307話 チョコレート
チョコレート------
一時半ですか、スプーン回しは2時からでしたね。
まずは、ご主人様に帰還のご報告を
しなければ成りません。
執務室の前に行って、コンコン「ララです」
『入りなさい。』中に入り。
「一礼して、ただ今戻りました。」
『お帰り、何か変わったことは無かったかな?』
これ、何か催促していますね。では、
「特に、ご報告出来る様な事は御座いませんが、
王都に珍しい材料が有りましたので、
こちらを作ってみました。」
お皿に乗せた、金貨のチョコを三枚出して、
執事長に渡します。
『これは何かな?』
「チョコレートと言う甘いお菓子です。
おふざけで、金貨の形に致しましたが、
そのままお召し上がりください。」
『ふむ、私もこれは見た事が無いな。』
一枚とって、端を「コリッ」・・・
おめめまん丸です。
この様なご主人様のお顔は初めて見ました。
これだけでも、作った甲斐が有りました。
『これは、まだ有るのかな?』
「はい、後は、奥様とルビ様の分、
メイド達に小さい物を一つずつ用意してきました。」
「残念ながら、今は材料が無い為、
これ以上は作れません。」
「王都のロバートさんに材料の確保は
お願い致しましたが、集まるのは、
いつに成るか分かりません。」
『そうか、それは残念だ。』
『しかし、材料が有ったなら、作れると言うのであれば、
材料の確保に力を入れる様にロバートに連絡しておこう。」
「作り方を知っているのは誰かね?』
「私と分邸の料理長です。」
『製法に付いては、秘密にしておくれ、
政治的な材料にも使えそうな代物だね、これは。』
「承知致しました。口外いたしません。それでは、
私はスプーン回し協議会の準備が有りますので、
これで失礼致します。」
一礼して退室致しました。
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