バカな! 私が本物の新宮寺よ!
私は私のフリをした女の存在を知る。
真っ赤なリップに赤いヒールを履いた女。
そんな女は、街の何処にでもいそうなものなのだが、
品格があり、高級感溢れる出で立ちの女は相違ないだろう。
私はそういう女だ!
そんな時に、私の周りで私によく似た女性を見たと
いう情報を私は耳にする。
『新宮寺さん、ここ最近一流ブランドを扱っているお店に行かれ
ましたか?』
『えぇ!? 行ってませんわ!』
『でも新宮寺さんそっくりの女性をワタクシは見ましたよ。』
『私にそっくりの女性ですか?』
『えぇ、とっても品格のある女性だと思い目を止めて見て
いたんですが、背の高い若い男性がエスコートしてらっしゃったので
ワタクシはてっきり新宮寺さんかと思っていましたの。』
『・・・そんなに私に似ていたのですね。』
『えぇ、』
私に似ている女性に私は会いたい!
品格ある私にそっくりの女性は何が目的でそうなったのだろう。
私はもう一人の私そっくりの女性の事が気になっていた。
・・・でもある時、私は私そっくりの私に会う事ができた。
『あぁ!』
『えぇ!?』
お互い顔を見合わせて息をのむ。
『初めてこんなに“自分にそっくりの女性に会ったわ”』
『世の中には、こんなにもそっくりな女性がいるのね。』
『そうみたいね。』
『えぇ、』
私は私そっくりの女性と少しカフェで話をしてお互いの
連絡先を交換してその日は分かれた。
でもこの日を境に、私のそっくりさんの女性の目撃情報が
次第にあちこちで増えていく。
北海道から沖縄、更に海外まで私そっくりの女性が居ると
言うのだ!
何故? こんな事になっているのか?
私は探偵を雇い詳しい事を調べてもらうと、、、?
まさかまさかの展開に、、、!?
私の知らないところで、“誰かが”私そっくりのクローンを作って
あちこちで普通に生活させている事が分かった。
その目的は、何なのか私にも分からない!
ただ、大きな組織である事は間違いなさそうだ。
有能な探偵が調べても、“誰か”までは全く分からなかった。
どこの組織で、何の目的で、誰がこんな事をしたのか?
・・・でも、確かに!
私のクローンは、日に日に増えている。
目撃情報が、次から次へと増えていったからだ。
実際に、私自身も何人かの私のクローンを目撃している。
私そっくりのクローンには、“犯罪を犯す者もいて”
私の印象は次第に悪くなっていく。
『あの新宮寺さんが、空き巣に入るなんて! ビックリしたわ~』
『ワタシくしもですわ! ホント、どうしちゃったんですかね?』
『そう言えば、わたしが見た新宮寺さんはボロボロの服を着てゴミ箱を
漁っているのを見ましたわ!』
『それって本当に、新宮寺さんなんですか?』
『勿論よ! わたしのも目で見たんですもの!』
『・・・新宮寺さんがね、』
『そうよね、あの新宮寺さんがよ。』
『ホントに、怖い世の中になったモノねぇ~』
【そうよねぇ~】
もう、昔の品格があり高級感溢れる出で立ちの私はもう居ない!
完全に、周りの人達の私を見る目が変わってしまった。
私は犯罪者でゴミを漁る女にまで格下げされた。
悲しさと悔しさが込み上げてくる。
私はそんな人間じゃないのに、私のクローンが勝手にいろんな所で
好き勝手にしているだけ!
本物の私はここに居るのに、、、。
【ここに居る私が、本物の新宮寺よ! 私をちゃんと見て!】
・・・私の声は虚しく誰にも聞こえないまま消えていく。
最後までお読みいただきありがとうございます。




