4 冒険者ギルドで登録しました。
ブックマークして下さった方、評価頂いた方、有難う御座います。
凄く嬉しかったです!
ネトゲの王都で俺は朝8時に目を覚ました。
いつもなら今から寝る時間だ。
寝ぼけた頭で顔を洗いに洗面所に行く。
「うわっ!」
鏡に写っているのは 寝癖も目やにも付いていない 完璧サラサラ髪のシルバーこと、俺。
昨日までとのギャップがハンパない… 。
「おはよう御座います。」と背後からの声。
「わっ!? びっくりした〜っ、おはよう御座います セバスチャンさん。」
隠密スケールでも持ってるのか足音さえ聞こえなかったよ…!
「セバスチャンさん、今日は午前中に冒険者ギルドに行ってきます。
それから3時に王族の方と外出するので夕飯は要りません。でも外出用の服の用意はお願いします。」
「承知しました。」
俺は用意して貰った服に着替えて一階に下りる。
やっぱり騎士服だよね。
朝からコスプレして飯を食う事にも早くなれなくては。。。。
「おはよう御座います。どうぞこちらへ」
アナさんが笑顔で迎えてくれた。
「おはよう御座います 朝食美味しそうですね。」
コーヒーにオレンジジュース、厚切りトースト、目玉焼きとソーセージ、そしてサラダとフルーツ。
目の前には食べたかった朝食があった。
ダイニングの暖炉の上の鏡はテレビにもなるようで、
食後にコーヒーをもう一杯飲みながらテレビを見ているともう10時。
今日は東京は雨らしいがこちらの世界は晴天だ。
「セバスチャンさん そろそろ行ってきます。」
エントランス前で俺は自分が持っている色々な乗り物の中から馬を選ぶと、やたらと優雅な白馬が現れた。
「えーと手綱に触って。」
近藤さんから教わった通り手綱を触ったら馬の上にまたがっていた。
「マップ機能で行き先入力して〜、それから〜21分の一番近道を選択。 ではセバスチャンさん、アナさん、行ってきます。」
「行ってらっしゃいませご主人様。」
この馬は自動運転の車みたいに俺が操作する必要も無く、必要なら止まり、そしてまた勝手に走る。
豪邸が並ぶ通りを抜けて街の中心街にやってきた。
オシャレなカフェや、有名ブランドのブティック、レストラン、5星の有名ホテル、映画館、劇場などいろいろある。
そこを抜けて民宿や、パンやさんや、肉屋さんが有る商店街の一角の大きな建物の前で馬が止まった。
ここが冒険者ギルドのようだ。
馬をしまってから、重々しいハードウッドのドアを開き中に入ると、そこは予想に反して広くて、たいそう立派な内装の施設だった。
「凄いな。」
新規登録は右側のカウンターだ。
すでに4人が並んでいる。
俺も列に並ぶと前の男が話しかけてきた。
「ハイ! 君もVLSなの? 俺はハンス スイスから来てるんだ。君は? 」
「俺もVLS、日本だよ。名前は健司、でも皆んな俺の事をシルバーって呼んでる。宜しく。」
「俺達はゲーム配信もしてるんだけど、この画像使って良い?」
「ああ良いよ。ところで君はここにどれくらい滞在するの?」
「俺達はここから近くの宿を本拠地にして少なくても1ヶ月はいると思う。凄く楽しみだよ日本以外ではVRじゃ入れなかったからね。今日やっとVLSで海外からアクセス出来るようになって、もう米国、英国、オーストラリアとシンガポールの奴らはクエスト始めてるらしいよ。」
「そうなんだ。凄いな。」
俺が驚いたのは海外ではゲームするためにVLSに入ってる奴もいるって事だ。凄い入れ込みようだ。
「あっ、行かなきゃ じゃあなシルバー。また会おう!」
同時翻訳機能で会話もスムーズだった。
「はい 次、新規登録だろ、そこに腕輪かざして。」
言われたように腕をかざす。
「おい マジか?…。」
受付のがっちりした大男は俺の顔と表示された情報を何度も確認する。
「全く、どうしたのさ。」
隣のカウンターにいた女性が寄って来てスクリーンを覗き込んだ。
「あらやだ。壊れたのかしら?」
大男は俺の方を向いてカードを用意しながら、
「こんなの初めてみたぜ。王家のナイトさんか、大したもんだ。 俺の名前はゴードン。 」
「私の名前は陽炎よ、…じゃあこれからはシルバーって呼ばせて貰うわ。私は隣のカウンターで冒険者達に情報提供してるの。」
「ゴードンさん、陽炎さん宜しく。」
俺のレベルが高いのは決して俺がやり込んだ訳じゃ無いんだけどね………。
俺はカードを貰い、腕輪にも登録を済ませた。
「あの、他の冒険者達は登録後は何処に行ったんですか?」
「いろいろよ、ダンジョンに向かう人達もいれば、 ここでパーティーメンバーを探す人達もいる。レベルが低い冒険者は経験を積むために野原で戦ったり。まあ、あんたのレベルなら何処にでも転移できるけどね。」
「じゃあさっきの冒険者達は?」
「彼らは新しい冒険者だから今のレベルだと野原しか行けないわね。
フィールド行くんだったらこの奥に冒険者ゲートが有るから、そこから行くといいわよ。」
「じゃあ、行ってみます
未だ時間が有るからちょっと見てこよう。
冒険者ゲートに来てみると王都近くに数カ所フィールドがあり、俺は南東のフィールドに行ってみる事にした。
南東フィールドに到着すると、見える範囲に結構モンスターがいる。
スイスのパーティーもここかなぁ?
でもこんなにモンスターがいるって事はここじゃ無いかも。
「クワーーーー!」
急に俺めがけて目つきの悪い大きな鳥が突っ込んでくる。
イービルターキー?
戦闘モード起動して、剣に手をかけて足を一歩踏み込むと同時にキレイに剣が鳥の首をはねた。
良い剣なんだろう、まるで空気を切るようなスムーズな手応えだ。
でも鳥ってゲームでも首無しで走るんだね。
さすがに数メートル走ってパッタリと倒れた。
「おー。」
リアリティーが半端無い。
もし血とかドバッと出てたらホラゲが苦手な俺は無理だったかも。
レベルが低いザコが俺に攻撃してくるって事は、クエストが発動したのだろう。
俺の場合多分このフィールドでのレベアゲは無いが練習にはなるかな。
大きなカナブンのようなジュライバグや、キノコのようなヒューマンゲストファンガスなどを倒しながら周りを探索していると、「助けて。」と声が聞こえた。!
「どこ?」
前方に人が倒れていた。
「助けて。」
もしかしてHP切れ?
俺はボイスコマンドで回復魔法の詠唱をかける。
白や紫の光がハラハラと彼の身体に注がれた。
「おー助かった! ありがとう。気付いたら後ろからアタックされてHP根こそぎ持ってかれて動けなくなってたよ。私の名前はサムライブライアン、お主の名は?」
お主??
「俺は健司、皆んなシルバーって呼んでるよ。君もVLSで海外から?」
「そう、身体は米国。でもさ〜ラグ無くてサクサク動けて快適。私は今日からアストリアに住む事にしたんだ。今ここに居るって事はお主もVLSだろ? お主もここに住むのか?。」
「そうだよ、宜しく。」
直ぐに招待状が届いた。
「これからどうする?」
「俺はこれから仕事だから帰んなきゃ。君は?」
「もう少しここでレベリング頑張るよ。」
「じゃあ気を付けて。」
「ありがとう。」
俺は冒険者ゲートに向かう。
それにしてもさっきのサムライブライアンさんのコスチューム凄かったなぁ〜。カスタムかな?きっと凄く課金してるんだよね? 気合入ってんなぁ〜。
俺が屋敷に到着するとアナさんが今や遅しと俺を待っていた。
「ご主人様遅いので心配しましたよ〜、さあさあ早くお風呂入っちゃってください。」
と催促する。
ここVLSだから風呂関係無いんだけどなぁ〜。と思うがアナさんには言えず、素直に風呂に入る事にした。
お風呂はとても良い匂いのお湯で、シャンプー、コンディショナー、ソープも同じ香りだった。
VRでログインする近藤さんには俺が臭かろうが、良い香りだろうが分からないんだけどね。
風呂から出てアナさんが用意してくれた服を着る。
黒い騎士服を着た俺はシルバーというよりは。。。カラス?って感じだ。
セバスチャンさんがぐるりと服装を確認した後に、
「シルバー様、城ではどうぞ騎士の礼をお忘れになりませんように。」
そう言って見本を見せてくれた。
「わかりましたセバスチャンさん。ありがとう。そろそろ時間なので行ってきます。」
城に行くのはなんだか気が重かった。
お読み頂き誠に有難う御座います。
ここ直した方がいいよ等、感想頂けましたら有り難き幸せで御座います。