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23. ヘッドハンティング

イイネして下さり、ありがとうございました! 嬉しいです!



「松原さん宛に、ジョン レインさんからメールが来てますが、この方ご存知ですか?」


…ジョン レイン…ジョン レイン…あっ、 以前働いていた会社の取引先、米国ネフト社でプロジェクトのトップだった。


「はい。 知ってますが……」


「そうですか、それでしたらメールを転送します。」


「ありがとうございます。お願いします。」




それにしてもシルバーが俺だと気付いて、サンダーシャックまで連絡をしてくる要件とは何なのだろう?



届いたメールは短い文章に連絡先が添えられていた。


ーーー 健司、 私は以前ネフト社で働いていたジョンレインです。

もし、君が私の知っている健司だったら、是非連絡を下さい。 ---



俺は直ぐにジョンに返信をした。


彼は当時俺の事を高く評価してくれていた人だ。

俺が担当を外れた時も会社に強く抗議してくれたが、その抗議は田崎さんで止められてしまったのだ。


返ってきたジョンのメールでは現在はVLSコネクターのインプラント用カプセルの販売と、大手企業のコンサルを主に世界中から著名な専門家を集めて、業界分析、市場分析、経済分析などを提供しているらしい。


日本でのオフィスオープンも必要だが、基本は全国のオフィスをVLS又はVRのオフィスにする予定だそうだ。



昔から彼はフットワークが軽く、すぐに行動に移すタイプだったが、

数日後にはジョンは俺の屋敷まで出向いてくれた。


このアストリアの貴族街に合わせてか、産業革命時代の様なスーツまで着てくれている。

ステッキに帽子まで持って所作も昔の英国紳士のようだ。

(と言っても昔の英国紳士がどうなのかなんて俺は知らないのだが。。。)


「久しぶりだ健司!元気そうで良かった。それにしてもやっと君を見つけたよ。」


彼は両手を伸ばしてきつく握手をした。


「会えて嬉しいよジョン。そのスーツとても似合っていますね。」


「ハッハッ、この前作って貰ったんだが、かなり気にいってる。それにしても良い屋敷だ。」


「周辺の土地は未だ販売していますよ、注文住宅も可能なので、良ければ紹介します。」


「妻が見たら喜びそうだ。」

白い大理石の柱をペチペチと触りながら、しきりに感心している。


「是非、奥様も招待したい。うちのシェフの料理は絶品ですよ。 あっ、ジョンもVLSなんですよね?」


「そう、インプラントだよ。大企業のエグゼクティブは殆どがコネクターのインプラント(植え付け)をしている。世界的に徐々にインプラントは増えている。」


そう言いながらジョンは名刺を差し出してきた。


… ジョン レイン TWN社、社長


俺はジョンの名刺を受け取ってソファーに座って下さいと促した。


セバスチャンがコーヒーのセットを用意して、ポットからコーヒーカップに注ぐ。

コーヒー豆の良い香りが部屋に広がった。

そして美しい所作でカップをジョンの前に置く。


ジョンは手早く砂糖とミルクを入れたカップをかき混ぜ、満足気にカップを口へ運んだ。


「日本のVLS内での香りや味の再現力には驚かされるよ。ところで健司の身体はタンクの中かい?」


「はい。」


「それは いかんな。」


「?」


「日本で使用されているのは旧型のシステムで、老人向けだから君の年代には不十分な設定だ。どれくらい入っているんだい?」


「もうすぐ1年ってところです。」


「早くコネクターをインプラント(植え付け)した方がいい。君がVLSを選択したのは素晴らしい。でも老人用の機種はダメだ。日本の規格に合う機種で性能の良い物をリストアップして知らせるよ。」


その後 俺は書斎に移動して、彼は3Dプロジェクターを使いながら現在の会社、そして今後の会社のビジョンと彼が望む俺の役割を説明してくれた。


「健司、これから世界は変わっていく。私達はボーダーレスなんだ。よく考えてくれ。良い答えを待っている。 あっ、それから食事招待してくれるの忘れないでくれよ。」


そう言ってジョンは帰って行った。




… 仕事はさて置き、取り敢えず俺も早めにコネクターのインプラント(植え付け)をした方が良さそうだ。


先ずは姉さんと弁護士に相談する事にした。


経理を含めて俺の会社の管理を姉さんがやっている。


経理やスケジュール管理をしてくれる人を探していたところ、母さんの

「ミキがいいんじゃない? 仕事探してるみたいだし。」の一言で決まったのだ。


姉さんは英文科卒で英語もぼちぼち話せるし、オフィス勤務の経験も有るので大丈夫だろう? たぶん。。。?


早速俺は姉さんにコネクターのインプラントの話をすると、意外と喜んでくれた。


「健司、現実社会に戻ってくるのね。本当によかった! 未だあの家、土地だけ残っているから、そこに家を建てて住めば良いわ。あっ、家立つまでの間は賃貸マンションかしらね?」


姉さんはノリノリだ。


「取り敢えずはコネクターのインプラントの予約をするから情報送っといてね。それからマンションの契約かしら? でも機械の購入は自分でやってね。姉さん分からないから。スケジュールは近藤さんと調整するわ。」


「ありがとう姉さん。未だ決定では無いけれど、決まったら連絡するよ。」


「ちゃんと特別手当出してね。」


「はい。はい。」


それからとんとん拍子に話が進み、数日後にはコネクターのインプラント(植え付け) の日にちが決まった。



読んで下さりありがとうございます。

もし気が向いたらブックマークや評価なんかもして頂ければ有り難いです。

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