24 コネクターのインプラントしました。
イイネして下さり、ありがとうございます。とっても嬉しかったです。
「あっ 健司!」
「ん、姉さん?」
俺はたった今、屋敷のベッドで横になったばかりなのに目の前には姉さんがいた。
周りを見渡すと点滴や心拍計の様な装置が有る。あっ、そうだ病院だ。
俺はコネクターのインプラント(植え付け)をしたのだ。
だが、ふと自分の手元を見ると爪は伸び放題で腕は痩せこけている。
さっきまでの俺とは全く違う。
マジホラー……。
「健司、戻ってくれて本当に良かった。でもオオカミ男みたいになっちゃって。うっ、ムンクの叫びって感じかも、やっぱりドラキュラかな? 小さい頃は凄く可愛かったのに。」
何年前の話だよ! よく見ると姉さんは俺を見ながら涙目だ。
「俺そんなに酷いの?」
「うん」
姉さん即答。
俺の方が泣きたい…
取り敢えず上半身を起こすが鉛のように身体が重い。
ジョンの言う通り、機械が筋肉量を保ってくれるが、それは老人を基準にしているのだろう。
見たところ&体感、共に筋肉量ゼロ……。
看護師さんが持ってきた爪切りで爪を切ろうと思うが、指に力が入らず爪が切れない。
それを見ていた姉さんが見かねたようだ。
「あ〜健司かして。姉さんが切ってあげる。」
「ありがとう。」
情け無いが爪を姉さんに切ってもらう。
「前はよく爪切ってあげてたわ。」
「いつの話だよ。」
「ねえ、そのヒゲどうするの? 老子みたいになってるよ。ハサミ借りてちょっと切る。?」
「切った方がいい?」
「うん、不審者か浮浪者って感じ。」
「切ります。ハサミ宜しくお願いします。」
なんとか身なりを整えて、俺は姉さんが用意してくれた服に腕を通す……ブカブカだ。
でもこれしか無いので仕方ない。
俺達は手続きを済ませて、姉さんに支えられながらタクシーに乗った。
久しぶりの現実世界。と言ってもVLSも俺にとっては現実世界だったが。。。
タクシーがマンションの前で止まった。
…………… えっ… ?
姉さんが用意してくれたマンションは超高級タワマンだった。
「色々見たんだけどね、ここが良かったのよ。だからここに決めちゃった。駅近だし。テヘ。」
……姉さん…テヘじゃないでしょ…テヘじゃ。 今いくらネットクリックや、米国のアニメ、キャラクター商品の売上が有っても、売れなくなるのは時間の問題なんだよ〜。
それに俺はほとんどの時間カプセルの中なんですが…
そんな俺の心の叫びに気が付いたのか姉さんがニッコリと俺を覗き込み。
「あんた、殆ど機械の中だから、日中友達と女子会とかしても良いよね? 雪菜も高校の友達連れてきたいって言ってたよ。私の弟シルバーって自慢しちゃったから安いアパートじゃカッコつかないんだもん。」
「……勝手にしてくれ。でも俺が機械の中にいる時だけにしてね。」
「わかってるわよ。実物は機械の中に寝てる時しか見せないから安心して。」
…他人に俺の寝てる姿見せんのかよ!
部屋は1LDKでベッドルームにベッドは無く、カプセルと机だけの殺風景部屋だが、リビングルームとダイニングはホテルの様にモダンな雰囲気だ。
姉さんマジで女子会する気なんだね。。。。
「あっ、健司! 頼まれてたスウエットはクロゼットに入れといた。ご飯は冷蔵庫にゼリーと、たまごサンドが入ってる。あと近くの美容院に明日の3時に予約入れたから髪切るの忘れちゃダメよ。お化けみたいだから!」
そう言うと姉さんはそそくさと帰って行った。
「ったく、ドラキュラの次はお化けかよ。」
そう言いながら風呂場の鏡を見ると、痩せこけたお化けのような俺がいた。
「ギャーー!」
シルバーとのギャップが凄すき。
シャワー浴びよう。この身体では風呂に入ってないからね。
でもその前にクロゼットで下着と洋服を探す。
おーーーーーースウエット久しぶり!
シャワー浴びてからスウエットに足を通す。
おーーーこれだよコレ。
やっぱりスウエットは最高!
とりあえず、今日はゆっくりするべくビールでも飲んでーと♪
冷蔵庫を開けると、飲み物は水と牛乳。
あーーーーそうだ、姉さんは気は良いが気の利かない女だった。
俺は冷蔵庫のゼリーとたまごサンドを食べてカプセルでVLSへ戻り美味いものを食べる事にした。
読んで下さり、ありがとうございます。