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第1話 人生再スタート

「……」


薄暗い牢獄で日課の訓練をしていると、急に思い出す。

自分の前世を。


「ああ、そうだ。僕は……」


前世では、つまらない人生を送る陰キャだった。

だが神様のミスで死ぬ事になった僕は、やり直しの機会を獲得する。

そう、異世界転生だ。


因みに15年間記憶がなかったのは、ゼロから記憶を以て始めると、赤ん坊や幼少期時代がきつい物になるからとの神様からの配慮である。


「しかし……転生先、酷すぎだよ」


転生先は、ゼイリス王国のガゼムス侯爵家三男だ。

ガゼムス侯爵家は武門で名を馳せている一族で、王国の守護者と呼ばれている。


当然そんな侯爵家では強さが尊ばれる訳だが、そんな中で、僕は左手を欠いた状態――隻腕で生まれて来た。


「いや、隻腕自体はカッコいいから良いんだ。問題は、ガゼムス侯爵家で隻腕なのが問題なんだよな」


この世界には魔法がある。

四肢の欠損などは、魔法で修復する事も出来た。


だがそれは欠損に関しての話だ。

生まれながらに左手の無かった僕の腕は、魔法で生やすような事は出来ない。


――そのため剣術を重んじるガゼムス家は、片腕のない僕を欠陥品とみなした。


「それで15年間、独房暮らしだもんなぁ」


記憶の無かった僕は、努力さえして入ればいつか認めて貰える。

そんな甘い考えの元、この狭い独房の中でも自分を鍛え続けていた。

お蔭で、体はかなり鍛え上げられている状態だ。


「オラ、飯だぞ!」


独房の看守を務めるツクムが、独房の扉の下の方にある小さな穴から食事の乗ったトレーを乱雑に突っ込んで来る。

お蔭で器の中のスープが飛び散って、トレーの上がビチャビチャになってしまう。


僕はそれを気にせず、中の物を素早く平らげる。


「さて……」


まず僕が最初にする事、それは看守のツムクをボコボコにする事だ。


食事が乱雑に放り込まれるのはいつもの事だし、機嫌が悪いと彼はこの中に入ってきて僕に暴力を振るう。

幼い頃は、それが本当に辛かった。


まあ今は体を鍛え上げているので、殴られても大した痛みはない。

だが、やられた分はきっちりお返ししてやらないとな。


――それが僕の考える陽キャだ。


やられっぱなしは陰キャのする事。

生まれ変わったら陽キャになると誓った僕は、ツムクにきっちり報復する。


「で、その次が……」


次にすべき事だが、それはこの環境からの脱出だ。

狭い独房に閉じ込められるために、僕は転生した訳ではない。


理想はこの家の人間に、僕と言う人間を認めさせる事だが……


まあそれは難しいだろう。

この手の大貴族は、面子を何よりも重視する。

いくらチートがあっても、それを変えるのは至難だ。


だから一番手っ取り早い方法を選択する。

脱獄だ。


幸い、僕のチートは脱獄に向いていた。


僕が神様から転生の際に貰ったチートは――

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