317話 ムービングと剣術
ムービングと剣術----------
パトラの横に並びましたが、パトラが少し、
沈んでいる様に感じました。
「パトラ、どうしたの?」
『私頑張ったのに、私だけ、
ご主人様お声をかけて下さらなっかた。ショボ~ン』
アジャ~、こりゃ困ったと思っていると、
奥様が此方を見たので、
私がパトラを見ると奥様が頷きました。
負けせておきなさいの合図ですね。助かりました。
お食事が終わり、奥様の部屋に行きます。
お茶の用意が出来た頃合いで
コンコン、ノックがしました。
パトラが出ると、
『私とララに執務室に来るように、
ご主人様から御呼び出しです。』
『奥様、失礼しても宜しいでしょうか。』
パトラが聞くと、『二人でいってらっしゃい』
「はい。」
二人でドアの前で一礼して、退室します。
執務室の前で、ノックをして、
「ララです」『パトラです』
『入りなさい』執務室に入って一礼すると、
『パトラ、さっきは済まなかったね、
実はパトラとララに頼みが有ったのだよ。』
『パトラが、あそこで良い成績を残してくれたので、
現実味が出たんだ。』
『剣術とムービングの融合、これが成れば、
今までの剣術は児戯に等しく成るね。』
『パトラ、頼めるかい?』
『はい、喜んで』
『ララはどうだい、』
「私は剣術は出来ませんので、
パトラに協力する事しか出来ませんが、
遣らせて頂きます。」ここで断れないよね、絶対。
『そこで、パトラに時間を造らなければ成らないと成ると、
ナナの護衛が必要に成るな、』
「ご主人様、その護衛に少し、当てが有ります。
一週間ほどお時間頂けないでしょうか。」
『ほぅ、面白そうだね。判った、その子が来たら、
一度ナナと一緒に話をさせておくれ。』
「はい、承知致しました。」
『パトラ、特に期限は決めないが、
状況報告はナナにしておくれ』
『承知致しました。』
パトラが元気よくご主人様にご返事をして、退出致します。
退室する時振り返り、もう一度ご主人様に礼をした所、
ご主人様がにこりと笑って頷いてくださいました。
お部屋に戻って、パトラが上機嫌です。
『奥様、私、ご主人様に、ムービングを使った
新しい剣術を創出しなさいと言われました。』
顔がデレデレです。奥様が半分冷やかし気味に、
『貴方大丈夫なの?』と問いますが、
本人は、私をチラ見して
『大丈夫です。!』言い切ちゃったよ、この人、
「私が頭を抱えていると、」
『ララが困っているわよ。
パトラ、貴方剣術自体どれくらいできるの?流派は?』
少し、事態が呑み込めて来たようです。
基本が無くては何も出来ません。
土台が無くては城どころか家も立ちません。
「パトラ、ムービング無しで
剣術の基本をやった方がいいようですね。」
「パトラの流派、先生は誰?」
『聖騎剣流レイピア初段です。
師範エラ・ロレーナに師事しました。』
「すごいじゃない、初段ならば型は一通りできるね。」
『違うんです。級は子供たちが対象で、
初段からは成人が対象に成ります。』
『しかし、初段は、型にとらわれずに師範の剣を
受ける事が出来ればもらえるんです。
私の場合は偶然出した剣に市販の剣が当たっただけでした。』
『師範にも、お前はメイドに成るんだろ、剣で生きるのなら、
初段はやらないが、メイドならば、
これはプレゼントだと言われました。』
「奥様、パトラを王都の道場に
一年程放り込みたいのですが、宜しいでしょうか。」
『うえ~~ん』
『あらあら、それも困るわねぇ、ララあなたはどうなの?』
「私は全くの我流です。人に習ったことは有りません。」
『新しい流派と言うならそれも良いんでしょうけれども。』
こりゃまずい、こっちに振られると困る。
「どこぞの先生を呼んでも良いのでしょうけど、
お屋敷で、みんなが見ている所で、
パトラがぼろぼろに成るもまずいでしょう。」
『困ったわね』
「やっぱり王都に・・・」
『うええぇ~~ん』
あんまりいじめちゃ可哀そうだね。
「奥様、メイドが剣術の流派を創出するのもおかしな話です。
ご主人様のお考えは、そこでは無いと思います。」
奥様が興味を示しました。
次話:ムービングと護身術




