奥様の尋問
奥様の尋問----------------------
食事が終わって、奥様がちらりと此方を見ました。
いらっしゃい、と言う事でしょうね。
リリに「試練の時です」リリが『プッ』ですって。
ルビ様を間に挟んで、奥様の後を付いて行きます。
行進ですね。静々と。
パトラがローテーブルもう一つ出してきて並べて広くしました。
手伝おうとすると、手でいらないの合図です。
成れているせいか、手際が良いです。
『さぁ、聞かせてね、どっから出てきたの。』
「天から降ってきました。」
『ララちゃん・・』
やば、恐い。
「私と同じくテレポートが使えるので
前に勤めていた所から飛んで来ました」
『ふぅ~ん。天から降ってきたというのは、
全くの嘘では無いわけだ・・・』
え~~んこわいよぉ。おねえちゃ~~ん・・・
リリねーちゃんが助け船??
『ララ、いくら奥様が優しいからと言って、
最初からボケちゃ、駄目でしょ。
私もビックリしたわ。申し訳ありません、
この子は昔から、相手が優しい方と
感じると、 途端に甘えだす癖が有るので、』
『ふふふ。優しいお姉さんね。
どこからは答えがもらえない質問だものね。』
『ご配慮感謝いたします。』
『二人はご両親がいらっしゃるの?』
『いえ、私たちは孤児院で育ちました。』
『あら、ごめんんさいね。』
『とんでもございません、
私たちは他の子と違って
一人では有りませんから。幸せです』
『リリはお姉さんね、しっかりしているわ、
二人とも特殊能力はいつ判ったの?』
『ララは5歳の時、私は7歳の時です。』
『ララの方が早いのね、はい特殊能力はララが早く、
魔力も大きいです。』
『りりは身体能力が高いの?』
『普通の人よりは動けます。』
『さっき、力仕事が得意とか言っていたわね。』
『お恥ずかしい、ララの事言えませんね。』
パトラの先例が来ましたが、するりとかわして、
お鼻にチョンと触りました。
いつものパトラの嘆きが始まりました。
ララが横に来て、背中をさすっていい子いい子します。
『悔しい~~~。ララの時より完璧に交わされた~~!』
「お姉ちゃん、私より強いよ。」
『ワイバーン倒したララより強いって、
古竜、エンシェントドラゴン並みじゃない!』
「パトラさん、私たちの事、化物みたいに言わないで下さ。
ちょっと人と違う事が出来るだけです。」
『そのちょっとが問題なのよ。』
「パトラさん、あまり深く考えないでください。」
パトラさんまだ何か言いたそうですが、
奥様が不思議そうにリリ姉ちゃんに質問です。
『貴方達、テレポートにしても、身体能力にしても、
前に勤めていた所で何も言われなかったの?』
「私はご主人様が最初にお仕えする方でしたし、
全てをご承知の上でルビ様の護衛に良いとおっしゃられたので、
何も心配しておりませんでしたが、お姉ちゃんは?」
『私は、学園の園長先生に、この能力は絶対隠す様に
知られれば、私も妹も幸せでには成れないと言われましたので、
前のお勤め先では一切使いませんでした。』
『そう、園長先生に守られていたのね。でも孤児院時代は?』
この話題、奥様は中々、引いてくれません。
メイド養成学園と孤児院、
何処か遠くに作らなければいけないでしょうか。
お願い、リリ姉ちゃん何とかごまかして。
『最初は養護のシスターが気づいて、院長先生に報告したそうです。
後で院長先生に聞きました。
私は院長先生の、みんなに知られると妹と離れ離れにされてしまう、
と言われ、使わない様に致しました。
問題は妹の方で、この様な性格なので、
後先考えずにホイホイ使ってしまいます。
院長先生も困って、協会から、
魔道具を借りて来て下さいました。
これは、魔法の詠唱不全を起こさせるもので、
魔法が使えなくなるものだそうです。
後に、幼い子が魔法を使うと危険な為に
作られた物だと教えられました。』
おねいちゃん凄い!
虚虚実取り交ぜて上手く作って有るお話です。
『実は、孤児院の院長先生と、学園の園長先生は双子の姉妹で、
私たちはメイドとして学ぶ事が出来ました。』
『ふぅ~ん、貴方達、運が良かったのね。』
あっ、これ疑っている。
私が居るとぼろが出そう。退散しましょう。
「奥様、申し訳ありません
狼たちにご飯を上げなくては成りません、
失礼させて頂いて宜しいでしょうか。」
『あら、ご飯がまだだったのね。早く行って上げなさい。』
「有難うございます。それでは、これで失礼いたします。」
一礼して、退散出来ました。冷や汗物です。
やっぱり奥様は怖いなぁ、
おねいちゃんなら大丈夫だと思うけど・・・。
次話:料理チョーとお戯れ




