417話 カンとウォルトの家族
カンとウォルトの家族---------
ディックとオハマが仕分けをしている間に、カンの尋問を行います。
〔麻酔解除〕〔魔眼〕起こして椅子に座らせ、
自分もカンと向かい合って座ります。
「私はララ、あなたはカンで良いですね。」
<はい、カンです。>
「あなたは孤児院出身で、冒険者をやっていたけれども、
上手く行かなくて、ウォルに拾われて、
此処に居ると言う事で間違いないわね。」
<はい>
「ウォルの仕事は面白かった?」
<いや、駄目です。何で、あんなことが平気で出来るんですか。
鉄くず拾ったり、ごみの中から、売れる物探して、
やっとの思いで、稼いだお金を、
今夜の食事、パン一切れの代金を、
脅して、ぼろぼろに成るまで、殴って、蹴って、奪う・・・
私は、こんな事は嫌だ、飢え死にしてもいい、此処から、逃げたい。
明日、殺されても良いから、逃げるつもりでした。
でも、これで、罪人と成れば、あの人たちを苦しめなくていいのですね。
有難うございます。>
ハラハラと泣き出してしまいました。
「咎人には成らないよ、人を殺めたり、金品を奪ったわけでは無いからね。
君、カンは私の部下に成ります。」
「これから、貴方に色んな事を教えて、みんなの役に立てるようにして上げます。
大変ですけど、頑張ってやってみますか?」
カンがびっくりして口をパクパクしています。
<私が、人の役に立つことが出来る様に成るのですか・・・あぁ、神様>
今度は滂沱の涙、大洪水です。
「取りあえず、今はディックの傍に居て頂戴。」
<はい、ララ様>
今度は、ウォルトと家族の居る部屋に向います。
奥の部屋、事務室の隣のドアをノックすると。
少しドアが開き、ウォルトが私を確認するとドアを開けてくれました。
中には、若い奥さんと、子供が二人。若い奥さんと娘が抱き合ってます。
小さい男の子は、二人を守るつもりなのか、
前で仁王立ちをしてます。可愛いです。
「こんにちは、私が今回の事を主導したララと言います。
これからの予定をお話します。宜しいですか?」
奥さんが立ち上がり、深々と頭を下げます。
<私はクララ、この娘はセリーナ、息子のアーサーです。>
<主人から聞きました。本当にありがとうございます。>
「そんなに、ありがたがらなくてもいいよ。私にも利益がある事だからね。」
<それでも、それでも、感謝させて頂きます。>
「はい、感謝の気持ちは受取ります。」
「さてと、今後だけど、今日は、古着屋の方に泊まって、明日の朝、
王都の屋敷の方に行きます。奥さんと、お子さん二人はそこで、
使用人、として働いてもらいます。」
「ウォルトは冒険者パーティのリーダーとして、
冒険者クランを引っ張ってもらいます。
取りあえず、食堂に行きましょう。ここにはもう来ないので、
必要な物は持ってきてください。ウォルト、これ渡しておくね。」
ウォルトにマジックバック小を渡します。
<ララ様、これは・・・。>
「暫く専用使っていていいよ。それじゃあ、食堂に行きましょう。」
全員、食堂に集まりました。ララが”ララの部屋玉”を出します。
(「いちいち触れさせるのも面倒ね。
触れなくても、私が指定すれば、入れるはず、」)
全員を見回し、入れと念じます。全員吸い込まれる様に入りました。”
ララの部屋玉”を仕舞って。
「さてと、一旦、古着屋に戻った方が良いですね。」〔テレポート〕。
店の一階に着きました。
”ララの部屋玉”を出して、出る者を思い浮かべて「出ろ!」全員出ました。
(「ウォルトと家族は早く休ませた方が良いですね。」)
「ウォルト、家族と一緒に休んで。」
「オルタ、空き部屋に案内して。トイレと洗面台もね。」
『はい、』
「ディックとカンは残って頂戴。」と言って、
ギルドに引き渡す者達を確認してもう一度〔麻酔〕重ね掛けします。
「こいつらを見張っていて、私はもう一人、
馬で王都に向っている奴を捕まえてくるからね。」と、言い残して
〔テレポート〕
次話:ギルドに引き渡し




