348話 古着屋と強盗
************会話の吹き出しに付きまして。************
念話の時の吹き出しは()でくくります。
ララ:(「・・・・・」)
眷属:(『・・・・』)
ララとAIマスターとの会話は念話なので、
(AIマスター・・・)《・・・》の様に成ります。
*****************出て来る魔物と魔法、魔道具の紹介**********
ヌーム :ヌーに似た牛の様な魔物。集団で生活。
ユニコーン:馬の体をした一角魔獣。群れる。
〔クール〕
水分子の振動を押さえ、冷やす。涼しくする、心地よい温度に冷やすと言う時に使用。
魔力を込めると、凍結させる事も可能。
古着屋と強盗-----------
店の前に飛ぶと、日が落ちて、薄暗く成っています。もう夜、21時ですか。
扉が閉まってますけど明かりが点いていますね、
ん?何か様子が変です。取りあえず、中に入りましょう
「こんばんわ~。」
『え?、ララ様ですよね。』
マミーがびっくりして、聞いて来ます。変装してるの忘れてたわ。
「そうだよ、今、変装して、髪の色を変えているから。で、どうしたの?」
ダリンが避けると、後ろ手に縛られた男が、
床に座ってます。サンサが説明します。
<店を閉めて、掃除をしていたら、商品台のテーブルクロスの下から、
こいつが飛び出してきて売り上げを奪おうとしたので、
一発食らわせて、ふんじばった所です。>
おやおや、強盗ですか。
「ギルドへはこれからかい?」
<はい、エスメがワイマと一緒に行くところです。>
「そうですか、じゃあ、安心ですね。これからは、お店を閉めたら。
ワイマに見回って貰た方がいいですね。
ワイマなら、隠れていても、近くに寄らなくても判りますから。」
<わかりました、明日から、その様に致します。>
モリエールが答えます。
『じゃあ、行ってきます。』
エスメが元気に飛び出します。ワイマがすぐに後を追いかけます。
「あれ?ワイマに話したっけ?」
<あの子達不思議なんです。時々、今みたいに話もしていないのに、
意思が通じると言うか、黙っていても判ると言うか、エスメに聞いても。
なんとなくわかる。と言うだけで、理由とかは分からないです。>
サンサが答えてくれましたが、???。
(AIマスター、あの二人、念話かテレパシー出来るの?)
《そこまではっきりした事では無いと思います。
双子が意思の疎通が出来ているみたい、的なレベルだと思います。》
ふ~ん、そんなものかいな位でいいか。深く考えても仕方ないし。
強盗さんを外に引っ張り出して、モリエールに閉店、
売上金の確認をする様に言っていると、エスメが帰ってきました。
「ずいぶん早いね。」ワイマが、念話を寄こします。
(『この子、とんでもないですよ。身体能力が私達とあまり変わらないです。』)
(「へ~ぇ。走って、飛び上がっても同じ位?」)
(『はい、持久力も有ります。』)
(「でも空を飛べないから、ワイマの勝ちだね。」)
(『私も飛べません!』)
(「飛べるよ、ボスも飛んでるよ。」)
ワイマが口を開けてぽか~んとしています。
(『私も空飛べるんですか?』)
(「飛べるよ、ムービング出来るね。」)
(『はい。』)
(「じゃあ出来るよ、後で教えてあげるね。」)
(『有難うございます。待ってます。!』
尻尾ビュンビュン振ってます。
(「埃が立つからそこまで。」)
(『すいません、思わず・・・。』)
(「取りあえずこっちを終わらせるね。」)
と、強盗の方を見ると、ギルドの職員に連れていかれる所でした。
「あら、終わったのね。じゃぁ、みんなでご飯食べに行こう!」
『『・・『『<<はーい!!>>』』・・』』良いご返事です。
熊食堂に入って、注文を言っていると、
熊かあさんが、私をじっと見ています。
「ん~っと?あっ、そうか。おかあちゃん、ララだよ。
ちょっっと変装してるんだ、内緒ね。」
<やっぱり、そうだと思ってんだよぅ。>
熊かあさんが注文を取って、奥へ引っ込むと、
入れ替わりに、熊父ちゃんが出てきて。私を見て、
<ほんとだー。>見世物じゃないぞ~。
今度はダリンが物欲しそうに此方を見ています。
こういう時に欲しがるのはあれですね。
「ダリン、少しならいいよ。」
<やった!、母ちゃん、エールをいっぱいくれ。>
<はいよ~。>すぐに持って来ましたが、やっぱり、温そうです。
ダリンが、テーブルに置かれたエールを直ぐ飲もうとしましたが、
「ダリン、ちょっと待って。」
<え~。ここでお預けは殺生ですよぉ~。>
「すぐ終わるから。」
水の分子運動を押さえる様にイメージして、
〔クール〕「いいよ、冷えてるから飲んでみて。」
ダリンが怪訝なかををして一口飲むと、
<な、何だこりゃぁ!。>目を丸くして。一気に半分程飲みます。
<プふぁ~!何でこんなに冷たいんだ、すげぇうめぇ~。>
エールを注文した周りのお客が、びっくりした様に此方を見ています。
これはやらない訳に行きませんね。お母ちゃんの所に行って、
断ってから、エールのタンクを冷やします。それから、店の連中に向って、
「これから注文するエールは冷たくて美味しいよ。」
お客が一斉に残ったエールを飲み干して、お代わりを注文します。
お母ちゃんにVサインをして、席に着きます。
サンサが、<私も注文していいですか?>
「良いよ、飲みたい人は二杯まで飲んでいいよ。」
マミーとモリエールが待って居た様に、手を上げます。
エスメとラルダが少し遅れて手を上げます。
「あれ、貴方達、お酒飲んでも良いの?」
『『問題有りませ~ん!』』
モリエールを見ますと、頷いています。
(AIマスター、この世界は飲酒の年齢制限は無いの?)
《法で定めた規定は有りません、一般的な考えとしては15歳くらいでしょうか。》
ふ~ん、そんな物かいな。「私は果実水ちょうだい。」
<ララちゃん、果実水のタンクも冷やして頂戴。>
熊かあさんから注文が入りました。
「良いよ~。その方が美味しいもんね~。」
タンクを冷やして、厨房から出る時に、
「これから注文する果実水も冷たいよ~。」
言ったとたんに、手が上がります。
今夜は二つとも売切れですね、きっと。
今夜はヌームのシチュー。
デミグラスソースが絶妙です。
手間がかかってますね。お肉もとろける様でした。
美味しかったぁ~~。
帰りがけに、熊父ちゃんに、ユニコーン一体置いて来ました。
驚いたあの顔を見れたので満足です。
お店に戻って、お茶をしながら、売上報告を聞きます。
今日が初日でしたが、混乱もなく進める事が出来たとの事、
昨日、広告、立て看板を出して置いたので、
二回目にも関わらず、お客が多かったとの事、
これからは、もっと早めに広告を出すように指示、
近隣の街からも来れる様にしたいと、説明。
近くの街の商会から、取引の打診が有りましたがララに相談してからと思い、
返事は保留にしてあるとの事でした。
「取引はOkですが、条件を付けます。運び屋に成るのは嫌ですからね。
古着屋の目的、指針は、街の皆に安くて良い物を着て欲しいと言う事です。」
「販売価格は私たちが販売している価格の5%引き。
利益は2割以上は取らない事を約束してもらう。」
「品物の選別は、男物、女物、子供用等、私たちが王都で 買い付ける単位で、
何キロかの指定、細かい仕分けはしない、
商品に注文はしない、クレームも無し。」
「要するに、商会が注文した分を、別に買い付けて渡すだけ。
商談次第で1割引きまでは良いよ。」
「注文が小金貨以下ならば立替えてもいい、
それ以上は預かり証と注文証を必ず交換する事。
商品引き渡しの際に、クレームを付けた場合は、商談不成立。
商品を引き取り、御金を返却。今後の付き合い無し。」
次話:ワイマの飛行




