424話 料理長ヴィックのスープとお弁当
料理長ヴィックのスープとお弁当-----13:30------
お昼時なので、食堂も少しわさわさしていますが、かまわず、厨房に行って
「料理チョー居るぅ?」と声をかけてみると、
調理台の前で何やら難しい顔をした料理長が座ってます。
『おぅ、ララじゃねーか、
ちょうどいい所に来た、知恵買貸してくれ。』
「貸すほど余裕はないけど何?」
『相変わらずだな、おめぇ。ま、良い。
実話な、今度、新しい分邸に引っ越した後、
男爵様が、お披露目パーティをやるらしいんだが、
その時のメニューを考えててくれと言われてな、
料理の方は何とかなるんだが、酒やデザート系で
見新しい物が思いつかないんだ、何か無いかな。』
「う~ん、お酒とデザート系で目新しい物ねぇ・・・
ワイン、カクテル、サングリア、シャーベット、
くらいかなぁ?」
『なんだそれ、知らない単語がぽろぽろ出て来たな、教えてくれ。』
「カクテルは簡単なのはジンとベルモットを混ぜて、
ライムの薄い輪切りを添えた物、マティーニね。」
「サングリアは赤ワイン、上等な物でなくていいよ、を3~4本、
ガラスの大きな器に入れて、中に果物を沢山入れて、
そこから、ワインと果物を取り出して飲むの。」
「シャーベットは、果実を凍らせたもの、
お酒を入れて凍らせたもの、色々出来るわ。」
『そんなに大きなガラスの入れ物がねえなぁ。』
「そんなの私が作ってあげるよ。」
ガラスの材料は、鉱山のぼた山に行けば大抵あるから、
ペンタの街の近くのミスリル鉱山に飛びます。〔テレポート〕
「おぉ、有りますね、水晶の欠片が一杯有りますね。」
「あとは、ソーダ灰と炭酸カルシュウム、もう一つ、酸化鉛を入れると、
屈折率が大きく成って、クリスタルみたいに見えるんだったね。」
「よし、分離、合成。形は、
おおきなワイングラスみたいにしてみよう。
大きなマドラーの頭に花を付けて、
細い筋を入れると、表面張力で吸い上げるから、
お花に色が付いたみたいになるね。
「洗うの大変かな、ま、良いよね」
「そうだ、カクテルグラスも沢山作って置こう。」
最後に、ぼた山にミスリル鉱石のくず沢山有ったので、
分離して、延べ棒にします。
全部マジックバックに入れて、帰ります。〔テレポート〕
「料理チョー、出来たよ~。」
食堂のテーブルの上にシャングリラ用の大きなグラスを乗せます。
『こんなでっけぇグラスどうやって作った・・・。
嫌、聞くまい。ララだからな。』
「料理チョー、あとね、これにワインを入れると、
このマドラーの先にお花が咲くんだよ。」
『花?』ララが期待したよりもずいぶんと素っ気ない返事です。
まぁ、男なんて、お花の話をしても、こんなもんでしょ。
(「カクテルの発表はこの次の機会にしましょう」)
「忘れてたわ、サングリアをすくう物が無いわね」
ララが、ミスリルのインゴットを一つ取り出し、
タンブラーに長い柄のついた様なサングリアスプーンを作ります。
「入れる果物は柑橘系が良いと思うけど、色々試してみて。」
さてと、「料理チョー、御願いが有るんだけど、聞いてくれる?」
『おう、聞くだけならいいぞ。』
”パコン”紙を丸めてメガホンみたいにした物で、はたきます。
「サングリアの見返りとしては安い物だよ、お弁当つくって、50人分。
後これにいっぱいのスープ。」
「材料はドラゴン一匹。急がないから、いいよね。」
と言ってでっかい寸胴を出します。
『おめー、材料なんて言った?ドラ?』
「解体場に置いておくね、まぁ、後から見てよ、余ったら上げるよ。
お弁当出来たらローバートに言って置いて。」
『急がないんなら、いいぞ。
余った材料でパーティの料理でも考えるか、』
「じゃあ、宜しくね。」
と言って〔テレポート〕キロの街に飛びます。
次話:サンチェス




