449話 グラディス、カン治療魔法訓練
*****************出て来る魔法の紹介**********
黄昏の優しき光よ集いて彼の者を浄化せよ「キュア」
グラディス、カン治療魔法訓練-------
サンチェスハウスに到着して、
「グラディス、空いている部屋は有る?」
『はい、新人が入って来たので、増築か別棟を作って、
部屋数を増やそうと思っていますが、
今は来客用の部屋が2部屋空かして有ります。』
「そうだね、食堂も広く欲しいから、
増築の改築だね。取りあえず、空き部屋に案内して。」
『はい、こちらです。』
シングルベットとテーブルと椅子が二つの4畳半位の部屋です。
二人を椅子に座らせ、こちらを向かせ、テーブルを前に置きます。
生徒二人に先生一人です。
「最初に二人ともクリーンの生活魔法は使えるね。」
二人とも首を縦に振ります。
「とにかく、こまめに、クリーン魔法は使ってね。
気を付けないと病気を広げる事に成るからね。ではヒールから始めます。」
「所で二人は、ヒールとキュアは何処まで出来ますか?」
グラディスが
『私はヒールは結構沢山使えます。
ハイヒールは2回位で魔力切れに成ります。キュアは一回だけです。』
カンが
『私はヒールだけです、キュアは使えません』
「使えれば、後は魔力の問題だから良いんだけど、使えないのは困るね。
グラディス、ヒールとキュアの違いは?」
『ヒールは外傷や出血、の治癒や癒す回復治療』
『キュアは病気や、身体的異常を回復する魔法。眠り・気絶・麻痺・
混乱・眩暈・盲目などは回復です。』
『毒・呪いはアンチドーテやカタルシアに成ります。』
「そうだね、今回は治療と言う事だから、取りあえず、ヒールとキュアね。」
「グラディス、魔力不足は魔力タンクを使えば、ある程度カバーできるし、
治療院で経験を積めば、魔力効率もずいぶん違うと思う。」
「カン、キュアが出来ないと言う事だけど、詠唱をしてみようか、
詠唱は”黄昏の優しき光よ集いて彼の者を浄化せよ”だよ。
発動呪文は〔キュア〕ね。」
「一緒に言ってみましょう、」カンの手を取って、
「黄昏の優しき光よ集いて彼の者を浄化せよ」〔キュア〕
『ララ様、何か出ました。』
「出たねぇ。この感覚を忘れないでね。」
「じゃあ、講義を始めましょうか。」
「傷系の治療魔法は、ヒールを使えば傷口はふさがり、治ります。
でも、私からすれば、ものすごく無駄な魔力を使ってます。
人体の組成を知れば、1/10以下の魔力で治せます、
つまり、一度にたくさんの人を、広範囲のヒールも使える事に成ります。」
二人が興奮した様にララを見ています。
「では、講義を始めましょう。」人体模型と、組織模型、拡大模型を出します。
「最初は、傷の修復についてね、」拡大模型を二人の前に置いて、
細胞の仕組みから、皮膚、皮下組織、血管、リンパ線、筋組織、神経、骨、
骨の構造、を説明して、ただ治れではなく、骨の修復から順番に組織が
治るイメージを明確にすることで、魔力の無駄も無く治癒する事を教えます。
次に内臓が傷ついた場合の治療と、損傷部を調べる方法、
魔力探査の応用で出来る事を教えて行きます。
「この魔力探査を使えば、何処に異常が有るか直ぐに分かり、
迅速に、魔力の無駄なく治療が出来るんですよ。」
「ただし、それには、基本的な人体の構造を知らなければ成りません。」
そこまで言うと人体模型を取り出し、各臓器の役割を説明していきます。
二人とも一生懸命聞いていますが、
はたして、何処まで覚える事が出来るか不安です。
一時間が経ったので、いったん休憩にします。
(AIマスター、記憶を補助する魔道具、
これを記憶したいと思った事、物を記憶して、いつでも引き出せる、
イアリングとロザリオ頂戴。バックアップも出来る様にね。)
《承知致しました。人体解剖図も入れて置きますか?》
(そうか、そうだよ人体解剖図も細菌学も、
この世界で使えそうな医学知識を入れて置いてよ。)
《承知致しました、この世界ではまだ未知の領域に成ります。
取り扱いには少し注意が必要かと思いますので留意ください。》
(うん、注意しておくよ。)
「覚えるの大変でしょう。」
二人に聞いてみると、頭を抱えています。
イアリングとロザリオを出して。
「グラディス、には此方のイアリング、
小さいけど意識して取らない限り、取れないから、無くさないと思う。
赤いのはルビーみたいだけど違うからね。」
「カンには此方のロザリオ、首から下げて置いてね。それからこれ、」
小さな魔石の様な物が入った、10cm四方のケースを一つずつ渡します。
「此方は、もしもイアリングやロザリオが無くなっても、
これが有ればもとどおりに出来るから」二人とも首をかしげています。
「これは記憶を助ける物だよ、覚えたいと思った事、物を記憶出来る物、
小さな魔石は、バックアップ、無くしたり取られたり壊された時に
再現できるものだよ。」
「ついでだから、私の知っている医学の知識も入れて置いたから、付けてみて。」
付けた途端、グラディスは下を向いて目をつむり、
カンは上を向いて眉を顰めています。
「欲しいと思った知識が、本を読むように入って来るでしょう。」
カンが
『これが有れば、学ぶ事は必要なく成るのではないでしょうか』
「違うよ、あくまで知識だけ、実際に自分で使ってみて、経験して、
初めて自分の物と成ります。だから、診療所などに行って、
経験を積むことは絶対必要です。」
「もう一つ、この知識は私が知っている知識で、
今、この世界では知られていない事が
沢山入っています。」
「中には、黒魔法と言われる危険性の有る物も有ります。
他の者に教える時は十分注意してください。」
「いや、教えない方がいいでしょう、私から教えられた、
門外不出の技術と言って断ってください。」
「今日の講義の残りは、キュア、と各種ポーションン、
マジックポーション、ファテポーション、エリクサー、ミックスポーション、
各種状態異常回復薬にについて、知識から確認しておく事で終了とします。」
「最期に、今日は先ほど行った講義の復習、
そこに入って居る知識と照らし合わせながら、もう一度整理してみてください。」
後、明日からは実際に診療所に行って手伝ってみましょう。
人体模型は、マジックバックに入れて置いてください。
そう言って部屋を出て、居間に行きます。
次話:猛き火炎よ集え、矢と成りて敵を貫け”〔フレムアロー〕




