3 母さまの命令は絶対ですので
ストックここまでです(笑)頑張ります。
「おうと、ですか?」
「そう、王都です」
ある日突然、もうすぐ臨月の母からの指令が下った。
金髪金眼のスレンダー美女。ただし今は妊婦さん。それでも辺境伯家を支える才女でもある。
でっかいお腹を抱えて、
「よっこらしょ」By私。
と私の目線に屈んでくれた母は、真剣と書いてマジだった。
「お父さまが、陛下から登城せよとのお手紙を頂いたことは話したかしら」
「ほうこくしょじゃわからんからせつめいしやがれ、というおてがみに、これいじょうないくらいわかりやすくかいてやったのに、これでりかいできないならせつめいするだけムダじゃーんってかえした、アレですか?」
「……そう、あれです」
コメカミ押さえてため息ついた母。頭痛ですかね。
「お父さまは王都に行くことになりました。今準備中です」
「あー、だれがあんなハゲオヤジのためにいくかいやだーっ、てさけびながらにげまくってるのはソレですかー」
「……そう、それです」
侍女さんに椅子を持ってきてもらって、母に座ってもらう。
「どっこいせ」By私。
妊婦さんにこの体勢はキツいし、話も長くなりそうだ。
突っ込まなきゃ早く終わる? やだー、ツッコミなしでなんて聞ける話じゃないじゃーん。
「お父さまを捕獲のち、すぐ出立します」
「じかんおしてるんですね」
「そうなのです。それで、マナ」
「いやっすー」
あ、室内温度が下がった。
「……レナーリマナ・フェイクストーク」
「……はい」
「お願いです。お父さまを連れて王都へ。報告を見届けたのち、すぐ様帰還なさい」
それお願いという名の命令待ったナシ片道切符っすよね、母さま。
「お返事は、マナ?」
「(ぶ)ラジャーですー」
「マナ」
「……承知しました」
そうして王都に出立したのさー。
王都まで馬車で20日程。城での報告に1日としても、往復ひと月半。母さまの出産に間に合わないだろう、と私と父の意見は一致したので、強行軍一択となった。
「では、行こうか」
「らじゃー」
「最速最短を目指すから、疲れたら言うんだよ、マナ?」
「しょーちー」
父の馬に同乗の私。もちろん魔法でエアクッション作ってあるので、揺れもなく快適仕様。そして、私に守りの結界を張り、馬に回復魔法をかけながらガチ全力疾走の父と馬。護衛という名のお供は遥か遠く後ろにいる、かなぁ。まあ、帰りに合流できればいんじゃね?
お馬さんに身体強化までかけてた父の本気により、私たちはあっという間に王都に入った。多分呼び出しかけに来た使者よりも早かったと思われる。
「マナは任せる。護りきれ」
国王陛下への面会許可を絶対零度の態度でもぎ取った父は、控え室に私を置いて、宙に向かって一言告げると出て言った。
氷の魔術師さまな父を見慣れない私でも、あれは出来る男仕様だとわかる。未だに愛人希望者がいるとかいう噂、マジかもしれんなー。
行きたくないよー、と駄々ってたのはなんだったんだ、父よ。てか、私にはそっちの父しか馴染みがないわ。早く帰ろうぜ。
テーブルに用意されたお菓子をもぐもぐしながら(もちろん毒も麻痺もないのは確認済)暇つぶしを探す私。
今思えば、この時部屋から出るべきじゃなかったんだよ、多分きっと絶対。
しかし、5歳児の探検心がね? ドキドキワクワクな冒険の匂いがね?
そうして部屋から出てあちこちそちこちウロウロしてたら、なんか変なのに遭遇したのさ。
「おまえはだれだ?」
人に名前を聞く前にお前が名乗れやと。
ようやく本題に近づいてきましたねー(笑)