355話 5階層
*****************出て来る魔物と魔法、魔道具の紹介**********
〔スキルソー〕:
エアーカッターを丸鋸状に変形させて飛ばす。
〔ムービング〕で自在にあやつることができる。
夢魔族
サキュバスとインキュバス。
サキュバスは女性形態。インキュバスは男性形態。
淫夢を見せて精を吸い取る言うのは、彼らの中でも特殊な性痴を持ったもので、
普通の者は魔力を糧として生きている。
5階層---
「ほしい薬草が有るから、採りたいなと思っただけ。ライナ、どっち?」
【ジャングルの向こう側、ここを横断しなければ成りません。】
「じゃあ、みんな、飛ぶよ。」(『『『『はい』』』』)
ジャングルの上を飛んでいると、ギャァギャァと下がうるさいです。
そういえば空飛ぶ魔物が居ないですね。助かります。
などと考えていると、向こう側が見えて来ました。
「ライナ、このまま、近寄っても大丈夫なの?、門番とか居ないの?」
【今は使われていないので、居ないはずですが、】
(『ラナ様、私が見て来ます。』)
チュー太Dがポケットから、顔を出します。可愛いでちゅ~!
「じゃあ、御願い、気を付けてね。」
(『はい、行ってきます。』)
ポケットから飛び出すと、素早い動きとテレポートで移動、
正面からではなく、横から門に近づきます。
(『誰も居ませんが、門の横の岩の中に誰かいます。』)
ちょっと不安を感じたので「すぐ戻って。」
〔テレポート〕戻ってきました。
ライナが思いつめた様子で、チュー太Dに聞きます。
【岩の中に何人いました?】
(『私が見たのはひとりだけです。』)
【男でした?、女でした?、悪魔でした?
尻尾の先は尖ってました?♥でした?】
(『女だと思います。しっぽが有ったので悪魔だと思います。
先は丸かった様な・・・』)
ライナが、急にぼたぼたと涙を流して。
【ここに居たのね、私、見つける事が出来たのね・・・・。】
「ライナ、誰だい?」
【うぅっ、・・・・・。わだしの、ともだちでず。ずっと、ざがじでだ。
見づげだ、見づげだ、うわ~~ん。】
「しばらく使い物に成りませんね。取りあえず、進んでみましょうか。」
「ほら、ライナ、行くよ。」
【ぞうだ、いがなぎや】
ライナは顔中涙と鼻水で、でろでろです。
マジックポシェットからタオルを出して、
「ほら、これで顔を拭きなさい。」
【あじがどうございまず。】少し落ち着かせないと、話が進みませんね。
「ライナ、」【はい】こっちを向いたので
〔魔眼〕「感情動揺をすこし押さえなさい。」
【はい。】門の傍に行くと、確かに岩の中に誰かいます。
ライナが走り出します。岩に手を付いて、【ムウ、私よ、判る?】
門を挟んで反対側に行くともう一人岩に閉じ込められています。
【やっぱり、こっちに居たのね、マウ、眠っているの?】
【ラナ様この二人を助ける事が出来ますか?】
(AIマスター、岩の中の二人を出せる?出しても感づかれない?)
《硬いのは外側だけで、中はゼリー状です。仮死状態で眠ってますね。
〔スキルソー〕で周りを切れば出せます。
出したらマナポーション沢山飲ませてください。
外部と繋がっている訳では無いですが、
しばらく動くのは大変ですのでラグジュの部屋で休ませてください。》
(ありがと。)
ライナとの話に戻ります。
AIマスター、との話は、一瞬で終わる念話みたいな物だからね。
「出せるけど、その前に、いきさつを教えてくれる?」
【彼女たちは昔、千年程前に成るでしょうか、
ラグジュ様の所で共に働いていた、仲間です。】
【ムウはお姉さんみたいで、私とよく遊んでくれましたし、
色んなことを教えてくれました、マウはムウの弟で、私より年下です。
でもとても頭がいいです。】
【千年程昔、ラグジュ様が罠にはめられ、全財産を没収される時、
濡れ衣で有る事を証明する事が出来る二人が、行方不明に成ったのです。
ラグジュ様も手を尽くしましたが、結局間に合わず、
魔界から放逐されてしまったのです。】
「それが、何で殺されずに、ここで眠って居るの?」
【この二人は悪魔の中の夢魔属と呼ばれる種族です。】
「夢魔属?」
【ああ、皆さんにはサキュバスとインキュバスと
言った方が良いかもしれません。】
【彼らは事故や殺される時、無念や、心残りが有ると、
顔見知り程度の知り合い、つまり、自分を知っている者、
全ての者にその思を放送出来るのです。】
「そうか、殺すと自分の悪事が放送されるので、眠らせたのか。
でも、この二人、あれだろ、淫びな夢を見せて精気をすとる・・・」
【それを言ってはいけません、彼女たちが怒ります。
そんな事をするのは夢魔の中でも特殊な性癖を持つ物で、
彼女たちは、魔素を糧として生きています。】
【楽しい夢を見せて、幸せな気持ちに成った時の感情を分けてもらった方が
美味しいと言ってました。でも相手に無断で、そんな事しません。】
「何か、ごめん。でも。何で、ここじゃなくてはいけなかったんだろう。
まるで晒し物にする様ですけど?」
【その通りです。以前は違う所に隠してあったのですが、
ラグジュ様に加担した者、その悪事を忘れぬ様に人目の付く所に改めて、
さらし者にしたと聞きました。】
【その話を聞いて、場所が何処か探したのですが、貴族しか見る事が出来ないと、
言われ、私一人では無理な事が解って、半分諦めていました。】
「そんな二人を助け出して、居なくなったと騒がれない?」
【あれから、千ねん近く経って居ますし、
ここも使われなくなって500年以上たちます。】
【みんな二人が居た事さえ覚えている人はいないでしょう。
もし、誰かが、二人がいなくなった、連れ出されたと騒いでも
誰も相手にしません。】
【今を生きている物たちにとってはどうでもよい事ですので。】
お前達が千年以上生きている事が疑問なんだけど。
あとで、ラグジュに聞きますか。
「じゃあ、二人を出すよ。〔スキルソー〕〔スキルソー〕」
二つの丸鋸で、まわりの岩を削っていきます。
あまり硬い岩では無いです、あっけなくムウを出します。
〔クリーン〕〔クリーン〕。綺麗にして、〔ハイヒール〕〔ハイヒール〕
ハイヒールを二重掛けして、中級マナポーションを飲ませたいのですが、
目を開けませんね。「ライナ、声をかけてみて。」
【はい。ムウ、起きて、ムウ!】
体を揺すりますが起きません、呼吸はしている様なので、
少し時間が必用かもしれません。
「ライナ、ラグジュの部屋で寝せておけば起きると思うから、
ちょっと、寝せて来て。私はもう一人を出すから。」
【はい。】そう言うと、ラグジュの部屋に吸込まれます。
「さて、もう一人も出しますか。」
〔スキルソー〕〔スキルソー〕ガリガリ、ゴリゴリ、
ボトリ転がって来ました。
男の扱いはぞんざいですね。
〔クリーン〕〔クリーン〕、〔ハイヒール〕〔ハイヒール〕。
「ライナ、いいよ持って行って。」
【はい】マウもラグジュの部屋に連れて行きます。
私は門の正面に戻ります。「ここは起動しない方がいいでしょうね。」
次話:魔国入り口




