ラグジュ
ラグジュ---------
いつもなら、お屋敷に帰るのですが、
なぜかこの時は、帰ろうと思いませんでした。
夜中、0時頃でしょうか、私を呼ぶ声がします。
【お嬢さん、お嬢さん、起きてください、お話させてください。】
【お嬢さん、お嬢さん、助けてください】
助けてくださいの声に、驚いて、目を開けてみると、
ぼろぼろの兎がたたずんで居ました。
左の耳はちぎれて、半分ほどになっており、左目も開かない様です。
右手も先が無く、体も傷だらけです。
「君は、なんだい、何者だい?」
(【私はリッチのラグジュと申します。】)
(【1000年程前に騙された、全てを奪われ、さまよっておりましたが、
そろそろ限界、消えてしまいそうなのです。】)
「その、リッチ、ラグジュか、どうして私が助けなければ成らない?。
その方法は?。私に何の得が有る?」
(【は、御もっともでございます。光と闇の属性を持ち、
この世ならぬ存在、私の持って居る知識を使えるのは
貴方様の様な方だけです。
その方法は、私の持って居る魔石と
貴方様の持って居る魔石の二つを融合し、
魔力を注ぐことで、私の宿石と成ります。私の持って居る知識、
5000年以上昔からの魔界の知識、が貴方様の物に成ります。
また、一般的な地上の知識、地図、国、ダンジョンの位置特性、
をお伝えする事が出来ます。】)
(【もう、日が昇るまで持ちそうに有りません。
何卒、この知識、貴方様の為にお使いくださいませ】)
これが本当なら、これからの戦いが、とうさん、かあさん、
ルビちゃん、屋敷の皆。助ける事が出来るかもしれない。
賭けてみるのも良いかもしれない。その前に。
〔魔眼〕!?
(【申し訳ありません、私に魔眼は通用しません。
私の話を信じて頂くほかありません。】)
「判った。賭けてみましょう。私の持って居る魔石は、
ワイバーン、これで良いのかい?」
(【はい、お願い致します。】)
「私の事、何でも判るんだね。
(【私は見ようとすれば、大まかな能力を感じる事が出来ます。】)
(【ルビ様の錬金術を作動し、この魔石に見える
赤い小さな粒を中心に集める様にしてください。】)
(【魔力を集めて、ゆっくりと行ってください。】)
(【すごいです、綺麗に全部集まりました。】)
(【固めた赤い宝石をルビ様の右手の持ってください。】)
(【次はルビ様が御持ちの魔石です。】)
(【魔石を浮かせて、赤い粒を集めて固めて】)
(【左手に持ちます】)
(【次は融合です。左右の手の平を開いて石を浮かせてください】)
(【左右の石を赤い小さな粒にして少しずつ
二つの石の中間に集めて同じ物同士融合する様に集めて行きます。
大丈夫です、ゆっくり行ってください】)
(【融合出来ない物は、下の落ちて散っていきます。
純度、魔石としての力が弱い物ですから問題ありません。】)
(【ゆっくり回して固めてください。】)
(【出来ました。、すごいです、私も何万回と行いましたが、
これほどの物が出来た事が、見た事が有りません。】)
「これ、小さくないですか?米粒位しかないですよ」
(【こういう物は大きさでは無いのです。純度が大切なのです】)
(【さて、これをペンダント、ロザリオにしましょう】)
「ぶっ!魔物が宿るロザリオですか。」
(【良いカモフラージュに成ります。私が中に居る事は絶対に判りません、
逆に神々しいと、言われますよ】)
「呆れたけど、納得です、私もそういうの好きかも。」
(【この魔石を真ん中に、して、小さめのロザリオを作ってください。
チェーンはチタンが宜しいかと思います。】)
「はいはい、やっぱり、銀よね硫化しない様に
コーティングしておきましょう。」
出来た。
(【これにルビ様の魔力をお借りして、異空間を作ります。
ポーションお持ちなら飲んでおいてください。
ルビ様の魔力、半分くらい持っていかれます。】)
「げっ。そんなに、分かったマジックポーション飲んでおく」
(【方法は、私に魔力を注いでください。
ルビ様の魔力で私が魔石の中に異空間作り、
それを広げます。】)
「じゃあ行きます。それ、あわわわわ。
すごい、魔力の吸収が止まんない負けるもんか、
それそれそれそれそれ!それ!!え~~い。
持って行け~~~・・・・!!」
「出来たぁ、ぐったりでずぅ」
(【有難うございます。出来ました。お首にかけてください。】)
「おっ、いいかも」
(【それでは入らせて頂きます。】)
兎からポワリと蛍玉が出て、
ロザリオの中心のルビーの様な赤い宝石、に入ります。
(【これは・・・想像以上の心地よさ、私の知識を展開致します。】)
一瞬赤い宝石がふわりと光りましたが、すぐに落ち着きます。
ラグジュが宿っていた兎はチリに成って消えました。
いろいろ聞きたいけど、取りあえず寝ます。ばたん、ぐ~。
夜明け前、薄明るく成ってきました。
目が覚めて昨夜の事が夢の様ですが、ロザリオが有ります。
(「ラグジュ?」)
(【はい、ルビ様】)
(「ああ、居た。昨夜の事が夢みたいで、呼んでみたんだよ」)
(「念話で良かったんだったね。」)
(【はい、ルビ様】)
フランを先頭にメンバーは全員そろっている様です。
「フラン、頼むね、それから、この馬を二頭予備に連れてって。」
<はいララ様、お待ちしております。>
私が手を上げると、皆、馬上礼を行い。出立した。
次話:ラグジュ眷属に




