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4 名を名乗るのはマナーではないんですねですよねー

皆さま、お身体にも雪にもお気をつけてくださいねー。

 知らずに王宮の奥付近にいたらしい私は、どうやら迷子に近いようだ。決して認めないけどな!


 そして、こちらも迷子なのか知らんが、高貴そうな身なりなのに、お供もつけずひとりでふんぞり返ってるこのお子様も迷子なんだろう。


 金髪碧眼とかわぁ外人さんねぇ。自分の銀髪の方が珍しいんだが、そこは棚上げでよろしく。


「おまえ、だれだ」

「なのられもしないでなのるなはない」

「は?」


 私よりは少し上だろうか、しかしお子様なのにこの居丈高な態度、将来大丈夫かね。


 さて、来た道を戻れば父のとこに戻れるだろう。回廊長すぎじゃね王宮。


「ま、まて!」


 存在を無視されたと思ったのか(いやガン無視したけど)少年が声を上げた。私にか?


「なにさ」

「は?」


 呼び止めといてなんなんだ。歩みを止めないままだからか? 急いでるんだよこっちは。なにせ父の用事が終わったらトンボ帰りだからな。


 二度と来ない場所だからと観光もしたし、もう父も終わったかもしれないし。王宮ってひろいだけでなんも面白くないしさ。


 私も一応、貴族令嬢スタイルなんだけどね。一目でわかるドレス姿なんだけどね? 自分以外は跪く者だって思考が意味不明。敬うのには理由があるんだぞ。


 相手が呆けてるうちに、スタコラサッサと来た道を戻る。人がいる所を目指して早歩き、いや最早小走り。


 子供だからね、ちょっとは大目に見てもらえるだろう。


 人がいる区域に来た辺りで、ようやく我に返ったのか少年が追いかけてきた。


「っ、まて!」

「!? きゃー!!」(棒)

「っ!?」


 誰か助けてー(棒)とばかりに悲鳴を上げて大人の後ろに隠れる。


「こわいよー! ぶたれるー!」

「なっ、な!?」


 叫びながら逃げる。大人の足の間をすり抜けながら、なんか面倒になってきた。


 問。なんでこんなことになったんだ?


 答。部屋から抜け出したからさー。


 私のせいか!! そら仕方ないな!


 てか、もう面倒だ。帰ろう。うん、そうしよう。


「いぬー! おうちかえるー!!」

「はいよー」


 私の叫びに、返事と一緒に現れる男。


 ヒョロい体躯の優男風なこの男、私の護衛でロリコンである。


「ダンナはいいのか?」

「しらん! つれてきたんだから、みっしょんはくりあしたもん! かえる!」

「はいよー」


 ヒョイっと背中に乗せられたと思ったら、ロリコンは駆け出していた。足早いんだよなー。


 背中にしがみついたまま、父に言霊を乗せた式神を飛ばしておく。式神とは前世の拙い記憶から創り出した、私の魔法である。


 お手紙を声でお届けするのだ。パタパタと小鳥に展開した式神さん2号は、父を探して飛んで行った。


 ついでに3号さんを魔王さまに飛ばしておく。魔の森経由で帰ろう。てか、リトちゃんに迎えに来てもらって時短したい。5歳児疲れたよ。


「しろからでてー」

「りょーかい」


 ふわっとロリコンの身体が浮いて、とん、と足が地についた時には、もう城の外。ロリコンだけど使える男だよね。


「そう思うなら名前で呼んでよー」

「なまえなんだっけー」

「ひどっ! お嬢それ酷い!」

「だってロリコンとかいぬでつうじるんだもんー」

「そりゃそうだけどさー」


 ぶちぶちとなんか言ってるけど、聞こえなーい。


「そういえばさー」


 凄い速さで王都を抜けようとするロリコンに、私は問いかけた。


「さっきのこどもってだれー?」

「そこ!? てか今!? 誰か知らなかったの!?」

「しるひつようあるの?」

「いや、ない? かな?」


 じゃぁいいじゃないの。



雪はいいけど、凍るのはやめてほしいわー。

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