457話 カイルス教会
カイルス教会----------
教会の前に着くとすでに司祭が迎えに出ています。
<これは、これは、ロバート様、
本日は治療院をお手伝い頂けるとの事で、感謝いたします。>
『はい、その前に、神殿でお祈りさせてください。』
ロバートが答え、ララが一歩前に出て、小さな川の袋を司祭に渡します。
『これはこれは、更なる主神様のご加護が有りますように。』
司祭が十字を切って恭しく受け取ります。神殿に案内され、お祈りをした後、
治療院に案内されます。院長に挨拶の後、二人は早速、
担当の治癒師について行き、説明を受ける事に成りました。
此方は司祭に孤児院に案内してもらいます。
少し離れた所に孤児院が有りました。
院長先生は女性の方で、協会の司祭だそうです。
その他にもシスターが三人、食事、雑用の係が二人、
『子供は何人いるのですか?』
<今は、40人ほどに成っています。>
院長先生がロバートの質問に答えながら、ウォルトの方を見ています。
ハッとした様に<貴方、ウォルトよね。>
『ああ、先生、御無沙汰してます。』
小さい院長先生がおおきなウォルトに抱きついて、
セミが止まっている様です。
<たまには顔を見せなさいと言っておいたのに、何年も音沙汰がないし、
冒険者になったと聞いたから、もしかしてと、心配していました。
でも良かった。本当に>
と言って、ぽろぽろと涙をこぼします。
ウォルトはバツが悪そうに、
『大丈夫だよ、それに俺も結婚して、子供が居るぜ、
今は家族で、ロバートさんとララさんに世話に成っている。
先生、今日は色々持って来たんだ、見てくれや。』
と言って、マジックバックから、色々と出そうとしますが、
院長先生が、沢山ありそうだと、察して、広い、食堂に案内してくれました。
そこに中の物を出すと。院長先生が、口を押さえて、
目を丸くしてびっくりしています。
<あなた、これは・・>
『盗賊どもの討伐が有ってな、その棲み家に有った物で、
褒美でもらったものだ、使うなり、売るなりしてくれ。』
<それにしても、こんなに沢山・・・>
ウォルトが子供たちの方をちらりと見て、
『生地や古着もあるから、子供らに何か作ってやってくれ』
<有難う、助かるわ、今は食べさせるので精一杯、
衣類まで手が回らなかったから、本当にうれしいわ。>
ララが前に出て「これはヴラド家からの寄進です」
と言って小さな皮袋を渡します。
かちゃりと、銅貨や銀貨では出ない音がします。
院長先生が、両手で受け取り。満面の笑みで
<有難うございます、神の祝福が有らん事を。>
と言って、十字を切ってロバートにお辞儀をします。
次話:シオン




