泣
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「グラン、」
《此方に》
「ポッドにドボンの復帰プログラムだけど、早くても明後日に成ると思う。」
《マスター、失礼ですが、眷属たちの件はそんなにお急ぎに成らなくても、
もう少しゆっくりされてはいかがでしょうか。》
「駄目だよ、次回も前回と同じく、
神々の干渉が入る事はまず間違いないと思います。」
「そうなると、ポッドに入って居る時間も含め どの様な事態が起きるか、
想像が付ません。その為、今出来る最善策を行って置く事が必要です。」
「私が居ない間に、現在の戦力を訓練して、最高戦力にしておかなければ
私が復帰した時に即応が出来なく成ります。」
「プログラムから戻ったら、即参戦などと言う事も否定できないのですから。」
「明日、精霊を連れて帰って来て、明後日 メディションルームの
検証の後にポッドに入るよ。」
「ああ、そうだ、精霊魔法への耐性検証が出来てないや。
グラン、聖水用意できる?」
《出来ますが、何をされるのかお聞きしても良いですか?》
「私の聖属性魔法についての耐性を知りたいんですよ。」
《マスター、今日はお疲れです、もう、お休みください。》
ソファーに座ったまま頭を抱えて下を向いてしまった。
何だろう、このもやもやした、やるせないような、
いらいらした感情は。気が付くと涙が出ていた。
「ギン達どこに居る?」
《今日は早めに訓練を終えたはずですが》
「ギンの所に行ってくる。」
ドアをノックすると「はい」と返事が有った。
中に入るとローブを脱いだギンが居た。
何だかわからなかった、黙ってギンに抱き着いて泣き出してしまった。
ギンは、私を抱いて、ベットに座り、黙って頭を撫でてくれた。私はただ泣いた。
「私はどうしたらいいの?私は何をしたいの?
何をすればいいの、何処に行きたいの、私は誰なの?」
つらかった、私が私で有る為に一生懸命走って来た。
でも、足がもつれて転びそうになった時、グランに休めと言われた。
そこで、何かが切れた。何も判らなくなった、
判らなくなったまま消えたいと思ったら泣き出していた。
気が付いたら、ギンに抱かさっていた。
「ごめん、もう行かなきゃ・・・。」
『まって、女の子がそんな顔して外に出ては駄目よ。』
と言って、顔を拭いてくれた。よく取れなかったのか、
『一緒にお風呂に入ろましょう。』と言ってくれた。
何処かで聞いているだろうと思って、
「エミリ、ギンと一緒にお風呂に入る用意して」と言うと
『はい」
と返事が来た。
ギンが予備のローブを掛けてくれた。
一緒にお風呂に向う。
何故かボーっつとしていたら、ギンとエミリが服を脱がせてくれた。
お風呂に入るとギンが洗ってくれた、
あっと思ったら顔や髪まで洗ってくれてた。
私もギンの背中を洗って、髪を洗うのを手伝った。
湯船に入るとまた涙が出てきたので、ギンに抱き着いた。
少し泣くと、自分の胸が気になった。
「ねえ、私の、ちっパイ胸、ギンみたいになるかなぁ」
『おやおや、マスター幾つですか?』
「よくわからないんだ、11歳くらいだと思う。」
『それでは、これから少しずつ大きく成りますよ。』
『女の胸はね恋をすると大きく成るのよ、少しづつね。』
「そうだね、好きな人に触ってもらうと大きくなるんだよね。」
『うっ。違いますよ!(違わないけど。)。』
『男は共にありたいと願う女の人に心、
心核を砕いてその欠片を相手に上げるんですよ、
この欠片を心核の欠片と呼ぶの。』
『女はそれを大切に愛でる事で、胸が少しづつ大きくなるの。』
「でも、いっぱい彼女が居る人だって、浮気する人だっているよ」
『彼女が一杯居る男の人は女の人に心核の欠片を上げてませんよ、
とても動物的な人ね。』
「でもどうしてそんな男に女の人が沢山居るの?」
『たまにいるのね、心核の光が外に漏れている人が居るの、
その光に惑わされた女が寄ってくるの。』
『だけどね、心核の光は外に出し続けるとやがて小さく成って、
欠片を作る事が出来なく成るの。
そうなると心を通わせる女の人は出来ないわね。』
『浮気する人も、心核を砕いて二人以上の人にあげてしまうと、
欠片の力は小さく成るし、
女の人が心核の欠片を大切にしてあげないと、光を失うわ。』
『女も素敵な、自分に心核の欠片をささげてくれる男の人を探すわ。
その情報、色んな情報を集めるために女はおしゃべりなの、
情報収集の為なのよ』
少し元気に成って来た様ですが、
「私は向こうの世界で大切な家族と別れたわ、
そして、此方の世界でも大切な家族と別れなければ成らないの、
その記憶を取り戻さなければ成らないの。」
また、泣き出しました。ギンは納得した様な顔をしてます。
そっと抱いて、背中を優しくさすります。
『可哀そうに、辛いわね。でも、その記憶を取り戻した後には何も残らない?
きっと楽しかった記憶も有るわ、それを消さないで。此方に帰って来た時、
私たちが居るわ、私たちではあなたの家族に成れない?』
「あ、あ、あ、。ギン、ギン、ギン!!
向こうの世界からずっと私を見守って暮れた人、ギン!!おかあさん!!!」
「ごめんなさい、大切な人が、
大切な家族がすぐ近くに居る事に気が付かなかった。」
今日一番の大泣きです。ギンはこれで大丈夫だと確信したようです。
後は、好きなだけ泣かせてあげれば落ち着くでしょう。
泣き疲れて、お風呂で寝てしまった様です。
ギンはメイドたちを呼んで、冷えて起きない様にそっとベットに運び、
起きた時の軽食の指示を出し、その場を離れました。
次話:-おはよう




