396話 クキの身の上話
クキの身の上話---15:00---
ラグジュから連絡が入ります。
(『ララ様、クキが目を覚ましました。』)
「分かった、そっちに行くね」ロザリオの中のラグジュの屋敷に入ります。
(『ララ様、急にお呼び立てして申し訳ありません。』)
「それは良いけど、容態はどんな感じ?」
(『完全復活したわけでは有りませんが、現状の理解もしており、
お話しても問題無いかと思います。』)
「わかった、じゃあ、寝室に向うよ」
(『はい、こちらです。』)
寝室に案内されると、白い髪と尾を持つ少女が
ベットの横に腰掛けています。
立ち上がって礼をしようとするのを制して、
「少し、お話しても大丈夫かな?」
<はい、この度は私までもお救い下さり、
真にありがとうございます。私は放浪の身、
お礼を差し上げる事も出来ません。せめて下女として・・。>
クキの話を途中で遮り、
「それは良いから、お礼何か要らないし、
貴方を縛るつもりもありません。」
「私が聞きたいのは、貴方が、何の目的で魔国に来たのか、
貴方がこれから、何をしたいか、を聞きたいのです。」
<私は、よくある話ですが、見合いをさせられそうに成ったので、
逃げ出しました。見合いをすれば絶対断れず、そ
のまま婚姻、籠の鳥と成ります。>
<知らない人、一度も会った事の無い方と結婚するのは嫌です。
あの時、とにかく、逃げ出す事しか考えず、
逃げ出す先が魔国しか無かったからで、先の事は考えて居ませんでした。>
<手持ちのお金も少なく成り、何か仕事をと考えながら、
街中を歩いて居たのですが、お腹が減ったので食堂に入り、
そこでライナと出会いました。>
<ライナに声をかけてもらい、話をしている内に、
何故か、見ず知らずのライナに、身の上話をしていて、
同情してくれたライナに私が少し治療魔法を
使える話をした所、診療所で働く事を進められたのです。>
<食堂を出て、診療所を探していた所で、兵士に捕まってしまい、
後は記憶に有りません。このベットで目が覚めて、
ライナに今までの事を教えてもらい、
ララ様に危ない所を助けて頂いたと伺いました。>
<ララ様は、命の恩人です。何か、
ララ様にお役に立てる事をさせてください。>
話が終わると、ララがクキの目を見て、
「御家、お父さんやおかあさんの所へ帰るつもりはないんだね。」
<はい、私は政治の道具に使われるのは嫌です。>
「聞いていた話とずいぶん違うので、ちょっと驚いてます。
あなたのお爺さんが、神々にあなたを保護したら送り返して欲しいと懇願して、
それはそれは、本当に心配していると聞いていたんですけど・・・」
<それは、私の事が心配なのではなく見合いが上手く行かなかった事、
えのいら立ちです。でも、ララ様は神々とお話出来るのですか?>
「まぁ、それに近い者たちとは知り合いだからね。」
驚いた顔をして、こちらを見ていましたが、ふと、目を伏せ、
<ララ様は私をおじいさまの所へ送り返すのですか?>
ララが少し驚いた様な顔をしています。
(「この娘賢いね。」)
「今の話を聞いてしまったら、簡単にそんな事は出来ないね。」
<それでは、ララ様のお立場が・・・>
「問題無いよ、私は神ではないからね、神同士のしがらみは無いし、
神に命令される事もないから大丈夫だよ。」
「そうだなぁ、ラグジュ、此処でメイドの仕事を教えてよ。それから、
満遍なく魔法を使える様、色んな魔法を教えて、本人の希望も踏まえてね。」
「もう一つ、嫌じゃなければ、糸を紡いで、機織りして、ハンカチーフを手作り、
刺繍も入れる。この時、神気を込めるととても良い物が出来そうです。」
「う~ん、邪気を散らすお守りを作ってもいいですね。
好きな事を言ってしまったけど、遣らなくてもいいからね。」
次話:クキの眷属化




