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僕の日常

僕の名前は桜羽凌(さくらばりょう)。今は高校3年生の学生だ。すでに進路も決まっているから今こうして窓際の自分の机に座りながら外を眺めている。僕の進路先は自衛隊だ。これは高校入学当初から決まっていたことだった。

理由は簡単だ。単純に僕の魔力量が飛びぬけて多かったこと、これに尽きる。僕の魔力量は入学当初、最も魔力量が多かった同級生の5倍の差があった。

基本的に魔力量が成長するのは中学2年生までであり、それもあまり大きく成長することはない。元の魔力量の1,5倍ぐらいしか成長しないはずなのだ。だが僕は高校3年の今でも魔力量が成長している。

そこでこれを危険と判断した国が僕の自衛隊行きを決定したのだ。もちろん両親が反対しなかったわけではない。でも僕の魔力量の成長量が怖かったみたいで、やっぱり最終的には賛成していた。ちなみに僕の意見は聞かれていない。

そんなこんながあって大学の入試や就職活動なんかはしなくてよくなった僕は外を眺めているというわけだ。さらに僕はこの魔力量が原因で友達もいない。先生達も僕を怖がって話しかけてくることはないから気にする必要はない。

午後の授業が終わり帰宅しようと思って正門に来ると黒のワゴン車が止まっていた。これはこれから僕がとある施設に向かう合図だ。僕がそれを確認するのと同時にワゴン車が発進した。行先は僕の家の近くにある小さな公園だ。これはあまり目立たないようにするためだって聞いたけど本当に効果はあるのかな?

まぁそれは置いといて家の近くの公園へと向かう。するとワゴン車がすでに止まっていたので、僕は乗り込んだ。


「お待ちしておりました。桜羽君。」

「お疲れ様です。墨田さん。今日もですか?」

「はい、本日もよろしくお願いしますよ。」


墨田さんはこれから行く施設のスタッフで僕の専属のサポーターだ。主に裏方の仕事をやってくれていてこうした送り迎えや雑務をやってくれている。

これから行く施設は軍の施設。それもあまり知られていない『第零特殊災害部隊』という部隊が拠点としている施設だ。僕も高校を卒業したらこの部隊に着任することが決定している。


そして約1時間後、施設に到着した。


「ではこちらへ。」


墨田さんに案内されていったのは第一会議室だった。今日はここで会議を行っているらしい。中に入ると10名の部隊メンバーが整列していた。彼らは国内で最も魔力量の高く戦闘力が優れているエリートたちだ。


「来たか。」


メンバーの前に立っている人はこの施設の最高責任者兼指揮官の田熊裕也大将だ。田熊大将以下10名のメンバーがこの部隊の総数だ。田熊大将は今は前線に出ていないが昔は凄まじかったという。

ちなみにこの部隊は国で唯一の保有戦力だ。組織としては自衛隊の枠組みだが本質は違う。第零特殊災害部隊は守るだけじゃなく攻めることもできるのだ。過去に一度だけ攻める戦争が行われている。


「お前たちは出撃の準備を行うように。出撃は1時間後だ。解散!」

「「「「はっ!!」」」」


田熊大将の一声で続々と会議室から出ていき部屋の中には僕と田熊大将、墨田さんの三人になった。


「桜羽少年、毎度ながらここまで来てもらって感謝している。」

「いえ、僕の力が役に立つのならいつでも力になりますよ、田熊大将。」

「そういってもらえると我々も助かるよ。では今回の対象について説明をしておこう。」


そういって会議室のモニターに映し出されたのは巨大な龍だった。


「こいつは海龍リヴァイアサン。50年に一度この日本近海にやってくるやつだ。リヴァイアサンの目撃情報が入ったためこいつの撃退が最優先事項となった。攻撃などをしなければ何もしてこないが、やつが来ること自体が一種の災害になっている。」

「津波ですか?」

「そうだ。やつが来るたびに日本近海に面している地域では津浪による被害が多々出ている。もちろん津波の対策もやっているはずだが焼け石に水状態だ。そこで我々の出番だ。」

「討伐するのですか?」

「目的は撃退だ。だができれば討伐してほしいという声もある。だが私としては桜羽少年やうちの部隊のやつに死んでほしくはない。だから撃退まででいい。最悪撤退しても構わない。」

「了解しました。田熊大将。」

「うむ、頼んだぞ桜羽准尉。」


僕は特例としてすでに階級をもらっている。これにより戦闘行為が可能となっているのだ。


「では30分後に屋上に集合だ。鍵を忘れるなよ?」

「了解しました。」


会議室を出た後墨田さんから鍵をもらって屋上へと来ていた。まだ指定されている時間までは時間があるが特にやることもないのでここで待つことにしよう。

ちなみにこの鍵が何の鍵なのかというと、僕の首にはまっている魔力制御装置の解除キーだ。普段の僕はこの魔力制御装置によって本来の力を出すことはできない。一般人よりやや少なめの魔力しか扱えないが、この解除キーを使うことによって総魔力量の80%までの魔力を扱うことができるようになる。もちろんこの解除キーはこの施設で厳重に保管されているので僕が手に入れることはできない。まぁ正直この魔力制御装置では僕の魔力を完全に抑えることはできていないみたいだけどね。


そして30分後屋上に2台のヘリがやってきた。このヘリに部隊の仲間は乗っていくのだ。

僕はどうするのかって?

魔法を扱うときに一番大事なことはイメージ力と自分の魔力だ。友達のいない僕は暇なときにひたすら妄想していたからイメージ力はかなりある。……自分で言っておいてかなりダメージが入ったわ。だから僕の場合は空を飛ぶこともできる。第零部隊のメンバーも飛ぶことはできるが魔力量の問題でできないのだ。

2台のヘリについていくこと約1時間。僕たちは海軍の最新鋭母艦『たろうまる』に乗り込んでいた。この『たろうまる』は最近建造されたもので、戦闘機を50機以上は搭載できると聞いたことがある。そんな母艦に僕たちは降り立っていた。


「現在我々は海龍リヴァイアサンの出現ポイントまで移動中です。第零の皆さんはリヴァイアサンと会敵次第行動に移ってください。」

「「「「了解!」」」」

「ではこちらの部屋をお使いください。」


そうして案内されたのは施設の会議室と同じぐらいの部屋だった。次はここでミーティングを行うのだ。


「じゃあミーティングを始めるぞ。今回もいつものように河野と前川が前に出てなるべくひきつけろ。今回は海龍だからな。的もでかいし最大火力をぶちかましてやるぞ。」

「「了解。」」


彼は渥美隊長。この部隊のリーダーだ。自ら前に出てみんなを引っ張ってくれている頼もしい人だ。

「渥美隊長、僕はどうすればいいですか?」

「桜羽はいつもどおり遊撃に回ってくれ。」

「わかりました。」

「よし、今回はかなりの大物だ。気を引き締めていくぞ!もちろん脱落者は出させないからな!」

「「「「「はい!!!」」」」


結局いつも通り動くことになった。まぁそれが一番、僕としても動きやすくて助かるんだけれども。


「………」

「あれ?今何か聞こえませんでしたか?」

「全員静かに!」

「………ォォ!」

「全員甲板に急げ!リヴァイアサンが来たぞ!」


遂にリヴァイアサンがやってきた。僕は初めて見るが、渥美隊長は知っていたらしい。なんでも渥美隊長の祖父母がリヴァイアサンを見たことがあり聞いていたという。

甲板に出ると既に外は真っ暗だった。『たろうまる』の光がなければ方角もわからないだろう。

そして僕たちが甲板に出るのと同時にリヴァイアサンが飛んできた。『たろうまる』の頭上を飛んでいき反対側の海の中へと入っていった。体長はかなり大きく50mは超えていそうだ。

それを見届けるのと同時に河野さんと前川さんと僕が飛行魔法を使用した。これから僕たちでやつの注意を引きその間に極大魔法を放つのだ。

魔法は前に説明した時のようにイメージ力が大切だ。だが一人ではできないこともある。それを複数の人で協力して扱う魔法が極大魔法だ。これは詠唱も行わなければならずかなり時間がかかる。

渥美隊長達が詠唱している間に僕も自分の仕事をやろう。


「河野さん!前川さん!なるべく艦から引き離しましょう!」

「ライフルじゃああいつの鱗を貫けねぇ!桜羽お願いできるか!?」

「任せてください!」

「「わが身を守れ!ウィンドバリア!」」


河野さんたちが障壁を張ったのを確認して僕はリヴァイアサンのほうを見た。やつはまだ海中に潜っておとなしくしているが、いつ攻撃的になるかわからない。ならばいっそこちらから先制を食らわせたほうがいいだろう。ならば。


絶対零度(アブソリュート・ゼロ)


絶対零度。よくゲームなんかで使われる氷魔法最強の魔法。でも現実で使ったら相当な被害が出る魔法だ。ここが海の上で本当に良かった。

艦とリヴァイアサンの間に巨大な氷壁ができていた。もちろんこれは海中にもあるからリヴァイアサンが艦のほうへ行くことはない。


「相変わらずすげぇ魔法だな…。」

「あぁ、本当にな。あの魔法を使うのに何人の人間が必要になるんだろうな…。だがこれで時間は稼げるはずだぞ。」


やっぱり魔法を使っているときが一番楽しいかもしれない。自分の思うことがすべて作れるのだから。

ちらりと艦のほうを見たけどまだ詠唱はかかりそうだった。それなら僕ももう少し魔法を使えるかな。


星火燎原(ユニオン・フォース)


僕の周りに無数の小さな炎が出現しそれぞれがリヴァイアサンのほうへと飛んでいった。その小さな炎がリヴァイアサンに命中した時、無数の爆発が起きリヴァイアサンの鱗を溶かしていく。あの炎の温度は1万度は軽く超えているだろう。僕がそういう風に想像したものだから。


「グオオオォォォォォォ!!!」


あれは相当のダメージが入ったのだろう。このまま追撃をと思ったがどうやら隊長たちの詠唱が完了したらしい。


「桜羽!船に退避だ!」

「了解!発動と同時に氷壁を消すと渥美隊長に伝えてください!」

「了解だ!」


僕たちは急いで船へと戻るとそこには魔法陣が描かれていた。僕が船に乗った直後に氷壁を消すと魔法陣から極太のレーザーがリヴァイアサンの横っ腹を貫いた。僕の魔法で鱗が溶けていたから柔らかくなっていたのだろう。だが腹を貫かれていてもリヴァイアサンは生きていた。

しかし、リヴァイアサンはそれ以上進まず来た道を引き返し始めた。そしてものの数分でリヴァイアサンは姿を消したのだった。


「「「「「「「うおおぉぉぉ!!!!!」」」」」」」


そのまま艦の食堂で手の空いている者たちで宴が始まった。持ってきた食料をすべて食い尽くすかのごとく騒いでいたので、料理長からしっ責を食らったのは言うまでもない。ちなみに僕はさっさと自室に戻らせてもらった。大勢で騒ぐのはあまり好きではないからね。


その後、艦で一泊し翌日家へと帰ったのだった。

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