第三十七話 谷での共闘
わりととんでもない槍が出てきてしまった……。
「やれやれ、まさかよじ登ることになるとは」
俺は今、岩壁に手を突き刺しながら谷底から這い上がっていた。
あらかじめ言っておくが、これは決して逃げているわけではない。ヴェントとオリディアさんに任された役目を果たす為である。
「しっかしまぁ、この俺に大役が回ってくるとは思わなかったな」
そうボヤき、二人との会話を思い返した。
「カイト、お前にはゾアのいるテントに乗り込んでもらいたい」
「ワイバーンならわたしたちで引き付けておくから、カイト一人でも安心して戦えるでしょ?」
「い、いいのか? 二人が囮役で、俺が本命だなんて」
(まさか、そんな重大な役目を俺に任せるとは……)
戸惑いを禁じ得ないが、正直なところゾアの相手をさせてくれるのは助かる。空を飛ぶワイバーンはともかく、人間が相手なら勝機はあるからな。
ただ、どうして二人は俺にこんな大役を任せたのだろうか。てっきり、鬱憤を晴らすためにゾアのいるテントに殴り込んでもおかしくはないと思っていたんだけど。
「ちなみに言っておくけどな。本当はオレをこけにしたゾアをこの手で殴り飛ばしたかったんだぞ」
「というのがわたしたちの本音だけど、ワイバーンとゾアを分断した方が確実性は高いからねー」
「あぁ、そういうことか」
つまるところ、合理的に考えた結果として俺に任せたいのだろう。
確かに確実性を重視するのなら、ワイバーンとゾアは分断しておくに限る。
で、肝心なのは分断をした後だ。おそらく、いかに早くゾアを無力化するかが重要になってくる筈。
「俺が長引けば長引くほど、不利になるわけだよな」
「うん、その通りだよ」
「というわけで、頑張ってくれよ。『風の加護』さえ使えるようになれば、ワイバーンの群れなんざすぐさま片付けてやるからさ」
ヴェントがそこまで豪語するということは、かなり凄まじいスキルなのだろうか。
ともあれ、『風の加護』を使うところを拝む為には、俺がゾアを倒さなければならない。
しかし……ワイバーンの群れやヴェントへの対策だけじゃなく、罠を仕掛けていたりとか用意周到であることを考慮すると、ゾアは他にも何らかの対策を用意している可能性はある。
というか、俺だったら用意しておく。万が一にもワイバーンの群れが潰され、仕掛けておいた罠を踏み越えられたら、最終的には己自身が戦うしかないのだ。ならば、戦う為の武器や手段は用意しておくのは当然とも言えよう。
「うーむ、だとしてもゾアの奴はどんな戦い方をするんだ? 隊長と呼ばれる男を尋問することができていれば、少しは戦いが楽になるかもしれなかったんだが……」
「死んじまったもんは仕方ないんだから、気にすんなって」
「そうそう。それにアイツらってさ、どんな躾をされているのか分からないけど、少しでも追い詰めたら躊躇なく自爆しちゃうんだ。だからわたしたちでも尋問できた試しがないんだよね」
「前にも何度かここを襲撃したのか。てか、アイツらの組織って随分とド畜生だな」
まさか、自発的に自爆するように洗脳とか施しているんじゃないだろうな。いや,俺にとって非常識だらけなこの異世界なんだ。普通にあり得そうな話である。
「まっ、少しは不安に感じてるかもしれないけど、アイツらの魔法を受けても無傷だったカイトならきっと大丈夫だろ」
「仕掛けられていた罠も魔法を発動する魔導具みたいだったし、カイトなら突破するのはそう難しくないと思うよ」
「魔法だけなら全然怖くはない。でも、強力な武器とかあれば話は変わってくるぞ」
組織とやらの連中が持つ使い捨ての魔剣は、頑丈さが売りである俺の鎧の身体に対して有効なのだ。
しかも、組織内で特別な立ち位置にいそうなゾアなら、襲撃してきた連中と違ってより強力な魔剣を持っていてもおかしくはない。それこそ、思いもよらない切り札的な代物とかありそうだな。
「だとしても、初見殺し覚悟で行くしかないか。できるできないの問題じゃない。やるしかないってな」
己を奮い立たせるようにそう言い聞かせて、腹を括った。
ここで怖気付くわけにはいかないからな。それに、俺にだって『神格解放』という切り札がある。もしも相手が道具に頼るというのであれば、それを破壊してしまえば勝ち目はある筈だ。
「そうそう、男は度胸って言うしな。いいところを見せてくれよ」
「わたしも期待しているからねっ」
「あ、あぁ……期待に応えられるように善処は尽くす」
しれっとハードルが高くなったような気がするが……せめて無様な姿を晒さないように心掛けておこう。
「それじゃあ、話は決まったな。オレとオリディアはワイバーンの群れを奇襲する準備をしてくる。カイトは今から上に登ってくれ」
「えっ」
「夜明けと同時に仕掛けるから、それまでにはゾアのテントの近くで待機していてね」
「マジで?」
こうして二手に分かれて、今に至っている。
僅かに差し込んでくる月明かりを頼りに絶賛登攀中ではあるが、正直に言うと滅茶苦茶怖い。
いやさ、下を見れば真っ暗闇で何も見えないし、地味に強い風が吹いていて身体を揺らしてくるしで、本当に心臓に悪いぜ。
「あっ、だけど今の俺には心臓はないんだったな」
戯言はさておき……この高さから落ちたら、確実に半壊は免れられないだろう。
だからこそ、手を滑らせるといったリスクを無くす為に、貫手で岩壁を貫いてよじ登っている。
その甲斐もあってか、落ちることなく順調に登り進めることができ、この調子なら予定に遅れることはないだろう。
「にしても、ヴェントは何を準備するんだろうな」
一応、詳しく聞こうと試みたのだが……『恥ずかしいから早く行ってくれ』と、頬を僅かに紅く染めたヴェントに言われた挙句、部屋から外に投げ飛ばされてしまった。
おかげで準備の内容が分からないままである。
「うーん、恥ずかしがる理由が見当もつかないな。あの部屋で着替えるとかするのなら分からなくもないけど、今度は着替える理由が分からん」
等と思考を巡らせながら黙々と登っている内に、とうとう終着点が目前に迫ってきた。ついでに空も白み始め、夜明けが近づきつつある。
「やっば、急がねぇと間に合わんぞ」
それからは、細心の注意を払いながら登る速度を上げ、何とか日が昇る寸前で登り切ることができた。
ギリギリではあるが、何とか間に合った。
「ふぅ、そろそろ奇襲を仕掛ける頃合いか。お目当てのテントは……おっ、あれか。言われた通り派手で分かりやすいな」
大きな岩の陰に建てられていたものの、ゾアが寝泊まりしているであろうテントは一軒家のように大きく、やけに豪華な装飾が施されていた。
自己主張の激しさを見るに、とてもではないがキャンプには向いてなさそうなテントである。
「まったく、何を考えてあんな悪趣味なテントを用意したのやら」
おかげで分かりやすいから別にいいけど。さて、奇襲が始まる前に少しは近づいておくとするか。
そう考えて近づいてみると、テントの周辺には原形をとどめていないモンスターの骸が幾つも転がっているのが視認できた。
「なるほどな。これが罠に掛かってしまったモンスターか。この惨状からして、罠の威力はそれなりに強力だろうよ」
最低でも中級魔法相当の威力はあると思われる。
ただし、俺の鎧の身体は中級魔法でさえ傷一つ付けられないのだから、例え上級魔法相当の威力があっても突破は難しくはないと思う。
その気になれば、魔道具の地雷原なんて走り抜けることができるのではなかろうか。
「まぁ、問題は音が大きいという点と……あのワイバーンの群れか」
テントから離れた場所で、ワイバーンが群れで眠っていた。
しかし、テントからはだいぶ距離がある。周辺に罠を仕掛けてあるとはいえ、不用心ではなかろうか。仮に罠を起動させずに接近できる存在がいたとしたら、どう対処するつもりだ?
「うーむ、何となく怪しいな。っと、ついにお出ましか」
突然、谷から羽ばたく音が聞こえてきた。きっとヴェントに違いあるまい。
そうして羽ばたく音が徐々に大きくなっていくと、ついにその姿を現した。
「おぉ……あれが『風の眷属竜』としての姿か……」
朝日を浴び、力強く羽ばたいて空へと舞い上がるのは、鮮やかな翠色の鱗を身に纏う『竜』だった。
初めて拝むその『竜』は、あのワイバーンより二回りも大きい巨躯を誇り、両翼に至っては広げるとワイバーンの倍近くもある。しかも、ただ単に巨躯というわけではない。スレンダーな体型で程よく引き締まった肉体は美しく、吸い込まれそうな濃い緑色の瞳に凛々しい顔立ちといい、思わず感嘆のため息をついてしまいそうだ。
それでいて圧倒的な存在感を放ちながらも、無差別に威圧するようなものではなく、畏怖の念を抱かせるようなものであった。
「すげぇな……ゾアの奴があれだけの下準備するのも納得だぜ」
もはや強敵や難敵といった言葉では生温く、規格外な存在であることは明白で、生半可な戦力では太刀打ちはできまい。
だからこそ、ヴェントが持つ『風の加護』を何らかの方法で封じたのだろう。もし使えていたら、ワイバーンの群れでも歯が立たなそうだからな。
「げっ、さすがに目覚めたか」
ヴェント……いや、『風の眷属竜』の気配を察知したのか、ワイバーンたちが次々と目覚めて空へと羽ばたこうとしていた。
ただ、その内の一体だけはゾアのいるテントに向かおうとしている。これでは奇襲どころか分断すらできなくなりそうだが……。
「おいおい、アレをどうにかしないと俺は動けねえぞ」
なんて危機感を抱いていると、ヴェントはテントに向かうワイバーンに狙いを定めて急降下するのであった。
そして、巨躯でありながら信じられない速度であっという間に追いつくと、ワイバーンの背後から覆いかぶさるように頭を掴み、そのまま地面に押し付けたまま低空飛行を続行し、挙句の果ては卵のようにあっさりと頭を潰して殺した。
これでゾアと合流されるのは防げたが、ヴェントが殺気立つワイバーンの群れから逃げている様子を見るに、安堵するにはまだ早い。
「『風の加護』が使えなけりゃ多勢に無勢か……急がないと」
危険を冒してまで囮になって時間を稼いでくれているのだ。なら、俺も危険を承知で頑張らないとな。
「よしっ、突っ切ってやるか!」
そう宣言し、ゾアがいるであろうテントへと一直線に駆け出した。
もちろんのことだが、事前に知らされていた罠の魔道具が起動して、不意打ちのように地面から魔法が放たれる。がしかし、悉くは俺に効かず、たまに強力な代物があれども、足止めにすらならない。
「はっはーっ!確かにうるせぇなこれ!」
燃え盛る音、風切り音、破砕音、しまいには爆発音までが盛大に響き渡っていた。それらをひたすら無視して走り抜け、その勢いのままテントの入り口を蹴破って内部に踏み込んだ。
「お邪魔するぜ!って、うおっ!?」
威勢よく突入したのはいいが、足元から糸のような物が射出されて身体に巻き付き、身動きが取れなくなってしまった。どうやら、テントの内側にも何らかの罠が仕掛けられていたらしい。
うーむ、いくら急いでいたとはいえ、さすがに迂闊だったな。ただ、過ぎてしまったことは仕方がないし、まずはどうにか身体を動かせるようにしなければ。
と、考えたところで、聞き覚えのある威圧的な声が聞こえてきた。
「ふんっ、やけに頑丈なネズミが侵入してきたかと思えば、やはり貴様だったか。となると、奴らは抹殺は失敗に終わって死んだのだな」
テントの奥から、黒いローブ男が姿を現した。
「よぉ、昨日ぶりだな。えーと、ゾアでいいんだよな?」
「貴様ごときが気安く俺様の名を呼ぶな。しかし、失敗に終わったどころか、俺様の名を敵に漏らしたか。奴らめ、役立たずにも程があるぞ」
「おいおい、別に庇うつもりはないけどよ。そこまで言うのは酷ってもんじゃないのか?」
昨夜の襲撃者たちは、下された命令を忠実に遂行しようとして命を落としたのだ。しかも隊長と呼ばれる男に至っては、情報を守るために自前の毒で自決している。
だというのに、この言われようでは報われなさ過ぎる。あんまりではなかろうか。
「事実を言ったまでだ。そもそも、部外者である貴様が気にすることではあるまい。所詮、奴らは捨て駒に過ぎないのだぞ?」
「ただの道具扱いかよ。テメェ、人の心はねぇのか?」
「ほう? 貴様にとって奴らは敵だというのに、何が気に食わないというのだ?」
「敵だとか味方だとか関係ないね。単にテメェの言動が気に食わなくて聞くに堪えないんでな」
「何を言っているのかサッパリだな。まぁいい、無駄話はこれで終わりにして……貴様には死んでもらおうか」
「はっ、やれるもんならやってみなよ」
何て大口を叩いたけど、残念ながら未だに身動きが取れないし、何故か全身が地味に痛い。
まるでたこ糸で縛られたボンレスハムになったような気分だ。つっても、今の俺は鎧だから美味しくないだろうけど。
「しかし、貴様の頑丈さには驚きを通り越して呆れてしまうな。谷底に落ちて生還したどころか、俺様が作り上げた魔鋼ワイヤーですら切断できないというのだからな」
「魔鋼ワイヤーだと?」
まさかのワイヤーの罠ときたか。それでいて魔鋼を材料に使っているおかげか、細くて頑丈という中々の代物である。
しかも、強引に引き千切ることができないとは。こんな初見殺しを用意していたから、敢えて離れた場所にワイバーンの群れを待機させていたのだろうか。いやはや、これは完全に予想外だったな。
「本来ならば、外の罠を突破した愚かな侵入者をバラバラに切断する予定だったのだっが、こうなってしまえば俺様が直々に手を下すしかなかろう」
「へぇ、どうやって?」
「これを使う」
そう言うと、ゾアは槍を取り出した。その槍は、蛇のような瞳が装飾として施されていたり、緑色の幾何学模様が彫られているが、それらがなければ見覚えのある巨大な針に見える。
というか見覚えがあるんだよな。具体的には、鼻無しと戦う際に使ったある物と似ている。
「それって、ワイバーンの尻尾の針か?」
「その通りだ。俺様が特別に加工した槍でな。貴様がいくら頑丈といえども、これをもってすれば貫くのは容易いだろう」
「なるほど。それなら確かに貫けるだろうよ」
ただ、俺を貫く為にわざわざ近づいてくれるのであれば、それはそれで好都合。十分な距離まで来てくれたら、その瞬間に『神格解放』を使って魔鋼ワイヤーを引き千切り、ゾアを拘束してやる。
と考えていたのに、現実はそう甘くはなかった。
「この槍は投擲用に仕上げていて、仮ではあるが『ホーミングスティンガー』と命名してある。本来なら、魔鋼ワイヤーの罠に引っ掛かるような間抜けに使うのは勿体ない代物だぞ。有り難く思え」
「けっ、言ってくれるぜ」
ゾアの言うことは腹立たしいが、それよりも投擲用というのが厄介だ。これではゾアが俺に近づくことはない。もしも近づくとしたら、俺から『ホーミングスティンガー』とやらを抜き取る際だろうか。
となると、死んだ振りでもしておくか?
「さて、冥途の土産としての説明はもう十分だろう。貴様には死んでもらおう……『穿て』」
そう言って『ホーミングスティンガー』を投擲したが、あまり力を入れていないように見える。何故だと訝しむも、その疑問は即座に解消されることとなった。
というのも、装飾として施されている蛇のような瞳が生き物のように蠢いて俺を睨みつけたと思いきや、緑色の幾何学模様が光って一瞬だけ激しい風が巻き起こり、発射されたミサイルのごとく俺に飛来したのだ。
「なんじゃそりゃっ!? ぐはぁっ!?」
「ふむ、命中精度と威力は良好だな」
投擲された『ホーミングスティンガー』はいとも簡単に俺の胸部を貫いて貫通した。
ゲーム内でもワイバーンの尻尾の針を加工して、『魔竜槍』という名の強力な武器にすることも可能だった。が、この『ホーミングスティンガー』はその武器以上の性能をしていやがる。
まさかホーミングミサイルめいた使い方をするとは……しかも貫通力は中々のものだ。いやぁ、こんな物をよく作ったな。
そう考えながら死んだ振りをしていた。しかし、今回ばかりは相手が悪かったようだ。
「やけに静かだが、死んだ振りでもしているのか? 生憎、貴様が風穴を開けられてもピンピンしていたと報告は受けている。無駄な真似は止めておくことだな」
「なんだよ、知ってたのかよ」
「いや、報告を聞いてすぐさま鵜呑みにはしなかったが、貴様の落ち着きようを見てもしやと思ったまでのことだ」
「……ちゃんと命乞いの演技でもしておけばよかったな」
おいおいこれじゃ不意打ちができないじゃねぇか。かくなる上は……。
「さて、心臓を貫いても駄目なら次はその頭を貫いてやろう。念の為に予備も用意してある。貴様のような間抜けに二本も使ってやるのだ。光栄に思うがいい」
「さっきからペラペラと偉そうに喋りやがって、間抜けはテメェの方なんだよ!!」
『神格解放』
内心で切り札の名を唱えた途端に身体が僅かに白く発光し、全身という全身からおぞましい激痛が迸る。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁあ゛ぁぁぁぁっ!!」
そして、俺を戒める魔鋼ワイヤーは瞬く間に光の粒子と化して分解され、胸を貫く『ホーミングスティンガー』は見る見る内にヒビが入り、粉々に砕け散った。
なのに、ゾアはその様子を見ても冷静だった。
「そうか……復活していたというのは事実だったか。となると、俺様も本腰を入れなければなるまい」
「ふ、復活だぁ? 一体……何を言ってやがるんだ?」
三回目とはいえども、やはりというべきかこの激痛には未だ慣れそうにないが……そんなことよりもゾアの意味深な発言が気になってしょうがない。
まさか『神格解放』を知っているのか?
「不本意ではあるが、致し方ない。『風の眷属竜』の優先順位を下げて計画は変更だ」
「おいおい、変更ってどういうこった?」
唐突なことを言い出すし、ゾアから発せられる剣吞な雰囲気が尋常じゃないしで、何が何だかサッパリだ。
「我らの悲願成就の最大の障害になるであろう貴様を……この場で必ず滅ぼす!!」
と、確固たる意志が感じられる声でゾアはそう宣言したのであった。
「いや、悲願成就って……しかも、殺すとか抹殺じゃなくて滅ぼすときたか……」
物騒というレベルじゃないな。昨日の剥き出しの憎悪やゾアの豹変ぶりといい、コイツらの組織にとって俺はどんな存在なんだ?
分からないことばかりだが、はっきり分かっていることがあるとすれば、狙いを『風の眷属竜』から俺に変更したことだろうか。
(理不尽とまでは言わんが……どうして俺が優先されるんだよ)
そんな急展開に、俺は困惑せざるを得なかった。
次回は激闘となります。お楽しみにしてください。それと次こそはオリディアの好感度は上がると思います。