◆私は蛇
◆私は蛇------------------
私は蛇神様の使い、白蛇と言っても一番下っ端ですけど。
しんどい思いをしてやっと生んだ卵を愛でていると。
一天にわかにかき曇り雷光に目が眩むと意識が無くなりました。
後で、上役に聞きました。
〖私は主神様の夫たる雷神様に神罰を頂くほどの御不敬を働いた覚えは有りません。
願わくば、理由を知りたく思います。〗
上役は渋い顔押して
〖その、なんだ、主神様と夫たる雷神様が、ちょっとな。雷神様がイラついて
発した雷を主神様が避けた所、お前の所に落ちてしまったのだ〗
〖判っていると思うが、他言無用にな。〗
〖お前の大事な卵が割れてしまった事は、主神様も雷神様もとても悔いておる。
それでな、お前の位を上げると共に、願いを一つ叶えると言われておる。〗
〖割れた卵の事を思いますと、心が痛うございます。
しかし、それは主神様にお願いしても詮無い事と存じております。
なれば、わたくしを佐伯拓海の見守り役に任じて頂きたいと思います。〗
〖佐伯拓海の見守り役は端からお前に任ぜようと考えていた事、
他に願いは無いか?〗
〖なれば、後々、手に負えぬ事が、佐伯拓海の身におきた時、
主神様にお願い出来る様、御取り計らいお願いできないでしょうか。〗
〖う~ん、しかしな、黄泉がえり、とか、
主神様の権限を越える事は出来ないぞ。良いか?〗
〖はい、その件は重々承知しております。何卒よろしくお願い致します。〗
〖判った、主神様にお伝えする。〗
私はあの時、雷に打たれ、気を失っていた。助けて頂かなければ、
黄泉への道筋をたどっていたでしょう。
気が付いた時も、私の大切な卵を失った事を感じた時、
あの方が手を差し伸べてくれた、温かかった。
天井裏に住むことを許され、ネズミを駆除しながら、
拓海様に何が出来るかを考えておりました。私には見守る事、
邪気や闇の宜しくない物からお守りする事しか出来ない事を感じ取りました。
さすれば、拓海様が寿命を全うするまで見守りたいと思い、
上役様にお願いする事に決めたのです。
でも、もう一回くらい卵を産みたいなぁ・・・。
次話:高校時代~大学時代




