448話 飛行訓練
飛行訓練-------
「みんな、起きなさーい!!」
「午後の訓練始めるよー」
午後はスプーン回しと飛行訓練ですが、何処まで出来ますやら。
全員で車座に座らせ、魔力循環をさせますと、
新人の魔力が半分くらいに減っています。
マジックBOXから精魔石の粉を出して、新人の手のひらに一振り乗せて、
「これを吸収と念じてごらん。」みんな何度目のびっくりでしょうか、
ウォルトが『ララ様、これは・・・』
「私が作った魔力回復薬だよ。
高価なものだから、本来は緊急時に使用する物だけど、
今日は時間がもったいないからね。」
ディックが
『ララ様、ポーションや、この回復薬だけで、
ものすごい商売に成りますけど・・・』
「確かに、私は本来メイド兼薬師だけど、これから起きるだろう、
とんでもない事に備えるには御金だけじゃなく、
信頼できる仲間が、人材が絶対必要に成るんだ。」
「だから、みんなに一生懸命、死ない為に戦う手段を教えているんだよ。」
ディックが不安そうに、
『ララ様、その、とんでもない事とは、どの様な・・・』
「今はまだ具体的な事は分からない、
だけどとても邪悪な者が良からぬ事を準備しているのは確かです。」
ララが悲痛な顔をして目をつむります。
みんなが思わず息を飲みます。ララがはっと気が付き、
「大丈夫、私の言う訓練が出来る様に成れば、生き残れるからね。」
「じゃあみんな、スプーン回しをしてもらいましょう。
まずは一つを手の平から15㎝上で回してください。」
みんなが出来ます。
新人たちは二日で出来る様に成りました。
サンチェスもやっとこさっとこ出来る様に成りました。
「次は反対の手にもスプーンを持って、同じ様に回してください。」
チャリーン、チャリン、半分くらいの者が、落としてます。
「二つ回し、これが出来ないと空中歩行も空を飛ぶことも出来ませんからね。
頑張ってマスターしてください。」
何回かやりましたが上手く出来ない様です。
「聞き手では出来るんだから、今度は反対の手だけで回してごらん。
次は利き手で回して反対の手は浮かせるだけ。それが出来たら両方回す。」
「両方回せるまで頑張ってね。出来た者はさっきの訓練場へ行きます。」
〔テレポート〕サンチェスも一回で飛べる様に成りましたね。
サンチェス達を見回し、
「サンチェスのチームはみんな飛べるね。」
返事が怪しいのが一人。
「サンチェス、空中歩行をやってみて、」
サンチェスがびっくりした顔をしましたが、歩行と聞いて安心したようです。
『へい、』階段を駆け上がるように走って50㎥程先をUターンしてきます。
「次、フラン、サンチェスと同じコースを飛んできて。」『はい、』
綺麗な体制で飛んで見せます。
「新人さんは、まずは、サンチェスのやったように、歩行からやって見ましょう。
要するにスプーン回しのムービングハンドで足場を作って、
右、左、という風に順番に踏んでいきます。」
「この時、足場が上手くできなかったり、踏み外して落ちると怪我をします。
危ないと思ったらすぐにテレポートで元居た場所に戻ってください。
稔の為、二三歩上がったらテレポートで戻ってください。」
「最初は50cm位の所を足場を作りながら歩くのが良いですね。
みんな同じ方向に行かなくても良いですよ。では、始めてください。」
めいめいに足場を作って歩いて行きます。
「慣れたら、早く歩いてください。」
ララがサンチェスの方に向いて、
「サンチェス、あなたどれ位飛べるの?フランみたいに飛べる?」
『いや、あそこまでは・・・』
「じゃあ、飛んで見せて。」
『へ、へい、』
不格好です。水平に成りません。
「サンチェス、降りて、こっちに来て。」
申し訳なさそうに、やって来ます。
手足ブラ~ンで、首根っこ掴まれた猫みたいです。
「ここに、自分が乗る位の板をムービングで作って、その上に腹ばいで乗って」
「その板を上に持ち上げると、」
『無理です、ムービングハンドは三つも作れません。』
ララが首をかしげます。
「ハンドは二つだよ。いや、慣れたら一つで出来るよ。
ハンド一つに腹ばいで乗るイメージでやって。」
『うぉう、乗れました。』
「そのハンドを上空に持ち上げて、前進、後退、右旋回やって。」
何か、丸太に腹ばいでのっかって、手足がぶらりと下がっている様に見えます。
『で、出来ました。』
「次は、乗っているハンドの形を変えると、かっこよく成るよ。練習して。」
『はい、頑張ります。』
新人さんたちは上達が早いです。もう駆けまわってます。
「チームウォルト皆来て。」
サンチェスの飛行訓練を横で見ていたフランに
「フラン、今、私がサンチェスに教えた様に飛行を教えてください。」
『はい、』
「私はハウスに残った連中を見て来るね。」〔テレポート〕
残った連中もみんな両手でスプーンを回せるようになってました。
「おー、みんなすごいね、あっと言う間に出来る様になったね。
じゃあ、訓練場に行くよ。」〔テレポート〕
「スタン、今来たもの達に空中歩行訓練お願い。」
『はい、承知致しました。』
(AIマスター、治療魔法に使いたいので、人体模型と、
皮膚と皮下組織、血管や筋肉、骨が判る模型と、
細胞組織を拡大した模型2セットお願い。)《承知致しました。》
カンは、飛行訓練は難なく出来たので、グラディスとカンを呼びます。
「二人にはハウスに戻って、治療魔法の講義をします。」
二人は神妙な顔をして頷きます。
「フラン、新人には飛行まで教えて、後は、生活魔法、クリーンは必須だから、
必ず教えてね。サンチェスは飛行をマスターして、
他の者達に負けない位上達する事!わかった!?」『へ~い』
「じゃあ、グラディス、カン、ハウスに飛びます。」〔テレポート〕
次話:グラディス、カン治療魔法訓練




