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第一話 弟が心配です。

ショタ攻めが好きです。

俺の名前は、斎藤 友久。24歳。どこにでも居そうな平凡な容姿に、平均的な身長。特に秀でた才能等もなく、平凡に暮らしている。ある1つの事を除いては…。


***


俺には一回り年の離れた弟がいる。名前は、斎藤 優太。

成長期がまだ来ていないのか、まだまだ身長も小さく、声も高い。

ぱっちりした目に長い睫、傷むことを知らないサラサラな黒髪。自分の弟とは思えないほど、顔面が整っていると思う。


仕事大好き人間の両親から産まれ、忙しい両親に変わり優太の面倒は、俺がみていた。

社会人になってからも変わらず、出来るだけ優太に寂しい思いをさせないように、働く時間が融通のきく在宅ワークもできる会社に就職した。

それを知った友人からは、「お前過保護っていうか…なんか…まぁ、とにかく偉いよ!」と言われてしまった。

過保護か過保護じゃないかは関係なく、まだまだ小さい弟を俺が守ってあげなきゃという使命感で一杯だったのだ。

弟のオムツ交換から世話してきたんだ、ここまで来ると、兄ではなく育ての親の気分だ。


ふと、壁に掛けてある時計に目を移すと、時計の針が7時を指していた。

(そろそろ優太起こさなきゃな…。)


優太は朝が苦手なのか、何時も声をかけないと起きてこないのだ。もう中学生だというのに起こしてあげるのは、やっぱり過保護なのかも知れない。


優太の部屋の扉をノックする。

「優太。もう起きる時間だぞー。」

「………………。」


全く返事がない…。まだ寝ているのか?

「おーい。遅刻しても知らないからなー。」

「………………。」


はぁ…。小さく溜め息が漏れる。

仕方なく扉を開け中を確認すると、すやすやと眠っている優太が見えた。

そっと近づき肩を優しく揺さぶる。


「優太?早く起きろ。」

「……っ。……ぅん?……。はぁ~…ふぁっ。」


眠たいのか全く開いていない目を此方に向け、目を擦りながら大きな欠伸をしている。


「起きたか~?もうメシ出来てるから早く降りてこいよ?」

そう言い、扉の方へ向かおうとした瞬間、ガシッと腕を掴まれ後ろに引かれた。余りに突然の事で、バランスを崩しベッドに倒れ込んでしまった。


「……っ。大丈夫か!優太!」

ばっと顔を上げると、物凄く驚いた様に目を真ん丸に見開いた優太と目があった。しかも鼻が当たりそうなほどの至近距離で…。


ふと冷静になると、弟を押し倒していることに気付き、咄嗟に勢い良く身を起こす。

すると優太は、にっこりと顔を綻ばせ「ともにぃ!おはよぉ!」と、俺の腰に抱きついてきた。


俺の腹にぐりぐりと頭を押し付けてくる無邪気な姿は、子犬のように感じる。思わずわしゃわしゃと頭を撫でてやると、ぎゅっと抱き締められていた力が緩み、にへっと嬉しそうな顔を此方に向けてきた。


何だかほわっとしたような温かい気持ちに包まれた気がした。

(母さん…。これが母性本能というやつなのか…。)


***


「いただきます!」と元気良く手を合わせご飯を食べ始める優太。

「あんまり慌てて食べるとむせるから気を付けろよ…。」


「うんっ!しっかり良く噛んで食べなさい!…でしょ?」

得意気にそう言う優太の口の横には米粒が付いていて思わず笑ってしまった。

「ともにぃ何で笑ってるの?」不思議そうに小首をかしげる優太の口元に手を伸ばし米粒を取ってやる。

「ふふっ…あんまり急いで食べなくてもメシは逃げないからゆっくり食べな?」

自分の口に米が付いていたことを知ってか、優太は恥ずかしそうに顔を俯かせた。


「……ろ…………ぇ…。」

「ん?ごめん、声小さくて聞き取れなかった。もう一回言ってくれるか?」

俯かせていた顔をあげ、にぱっと笑い「何でもないよ!ともにぃの玉子焼美味しいな~!世界一大好き!…全部食べちゃいたいくらい。」


「そうか!そんなに旨いなら全部食べて良いぞ!兄ちゃんは後で適当に作って食べるから気にせず沢山食え。」


***


「優太、忘れ物無いか?ティッシュとハンカチもちゃんと持って行けよ?」

「………うん。」

玄関で学校に行く優太を見送る。しかし、先ほどまでの元気いっぱいの笑顔は無く、少し憂鬱そうな顔をしていた。


「どうした?学校で嫌な事でもあったのか?」心配になり、優太と目線を合わせ顔を覗き込む。

「……何でもない。」そういうと、顔を俯かせて黙り込んでしまった。

「何もないことないだろ?…兄ちゃんには相談できないのか?」

優太が困っているときに何の頼りにもなれない自分の不甲斐なさにシュンとする。


「いや!ともにぃが気にすることじゃないよ!本当に大丈夫だから!」

「本当か?…無理してないか?」

「うん。ともにぃ、ありがとっ。」優太は、にこっと笑むと俺の首に腕をまわし、ぎゅっと抱き締めてきた。それに応えるようにポンポンと頭を撫でてやる。

(はぁ、コイツ変な所で頑固だから絶対に理由言ってくれないだろうな。俺ってそんなに頼りないかなぁ?)


「じゃあ行ってきます!」

「おうっ!気を付けて行って来いよ。」

玄関先で優太が見えなくなるまで見送る。


「ふぅ…。仕事しますか…。」



読んでくださりありがとうございます!

コメント大歓迎です!

評価&ブックマークしてくださると嬉しいです!(号泣して喜びます。)


まだまだ続くのでよろしくお願いします!

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