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第9話 G・イキリクエスト

「大変だったな」


僕はそう言って、彼女の肩に手をやる。

彼女を襲った波乱万丈な展開に、それ以外かける言葉が見当たらない。


「私……これからどうしたらいいのか……」


彼女は震えながらそう言う。

村が滅ぼされた以上、既に帰る場所はないと言っていい。

そこにはもう生活基盤は無いし、攫った一団が戻って来る彼女を待ち構えている可能性も考えられた。


だからと言って、ハイエルフである彼女が人に混じって暮らすのも、バレて同じ事になるリスクが付き纏う事になる。

仮に隠し通せても、亜人の女の子が一人で人間の街で生活するのは大変なはずだ。


『この子を守ってあげたい』


「行くところがないんだったら、僕と一緒に旅でもしないかい?」


そんな言葉が、自然と僕の口を吐いた。

別にイキッた訳じゃない。

ただ、目の前で震えている女の子を守ってあげたいと思ってしまったのだ。


それは純粋な気持ちだった。


いやまあ、可愛い子と一緒にいられる方がいいってのも勿論あるけど。


「でも、私……きっと貴方に迷惑を……」


「気にする必要はない。実はぼ……俺も少々、脛に傷のある身でね。人前に気軽に身を晒す訳にはいかないんだ。で、今は森の中を移動しているんだが……一人ってのはどうも退屈だ。もしよかったら、俺の退屈しのぎの話相手でも務めてくれると嬉しいんだが?」


「……」


彼女は僕の提案に、黙りこくってしまう。

上手く言ったつもりだったが、よくよく考えたら人前に身を晒せないってのは、他人の目からすればイコール犯罪者な訳だから、そらそんな奴に誘われても困るよな。


しょせん僕は元コミュ障の陰キャなので、やはりそういうのが下手糞だ。

けど、もう今更変更は効かない。

見苦しい言い訳は更なる不信感につながるだけなので、このままごり押しさせて貰う。


「代わりに、俺が君に降りかかる火の粉を払おう。行き場のない君にとって、悪い話じゃないだろ?勿論、無理強いはしないが……」


数秒の沈黙の後、彼女は口を開いた。


「……本当にいいんですか?私は、一目でハイエルフと分る見た目をしています。もし他の人に見つかったら……」


どうやら、エルフとハイエルフには見た目の差異がある様だ。


「そうなのか?俺はエルフを見た事がない。具体的には?」


「そ、その……胸が……通常のエルフ女性は……ささやかと言うか……」


彼女は恥ずかしそうに、自分の胸を両手で覆う。


「ああ……」


成程。

普通のエルフはペッタンコなのか。

確かに、彼女のは一言で言うとビックバンだから一目瞭然ではある。


「それなら心配ない。俺は姿形を誤魔化す魔法を覚えているからな。だから余程の事がない限り、君がハイエルフである事がバレたりはしないだろう」


まあまだ覚えてはいないのだが、例の変身魔法の取得は確定だ。

彼女の為に。


「そ、そうなんですか……それじゃ、本当に……その……私……貴方を頼っても……良いんでしょうか?」


ハイエルフの少女が、オドオドと俺の目を見て来る。

僕はそれを真っすぐに見返し、優しく微笑んだ。


「さっきも言っただろ?一人旅は退屈だと。そんな侘びしい旅に、君の様な美人がお供として華を添えてくれるなら大歓迎だ」


「あり……がとう。ありがどう、ございばす……」


彼女の表情が崩れ、再び泣き出してしまった。

感謝の言葉を呟きながら、涙を流す少女を見て強く思う。

この子は絶対に僕が守って見せると。


いや、思うだけじゃない。

僕はハッキリと口に出して誓う。

決意を込めて。


「君は僕が絶対に守ってみせる」


と。


その時、『ダララララララー』と、重いファンファーレの様な音が響き。

IP交換システムのパネルが唐突に表示された。


そこには――


システム(チート)がアップデートされました』


『アップデートにより、特別な(グランド)イキリクエストを受けられるようになります』


『【薄幸なハイエルフの少女を守り抜け】を受けられますか?』


――と表示されていた。


急なチートのアップデート。

そして、少女に関するクエスト。


どうやら神様は、僕の行動を盗み見ている様だ。

好意的に取るなら、見守ってくれているとも言えなくもないけど……まあ盗み見だよね。


まあそれはいいか。

神様にケチを付けても仕方がない


パネルには更に――


『失敗時のペナルティー・全リセット』


――と表示されていた。


これは恐らくだが、失敗すればシステムで得た全てを失う事を指しているのだろう。


「ふ、デメリットにすらならないな」


迷わずYESを選択する。

何故なら、僕は彼女を守り切るからだ。

『面白い!悪くなかった!』


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