杖
杖-----
「最後は杖だな、
そういえば感じが少し変わった様な気がしたが。取りあえず行ってみましょう」
自分の専用ROOM(VIP Room)に向かう。
部屋に入るとメイドアンドロイドが控えており、お茶の用意を頼んだ。
ソファーに座り、横に立てかけてあった杖を取る。
「う~~ん、拾ったときは枯れた枝だったけど、今は一番上が
くるりと丸まって真ん中が薄っすら光ってる、完全に魔法使いの杖だわ」
「さて、強めに魔力を込めると、精霊が飛び出すかな?ふふふ、
やってみましょう。それ!ん~~~ん!!。」
「おっ!結構魔力を持っていかれる。何か魔力で綱引きしているみたいだ。
この~~!負けないぞ!!」
「んん~~ん!!。えいっ!!」
力いっぱい魔力を込めるとポンとバービーちゃん位の大きさの子が飛びし、
向かいのソファーにぶつかって跳ねて床に転がった。
妖精が、〖痛いじゃないかー!〗
「開口一番、文句ですか。こりゃ自己中の妖精に間違いないわ。」
「でも変だな、杖の中に入ってもらったのは水の小妖精、蛍玉のはずだが?
君は誰だい?」
〖わかんないの!?あんたを助けた水妖精と、雛を預けた木妖精の合体、
スペシャルバージョンじゃん!!〗
「え???。」
驚いて開いた口がふさがりません。
「精霊が合体??そんな事、聞いた事ないですよ!!。駄目だこりゃ。」
メイドアンドロイドにAIマスターを呼びに行ってもらった。
ドアの後ろに隠れていたかと思うほどあっという間にAIマスターが来た。
《マスター、如何なさいましたか?》
妖精を指さし「あれ、何」
AIマスターは、さも初めて気が付いたかの様に
《おやおや、これは珍しい。二つの属性を持つ妖精ですか》
妖精が偉そうに無い胸を反らせた。
〖水の妖精ちゃんが入って居る木の枝を見つけたから、
木の妖精ちゃんが入って来たの〗
「なんか言葉が変、その体に二つの人格が入って居るのですか?」
〖そんなの有るわけないじゃん。私は私よ。〗
目がロンパリに成ってる。
《しっかり馴染んでいるわけでは無いようですね。》
《状況からすると、ご主人様の魔力を込めた杖に水の妖精様が宿って居た、
そこに木の妖精様が来て杖に入り込んだので、融合してしまったのですね。》
妖精はこくこくとうなづく。
《マスターの魔力が触媒に成った事は確かですが、
それだけでは融合出来るとは思えません。》
マスターAIが床に転がっている杖を拾い上げると。
《これは世界樹の枝ではないですか。それも端切をしていない一本物です。》
《原因はこれですね、これとマスターの魔法が原因ですか...。
いや、それだけでは無いですね。共に何か共通の思いが有ったのでは?》
〖〖私はあなたと一緒に居たかったのです。〗〗
「二つの声が綺麗にハモリましたけど。体が一つでハモる???。」
《貴方がたは、水の精と木の精、二つに分かれたいですか?
別れる事も可能ですが、力が半分以下に成るので、妖精、蛍玉に戻りますよ》
〖〖このままでいい。力が弱くなるのはいや!。〗〗
《それでは、杖の中に入って頂き、ご主人様に魔力をたっぷり注いで頂ければ、
二週間くらいで落ち着くと思います。》
「では、魔力を入れるから杖の中に戻って頂戴。」
〖〖は~~い!。〗〗
妖精が杖に戻ると上の丸まった所の真ん中が黄緑色に ぽわり と明るくなった。
「さて、魔力を入れますか。ん~~ん!。さっき いっぱい入れたはずなのに、
ずいぶん入るな~。満タンにするぞ~!。んん~~~~ん!」
「これで満タン!!。つかれたわ~~。」
次話:施術後




