王都の安全が脅かされます。

 ルビちゃん、奥様、旦那様の避難ん付きましては、考えが御座います。」


「今日、昼食の後、奥様のお部屋でご説明させて頂きたいのですが、

 宜しいでしょうか?」


『食後にナナの部屋に行けばいいんだね。』

「はい、宜しくお願い致します。』


旦那様の左手の薬指に指輪をされている事をさりげなく確認しておきます。

此処で、ご主人様の所を退出させて頂き、奥様の所に向います。


次話:奥様への報告-サツマイモ----

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ