第七十七話 VSオリディア
実質負け試合ですね。
爆発による衝撃でよろめいた。
被害としては胸の装甲が僅かに歪み、鉄をも溶かす高温の熱によって装甲の表面が融解している。
そこから痛みが走るが、まだ無視できる程度だ。
「ぬぅ……」
この程度であれば、何発でも受け止めても問題ない。ただ、爆煙によって前方の視界が閉ざされてしまっている。
案の定とでも言うべきか、オリディアは俺の視覚を奪ってきたみたいだ。
「ふむ、この状況下でオリディアはどう攻めてくるのやら」
そう口にした矢先、駆け出す音が耳に届く。それも真正面から。
もはや言うまでもない。
「おいおい、もう少し捻ってもいいだろうに。とはいえ俺もそろそろ動かないとな」
即座にその場から飛び退いて爆煙から抜け出す。すると、爆煙を突き破って姿を現したオリディアが飛び蹴りを繰り出してきており、これを横に移動して回避した。
あのまま留まっていたら直撃していただろうし、胸の装甲は盛大にひしゃげていたかもしれないな。
「えー、今回は上手くいくと思ったのになぁ」
「見通しが甘すぎると思うんだがな」
「むぅ、そう言うカイトも、見通しが甘いんじゃないの? だって、カイトにはわたしを倒す手段なんて無いよね?」
「言ってくれる……」
当たり前のように平然とそう言ってのけた。
やはり、オリディアの中では俺が負けることは確定事項のようだ。
まぁ確かに、余程のことがない限り俺が勝つのは厳しいだろうよ。オリディアの言う通り、倒す手段のヒントすら見いだせてないんだからな。
それは嫌という程に理解しているのだが、いささか慢心し過ぎていないか?
「だけど時間を掛けても仕方ないし、真面目に戦ってあげようかな」
「最初から真面目にやっておけよ」
(俺にとっては大事な大事な勝負なのだがな)
ここまでくるとさすがに呆れてしまう。慢心するにしても度が過ぎる。一矢報いて目にものを見せてやりたいものだ。
なんて思うものの、それを実現させるのは困難だろう。
「わたしに勝つつもりなら、考え事する余裕なんて無いと思うけど?」
「それもそうだな」
あっという間に間合いを詰めてきたオリディアの拳を冷静に躱す。ひとまずは動きを見極めることに意識を集中するとしよう。
「……こんなに避けるなんて、カイトも頑張るね」
攻撃が当たらず、早くも焦れている様子だ。
(『金竜の加護』を発動した状態に比べたら今の攻撃はどれも温いな。これはこれで、本番に向けての練習としては悪くないか)
繰り出される拳や蹴りを躱したり、いなしたりで、ひたすら回避に徹した。
この様子なら反撃しても良さげではあるが、調子に乗ってしくじれば目も当てられない結果になりかねない。
ここは慎重に慎重を重ねて、じっくり動きを覚えさせてもらうとするか。
「ねぇ、まったく反撃してこないけどさ、やる気あるの?」
「やる気はあるさ。どうやって反撃をすればいいのかを考えてるところでな」
「ふーん、そうなんだ。でも、その余裕はいつまで続くのかな?」
「オリディアが本気を出すまでは続く自信はあるぜ」
ある程度オリディアの動きに慣れてしまえば、どうということはない。
ましてや今の俺には体力切れという概念などなく、延々と戦い続けることもできる。故に、俺が直接手を下さなくてもオリディアの体力切れで勝つことだって理論上では可能だろう。
ただし、そう簡単にいくわけがない。何せオリディアは本気を出していないからな。
「だったら、少し本気を出してあげる」
攻撃の手を止めてそう宣言をすると、後方へ跳躍して俺から距離を取った。
何らかの下準備であることは明白で、スキルを発動させるのだろう。
(いきなり時間制限のある『金竜の加護』を発動させるとは思えないし、となれば……)
「これで小手調べしてあげる!」
オリディアが不敵な笑みを浮かべると、その体は銀色の光に包まれた。
すると一瞬にして金髪から銀髪へ、オッドアイから銀眼へ、背中から竜を連想させる白い翼が生え、剥き出しの肌の所々は白い鱗に覆われ、指先からは白い鉤爪が伸び、腰の辺りから白い鱗に覆われた尻尾が生えた。
俺の予想通り『銀竜の加護』を発動させたようだ。
「少し厄介かもな……」
このスキルを発動した状態であれば無詠唱かつ、同時に幾つもの魔法を放つことができるという中々にチートな性能である。
それに対して、俺の鎧の体は魔法への耐性が異様に高い。相性的には俺の方がやや有利かもしれないが、実際のところはそんな簡単な話ではなかったりする。
(どれだけ魔力の量を保持しているかによるな。量次第では魔法のゴリ押しでこっちが削り切られるかもしれん)
遠距離から一方的に撃ち続けられると、ジリ貧になりかねない。何発も受け止めても問題ないとはいえ、限度というものがある。
そして仮に耐え切ったとしても、その頃には鎧の体が半壊するくらいに追い詰められてもおかしくはない。その状態でオリディアが『金竜の加護』を発動させて勝負を決めようものなら、俺の敗北は免れられないだろう。
要するに、本気のオリディアと戦うには、魔法による攻撃の被害を抑える必要がある。
「ふふーん、これはどうかな?」
「む?」
オリディアが両手をかざした次の瞬間、足元が盛大に爆発した。
それも一度だけではなく、俺の周りで何度も連続で盛大に爆発し、爆煙に包み込まれて周りが何も見えなくなった。
「『エクスプロージョン』を連発かよ。えげつないな」
『エクスプロージョン』という魔法は射程距離が長く、範囲は広く、それでいて瞬時に目標を爆破する。
そんな魔法を連発されては回避なんてできるわけがない。しかも威力も強く、鎧の体の至る箇所が僅かに歪んで鈍い痛みを発している。
被害自体は対したことないとはいえ、着実にダメージが蓄積している。
(だが、あの魔法には範囲が広すぎて使用者も巻き込まれやすいデメリットがある。だから、あれだけオリディアも近かったんだから、それなりのダメージを負っていても……っ!?)
「ぐわっ!?」
突如として周辺の爆煙が吹き飛ばされたかと思えば、不可視の何かによって俺も吹き飛ばされ、リングの上を転がった。
ただ、この攻撃は身に覚えがある。
「この感覚は『ウィンドキャノン』か。これで人間砲台にされたんだよな……」
「あっははは、どんどんいっくよー!」
「ちっ」
次々と風を圧縮した塊が放たれ、俺に殺到してきた。
これ以上のダメージを抑えるべく、ひとまず駆け出して回避に専念することにしたが、容易なことではなかった。
「くっ、何度も広範囲系の上級魔法を連発しやがって!」
「そうやって逃げても無駄だよ!」
『サンダーレイン』や『アクアランスレイン』を連発して、身体中に浴びせられてしまう。大して痛いわけではないが、着実にダメージが蓄積されていっている。
このままでは俺が想定した通り、ジリ貧になってしまう。
(にしてもオリディアはどうして無傷なんだ? あの距離でなら確実に『エクスプロージョン』に巻き込まれてもおかしくはないんだが)
どういうわけか、オリディアには傷どころか汚れの一つも付いてなかった。
きっと何らかの仕掛けがあるのだろうけども、現状では情報が少な過ぎて分かりそうにもない。
「とはいえ、今はそんなことよりもこの状況をどうにかするのが先決だな。まぁ、やることは一つしか思いつかないけど」
もはやオリディアの懐に入り込むしかない。そうしなければ一方的に削られて不利になっていくだけだ。
だが、懐に入り込めば否応なしに近接戦闘に臨まなければならない。そして近接戦闘を制し、オリディアに『金竜の加護』を発動させる必要がある。
最低でもこれだけのことを達成しなければ、次の勝負での勝ち目は無いと見てもいいだろう。
(しっかし、これで序の口か。洒落にならんな)
頭上から延々と降り注ぐ魔法を躱したり、腕で防ぎながらオリディアへの接近を試みる。
「さっきまで逃げ回ってたのに、今度はカイトの方から来てくれるんだね」
「ふんっ、動く的でいるのも飽き飽きしたからな」
扇状に放たれる『フレイムランス』を前傾姿勢で辛うじて躱し、さらに接近。残り数十歩という距離まできた。
だが、オリディアは不敵な笑みを浮かべる。
「だけど、ちょっと惜しいかなー」
「何だと……ぐぅっ!?」
疑問を口にしようとした途端に足元が爆発。またしても『エクスプロージョン』だ。
それでも受けたダメージを無視し、爆煙に包まれながらもオリディアがいる場所へとタックルを敢行した。のはいいのだが……手応えがまるで感じられなかった。
「いないだと?」
(おかしい。あの距離なら『エクスプロージョン』に巻き込まれた筈。ならば怯んだり、よろめいたりして、俺のタックルを回避する暇も無いと思うのだが……ぬぅっ!)
そう内心で疑問を抱いている間にも、容赦なく俺の周辺で爆発が連続で発生。
「どこから撃ち込んでやがるのやら。それはそうとして、まずは視界を取り戻さんと話にならんな」
悩むべきところは後退するべきか前進するべきか。
ここで後退を選択すれば、ひとまずは様子見を兼ねて安全を確保できるかもしれない。ただし、その場合だとまた接近するのに苦労する可能性がある。
ならば、敢えて前進を選べばどうなるのだろうか。当然ながら、魔法の攻撃によってさらにダメージを喰らってしまうかもしれない。
そんな分かりやすいデメリットはあるものの、その代わり爆煙に紛れてオリディアに接近できるかもしれないというメリットはある。上手くいくか分からなくて半ば博打めいているが、この賭けに勝てた時のリターンは大きい筈。
もちろん、賭けに負ければ集中砲火を浴びるというリスクもあるだろう。
(だが、それがどうした。この程度で怖気づくようじゃ、本気を出したオリディアを倒すなんて到底無理だ。ここは賭けに出るとしよう)
意を決し、幾多の爆風を浴びながらも爆煙の中を駆け出して前進。
足元が爆発してバランスを崩しそうになりながらも、愚直に前進を続けると不意に壁のような何かに衝突して弾かれた。
「壁?」
「カイト!? ここまで来ちゃったの?」
「この声はオリディアか。なら、この壁をぶっ壊せばいいってわけだ」
即断即決で拳を繰り出し、壁のような何かに叩き込む。
すると今度は手応えを感じ、ヒビが生じるような音が響く。
「もぅ、てっきり逃げ回ってると思ったのに」
「ご期待に添えず悪かったな!」
どうやら賭けに勝ったうえに、意表を突くことができたらしい。実に僥倖である。
これでオリディアとの距離は目と鼻の先。後は壁のようなものを壊してしまえば、近接戦闘に持ち込むことができる筈だ。
「ぶっ壊れろ!」
殴り続けること数十秒で壁のようなものが砕け散る音が響き、拳を繰り出しても手ごたえは感じない。これで阻むものはなくなった。
「うーん、仕切り直しだね」
なのに、羽ばたく音と共に頭上からオリディアの残念そうな声が響く。どうやら逃げられてしまったようだ。
「飛ばれたら文字通り手も足も出ないな……」
警戒しなかったわけではないが、正直なところ対策は全く思いつかなかった。
できることがあるとすれば、降りてくるのを待つだけである。
(俺も遠距離攻撃の一つくらいは欲しいもんだな。どうにか魔法とか使えないかね?)
なんて願望を抱くも、今の俺が魔法を使えたところで文字通り『付け焼き刃』でしかないだろう。ましてや『アークマジックシールド』が使えるオリディアに対して、中途半端な魔法なんて通用するわけがない。
あっさりと防がれるだけだ。
「ところで、飛んだままで何もしてこないのか? 魔法はどうした?」
空から一方的に魔法による攻撃を浴びせられるかと覚悟していたのに、一向にその気配すら感じられない。
それでもなお待ち構えていると、煙の向こうからオリディアの声が聞こえてきた。
「あははは、そうしたいのは山々なんだけどねぇ。飛びながらだと上手くできないんだ」
爆煙が晴れると、上ではバツの悪そうな表情でオリディアが宙で羽ばたいていた。
「やれやれじゃな……」
「やっぱり甘やかし過ぎたかしら……」
と、観客席から呆れ声が聞こえてくる。
(せっかく飛べてもこれじゃ活用しづらいだろうに。俺としては助かるけども)
お互いに手出しできない状況下で、何とも言えない微妙な空気が周囲に漂う。
「どうしたもんかなぁ……」
「うーん、このままだとゴルディア様に怒られちゃうし、やるしかないかぁ」
仕方なさそうな声だった。だが次の瞬間には姿を消した……のではなく、目にも止まらぬ速さで急降下したのである。
そして急降下しながら体を回転させ、その勢いのまま踵落としを繰り出してきた。
「おっ、そっちから来てくれるのはありがたいな」
少し嬉しい反面、行動が予想できなかったために初動が遅れて、回避が間に合いそうにない。仕方なく腕をクロスして防御せざるを得なかった。
(どこまで耐えられるのやら……)
一抹の不安を抱きながら衝撃に備えた。
そうして、クロスした両腕に勢いよく踵が落とされたのである。
「ぐぅっ!」
「もー! 硬すぎ!」
踵落としを受け止めた両腕はあまりの威力にひしゃげてしまう。激しい痛みが走るが、それでもまだ原型はとどまっており、戦闘には支障をきたす程ではない。
(いってぇな。でも、この程度で済んでよかった)
しかし、問題はオリディアだ。踵落としの反動を利用して真上に飛び上がり、今度はストンピングを繰り出してきたのである。
「器用なことをしやがる!」
踵落としの威力からして、また両腕で防御すればさらにひしゃげてしまうだろう。その際には両腕が使い物にならなくなる可能性がある。
さすがに敗北に直結しかねない要素は看過するわけにはいかないな。
「くっ!」
その場から飛び退き、辛うじて回避。俺の代わりに石床が粉砕され、石の破片が辺りに撒き散らされる。
だが強引に飛び退いたせいか体勢が不安定になり、無理に足を動かせば転んでしまいそうだ。当然、オリディアはそんな隙を見逃すほど甘いわけがない。即座に距離を詰めてきた。
「もらった!」
接近しながら容赦なく回し蹴りを繰り出す。狙いは俺の頭部だ。これが直撃しようものなら致命傷になりかねないだろう。
「嫌なところ狙ってきやがる!」
おそらく、他の部位と違って頭部が粉砕されてしまえば意識が消し飛ぶ。そして即時に『鎧化』が解除されるに違いない。
そうなれば俺の負けになる。頭部だけは何がなんでも死守しなければ。
「よっと!」
直撃する寸前のところで上体を仰け反らせると、目の前で回し蹴りが空を切った。それを視認して上体を元に戻した。
(ふぅ、なんとかなったか……っ!?)
「がっ!?」
上体を元に戻したと同時に何かが顔面に迫り、回避する暇もなくこれが側頭部に直撃。
「ふふーん、カイトったら甘いねぇ」
「そうきたか……」
俺の顔面を襲ったのはオリディアの尻尾だった。まさかの二段構えであり、見事に虚を突かれてしまったようだ。
幸いなことに威力は大したことなく、側頭部が歪んで尻尾が軽くめり込んだ程度で済んだだけである。
(でも、これが本気だったとしたら……今頃どうなってたことやら。想像したただけで寒気が走るな)
侮っていたわけではないが、少し気を抜いただけでこの有り様である。ここから先は、一度たりとも気を緩めるわけにはいかないな。
内心で改めて気を引き締めた。そして、オリディアの尻尾を掴んだ。
「いい気にならずに、さっさと次の行動に移ればよかったものを」
「ちょっと! 何するつもり!?」
慌てて尻尾を引き戻そうとするがもう遅い。強引に引っ張り、ハンマー投げの要領でオリディアを回転させた。
「わー、目が回る~」
「余裕そうだな……」
声に危機感がない。
でも遠心力が働いているおかげか、オリディアからの反撃はない。それは助かるけども、このままというわけにはいくまい。あまり猶予は無いと考えた方がいいだろう。
(少しは時間稼ぎができたか。しかし、これからどうしたらいいのやら。それにしても……やっぱり軽いな)
以前にも背負ったことはあるが、体重は年相応の少女らしく重くはない。だというのに、常人からかけ離れた威力の蹴りを当たり前のように繰り出している。
こんな華奢な体のどこにそんな力があるのやら。まったくもって末恐ろしいものだ。
(それはともかくとして、本当にどうしたらいい? 生半可な攻撃ではオリディアに通じないだろうしなぁ)
ワイバーンに噛みつかれても鱗で防ぐ防御能力を有している。そのうえ、腹部に風穴を開けられても即時に全快する治癒能力までもある。
今の状態でそれらを使えるか分からないけども、本気を出したら使えるんだよな。そんなオリディアを倒すのは困難を極めるどころではない気がしてきた。
などと考えながら内心で頭を抱えていると、ついにオリディアが口を開いた。
「ねぇ、飽きてきちゃったからさ、もういいよね?」
「何が?」と疑問を口にする前に、風の塊が直撃して吹き飛ばされてしまう。この威力は間違いなく『ウィンドキャノン』だろうけど、至近距離で放とうものならオリディアも確実に巻き込まれている筈。
なのに、立ち上がってみると目の前には無傷なオリディアがいた。よく見てみると、片手をかざして不透明な壁を展開している。
「まさか……二種類の魔法を同時に発動させていたのか?」
「うん、そうだよ。凄いでしょ?」
あっさりと認めているが、実際のところは凄いどころではないように思える。俺の感覚が正しければ、普通ではない筈だ。
ともあれ、オリディアが『エクスプロージョン』に巻き込まれなかった理由が、これで判明したな。
(俺が殴りつけた壁らしきものは、『アークマジックシールド』だったんだ。しっかし、魔法とかの遠距離戦だとオリディアに勝てる見込みがまるでないな)
一方的に魔法を撃ち込まれて、一方的にこちらの攻撃を防がれるからな。
それと、『鎧化』に魔法への耐性が無ければ本気のオリディアと戦うことすら叶わなかっただろう。
魔法の攻撃を掻い潜って接近しても、『アークマジックシールド』で阻まれた瞬間を狙われて終わり。っていう結末もあり得たな。
こういったところで、女神様に感謝したくなる。
(本当は感謝なんかしたくないんだけど、実際に助かってるからなぁ。にしても、魔法に苦しめられるって想定したから耐性でも付けたのかねぇ)
あるいは、過去に魔法で苦しめられたのだろうか。ここまでくると準備が良いというよりも、ピンポイントでしっかり対策しているような気がするんだよな。
「って、今はそれどころじゃないな!」
「カイト! わたしに集中してよ!」
放たれる『ウィンドキャノン』に対して、両腕をクロスして耐え凌ぐ。
だがクロスを解いた次の瞬間には、跳び蹴りを繰り出すオリディアの姿を視界に捉えた。
「うおっ!?」
咄嗟にしゃがんでやり過ごして、飛び蹴り何とか回避。だが、立ち上がって次の攻撃に備えようとするも、振り返ると既に拳が眼前に迫っていた。
「グハッ!!」
回避する間も無く容赦なく拳が顔面に突き刺さって、顔面が盛大に陥没する音が響き渡った。
次回でオリディアが本気出します。




