神域
神域---------------
「あちらの隅をお借りいたします。」
ペンダントを持ち、壁に向って座禅を組みます。
(AIマスター誘導頼むよ。)《承知致しました。》
ペンダントに意識を集中し、中に入るようにイメージします。
何か、くるくると回り、ペンダントの中に吸い込まれてしまった様です。
「精神だけの移動?幽体離脱?。あっ。これは前にあの神を称する
爺さんの所に行ったのと感じが似ている。
爺さん、居るのかな。いやだなぁ~。」
と、靄の中かに何か見えます。
大きな聖堂の様な、ああ、バチカン市国に雰囲気が似ていますね。
大きな広い聖堂の様な所にはいると中央には白黒の柱がねじり合い、
らせんを組むように上昇しております。
上を見てみると、天井無いね、これ。
白黒の柱を中心に四つの色の柱がまっすぐ上に伸びています、
これも天井無いね。
と、気付くと女官の様な白い服を着た女性が立っており、
どこかに案内してくれる様です。
着いた所は、「何だこれ。空間がめちゃくちゃだね。」
広く白い空間の真ん中が少し高く成っており、
椅子が一つ置いて有ります。
「ああ、そこに座るんですね。」
四方に赤、青、白、黄の透明な4本の柱が立っています。
椅子に座って、上を見るとやっぱり有りました白黒の柱、
断面は太陰太極図ですけど、空中に浮いてますよね、落ちて来ないよね。不安。
何と言うか、雰囲気はギリシャのアクロポリス神殿の中にいる感じでしょうか。
(AIマスター?、聞こえませんね、やっぱりここは神域ですか。)
「最初にお聞きいたします。
ここは私がルビ様のために作ったペンダントの中でしょうか?」
〖此処がペンダントの中と言うのは正しくないな、
だが、あれがこの世界への入り口に成っている事は確かじゃな。〗
突然後ろから声がしたので、驚いて振向くと、髭の長い老人が立って居ます。
ゆっくりと歩いて、私の前に来たので、
「今回私が来ましたのはペンダントの持ち主であるルビ様の放出した魔力を
一時的に、ここに閉じ込めて置いて頂けないかと、お願いに来たのです。」
と、聞いてみました。
〖すでに分かって居ると思うが、此処は六つの精霊神が顕現する場所じゃ。
ゆえに六つの精霊神の同意が必要じゃな。まぁ、問題無いと思うが、
わしの独断で決める訳にも行かん。少し、待っておれ、皆を呼んでみよう。〗
精霊神が下を向いて、ぶつぶつ言ってます。
〖有奴ら、全て任せるだとぉ。丸投げしおったわ。〗
「貴方様はもしかして、ガイア様ですか。」
〖わしにそんな言葉づかいは無用じゃが、
ふむ、おぬしどこかで会った事があるかな?〗
「いえ、記憶にございません」
〖ふむ、ふむ、少し前からここに漂って来ている魔力と、
おぬしの魔力、波動が同じじゃが、どういう事じゃ?〗
「はいルビ様と私は同じ魂を持っております。ルビ様は過去の私です。」
〖とんでもない事をさらりと言う子じゃな。〗
「はい、よく言われます。」
〖そんな事は上級神でもなければ、許されんぞ、もとより、我らは関与できん。〗
「次元神様が、あの爺さんとか言われている方が関わっている様ですが」
〖ぶっ!、じ、次元神さまぁ??。
しかもその方が爺さんなんて呼ばれるのは一柱しかおらんぞい。〗
「そのお方は何とおっしゃられるのですか」
〖たっ、たわけぃ!!。御名など軽々しく口にできるお方では無いわ!!〗
〖わしゃぁ、は逃げたくなって来たわい。〗
〖あれ?一つの時空間に二つの同じ魂。もしかして、おぬしらは・・・・・〗
「私たちの事、ご存知なんですか」
「教えてください、神は私達に何をせよと、何をさせようとしているのですか?」
〖わしは何も知らんぞ、その事はわしらの存在にも関わって来るかもしれん、〗
〖忠告しておく、今の質問はその御方様以外の神に聞いてはいかん。
理由は聞くな。その様に、心して置け。
ただし、お前の望みには出来るだけ叶えるとしよう。〗
「ではガイア様、わたくしに、ガイア様の眷属を一人お使わしください。」
〖わしの眷属ではないが、すでに其処に居るではないか〗
「え?・・・」〖まだ卵じゃが、お前が魔力を注ぎ、大事にしてやれば孵るぞ。〗
〖では、さっきの件、魔力を此方に保管する件は了承する。
保管するのは、この漂っている魔力じゃろう。〗
「はい」〖この魔力は心地よい。幾らでも入れるが良い〗
「そんなに沢山入りますか、精霊神様はその魔力、取り出せます?」
〖何を考えておる、わしらが猫糞するとでも思っておるのか?〗
「滅相も御座いません。有難うございます、感謝いたします」
失敗、失敗、確かに、そういう風にも聞こえますね。
「この神域にはまた来れますか?」
〖お前なら条件が揃えば可能じゃろう。〗
「条件とは」
〖ここに誰かが来ておらんと入れんぞ、今回はたまたまわしが居たからな。
それから、魔力が少ないと入れんぞ今回、お前の魔力でギリギリじゃな。
ん?少し足りないぞ、帰れるか?』
「帰る時も魔力使うのですか?」
〖当り前じゃ、神域を超えるのじゃぞ。〗
「魔力タンク使ってみます。」
プレートに触って魔力補充。
〖おぅ。便利な物持っておるのぉ〗
「あの、ガイア様の眷属は、」
〖たわけい!そこの卵も孵さずに、わしの眷属なんか与えたら、
ウインディーネにどやしつけられるわ。〗
「え?、今なんと」
〖うるさい、もう帰れ、さもないと帰れなくなるぞ〗
「あれま、怒らせたみたい。では、魔力の件、有難うございます。
今回はこれで失礼いたします。他の神々にも宜しくお伝えください。」
〖ん。頑張ってな、時々見ておるぞ。〗
「はい、では失礼いたします。」
〖面白い奴じゃ、しかし、あの雰囲気、あの賢さ、軽妙さ、あいつじゃな。
こんなところで頑張っているとは、仕方がないとは言え、
御方様も御無体な事をなさる。〗
立ち上がると浮遊感と共に神域がどんどん小さく成り、
真っ暗な空間を過ぎるとすとんと、落ちました。奥様の部屋です。
ドテン、後ろにひっくり帰りました。
もそもそ起き上がって、ポーションがぶ飲みしました。
ペンダント握ってますね、帰って来たけど、今何時?奥様寝てる。
部屋に帰らねば、声を出さずに〔テレポート〕
「づがれだ、!何でもいい、とにかく寝る。」
ベットに這い上がって気絶しました。
次話:魔力切れ




