429話 サンチェスの経絡解放
サンチェスの経絡解放-------
「さて、次は、カンは私と特別メニュー、
魔力を制御する為の一段上の訓練を行います。」
「他の者は、さっきやった訓練の続き、
サンチェス、スプーン回しとWハンドを見せてあげて。」
サンチェスがギョッとした顔をしますが、嫌とは言えず
『へい、』
「スプーンの持ち上げまでやったから、次は回して見せて。」
サンチェスもこれは難なく通過。
ララがサンチェスの前にもう一本スプーンを置いて、
「次はスプーンを回しながら、
腕をもう一本出して、スプーンを持ち上げて。」
サンチェスが、脂汗を汗を掻いています。でも何とか出来ました。
「次はスプーンを両方回して。」
”ドデン”サンチェスが胡坐のまま後ろにひっくり返りました。
「ありゃ、ここまでか。本当なら、出した腕に剣を持たせて、模擬試合まで
出来る様に成って欲しいんだよね。」
「ん?」ひっくり返ったサンチェスを見ていたララが何かに気が付いた様です。
「サンチェス、ちょっと、立ってみ、」
サンチェスが、汗だくの体を起こします。
”これ拷問だよ”とか、ぶつぶつ言ってます。
のっそりと立ち上がったサンチェスに
「今、魔力あげるから、言うとおりにして。」
「まず、手を下に、楽にして、
次に脇を閉めて、肘をまげて手の平を上にして」
サンチェスの両手の平にララも指先を乗せ、
「まずはサンチェスの左手からね、」
左手からゆっくり魔力を流します。
「今度は右手からね、」
また、ゆっくりと魔力を流します。
「サンチェス、今度は魔力を丹田に集めて、練る様な感じで揺らして。」
「練った魔力を体中をめぐるように流してごらん、
丹田から足右に帰ってきたら左足に、胸を経由して右手に、
戻って左手に最後に頭に回して、ゆっくり丹田に戻して。」
「次に左手から、私に魔力を送ってみて、そう、そんな感じ」
「最期は右手から送って。片方ずつでいいよ。」
「はいご苦労さん」ララが納得した顔で、
「サンチェス、魔力が少ないわけでもないのに
魔力操作がへたくそな訳が分かったわ。」
ララがサンチェスのみぞおちを指さし、「ここ詰まってる。」
サンチェスがびっくりして胸を見ますが、
出っ張った腹が見えるだけでした。ララが苦笑いして
「少し早いかと思ったけど、丁度いいサンプルが居るから、説明するね。
みんな、こっち見てね、サンチェス、こっち来て」
何をされるのか、不安そうな嫌そうな顔をして前に出ます。
「さっき、丹田に魔力を溜めてくださいと言いまいたが、
魔力は、経絡、魔力が流れる道が有ります。丹田は、下丹ともいいますが、
魔力を作り出し、溜め、磨く所です。
そして、この経絡の重要なターミナル、
交わる所が中丹、みぞおちに当たります。
ここ魔力は勢いを増し、頭、上丹に行きます。
上丹は眉間の所、此処で魔力が色んな魔法に変換され発動します。
また、魔法指向性を持った魔力が、
中丹に戻り、経絡通って各所で発動する事も有ります。
ですから、魔力循環の訓練は、下丹田で魔力を練って、中丹を通り、
上丹に行って、下丹田に戻るのを意識して行います。ここまでが基本。
この他にも沢山の小さなターミナルが有ります。
それらを見つけ、意識して魔力を流す事で、魔力が体に馴染み、
細胞一つ一つが魔力タンクと成る事が出来ます。
ここまでくると、膨大な魔力を持つ賢者クラスの魔法使いに成ります。」
「さてと、サンチェスですが、さっきの試験で、
此処が詰まっている、上手く動いて居ない様です。」
サンチェスの胸を指さします。
「サンチェスそんな顔しないで、今直してあげるから。こういう時は、
経絡が壊れない様にゆっくり、魔力を固めて通してあげる、
まぁ、お掃除ですね。」
ララがサンチェスの胸に手を当て、目を細めます。
『うっ、うおっ。』
一瞬サンチェスが苦しそうな声を上げますが、すぐに
『あれ?、胸のつかえが取れた様な、急に鼻詰まりが治った様な。
気分、爽快です。』ララが、慌てて
「STOP!サンチェス、魔法使わないで。」
サンチェスが驚いた顔でララを見ます。
「今までと同じ感覚で魔法を出すととんでもない事に成るよ
あんたは、向こうの草原で、魔法の威力の確認をしてきなさい。」
サンチェスがああそうかとでも言いたそうな顔をして、
『ちょっと言って来ます。〔テレポート〕』
「危なかった、でも、これであいつも空飛べるでしょう。
じゃぁ、フラン、新人さんの面倒見て。」
『はい、ララ様。』
サンチェスが頑張っているのを見てきたせいでしょうか、
フランが少し嬉しそうです。
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