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21 無人島3


「本当に大きな帆船だな。」

ザックさんが船体をパンパン叩きながら呟く。

川にまたがる大きな船はペンキが所々剥げているが、それでも未だ使えそうな船だ。


「あっ、あそこの縄ハシゴから船内へ入ろう。」

そう言ってブライアンさんはハシゴを登り、その後に何処からか縄袋をみつけたようで、ロープに結いた袋を下ろした。

「荷物をここに入れて。」とブライアンさんが言う。

俺は手に持っていたワニの肉やバナナなどを袋に入れ、「入れました引っ張って下さい。」と答えた。

荷物をブライアンが受け取ったのと、ザックさんが縄ハシゴを登ったのを確認して、俺も後を続く。


船体は少し傾いているので甲板も真っ直ぐでは無いが、それでも移動は出来る。

辺りを見回すと船の甲板には鳥の巣の跡があちらこちらに有り、かなりの間野晒しになっていたのが分かった。


「あっ、アイテム!アイテムありましたーー。」

釣り竿3本が有った。これは嬉しい!

アイテムはアイテムボックスに収納出来るのだが、収納出来る数には限りが有る。

今は必要無いので、陸の動物の狩猟が終わって湖か海に行く時に弓を捨てて釣り竿を持っていこう。


甲板には生簀も設置されている。

この船は漁船だったのかもしれない。


船内に入ると入り口でランプを見つけたので、ザックさんがライターで火を点ける。


薄暗い船内はきみが悪い。

入って直ぐに有る倉庫の棚には何も残っておらず、ガランとしていた。

だが他の全ての部屋が散らかっており、汚れたベッドのマットレスや枕、空きビンや皿などが散乱している。

まるで廃墟散策だ。

「これホラゲじゃ無いですよね?」

幽霊とか出るゲームだっけ?


「ホラゲだったら、もっとやる気が出るんだがな!」

とブライアンさんが笑う。


更衣室の中をザックさんがランプで照らしながらロッカーを一つ一つ調べる。

「あっ、これポーションだ。」


一瞬びっくりしたが、ポーションで良かった!


船内で何か使えるアイテムは無いかと探したが、ポーション一瓶を見つけたくらいで、大した収穫も無いまま甲板に戻った。


船の上は見渡しが良い。


左側は山で崖だがその下に洞窟が見える。これが地図の洞窟だろう。

小屋もここからさほど離れていない。ジャングルではなく川原のような場所が続き、奥のに行くとジャングルになる。


「ジャングルの方が動物がいそうだが、わざわざ地図に小屋と洞窟が有るのでいってみよう。」

ザックさんの意見にブライアンさんも俺も頷く。


「雨が降りそうだ。さっさと済ませてしまおう。」ブライアンさんが縄ハシゴを移動させて、船を降りる。

俺達も後に続いた。


まずは近くの小屋へ行く。


小屋の外には小屋を作る時に使ったのか、丸太が沢山置いてあり、それを運ぶのに使ったとのだろう、リヤカーが有った。


小屋は小さいがテーブルと椅子があり、テーブルの上には紙が有った。


“ XXXX年 8月 20日

嵐の高波により船が島内に入り込んだ為、航行不能。


9月10日に

救命ボートにて島を脱出予定。“


俺がその紙を手に取ろうとすると何処からか又ヘビが現れた。

ブライアンさんが尽かさず首を刎ねる。


『経験値が変更になりました。陸の動物 1を取得しました。』


「首刈り名人だって。」とボソりとブライアンさんが言う。

そっか、ブライアンさんのスキルは首刈り名人になったんだ。


結局、小屋に有ったアイテムは、乾燥エビA、タモ網、縄だった。

これは陸の動物には不要かも? でも湖でも使えるか。釣りするのには有難いアイテムだ。

勿論アイテムボックスに収納した。


俺達は小屋を出て洞窟へ向かう。


遠くから何かがこちらに向かって走って来る。

俺は弓を構える。

「ダチョウだ。」

俺の矢がダチョウに向かって真っすぐに進む。

当たった! 

だがダチョウは走り抜けた。

俺は振り返ってもう一本矢を射る。

こちらも当たった。


『経験値が変更になりました。陸の動物 5を取得しました。」


「おーーやったな!」とザックさんが言い、「偉い、偉い。」とブライアンさんが褒めてくれた。


レベル1、

海の動物 2

陸の動物 17

体験ポイント 20

グループ経験値トータル 39

スキル: 弓名人


取り敢えず矢を回収して、ダチョウは解体する時間が無いので放置する事にする。


洞窟に到着する頃には、空は真っ黒になり雨が降り出した。


ランプに火を灯して辺りをを見ると、壁には動物の壁画が有った。

ワニや、カメ、イノシシや、シカなど、この島の動物が描いてある。

奥の祭壇に、宝箱が有った。

「宝箱だ!」とザックさんが近寄るとお決まりの様にヘビが現れた。

そして例の如くブライアンさんが首を刎ねる。


『経験値が変更になりました。陸の動物 1を取得しました。』


「よっ、首刈り名人!」と俺が言うと、

ブライアンさんは冷ややかな目を俺に送ってきた。

いやいや、それ褒め言葉だから。


宝箱の上には、紙、地図、ロケットランチャーの弾が有った。 

何故に無人島にロケランの弾があるのだろう?と思うがブライアンさんとザックさんは嬉しそうだ。

「弾が有るって事はロケランあるんだよね? 」とブライアンさんが言うと、

「絶対この宝箱の中だよ。」とブライアンさんは箱を開けようとするが開かない。

紙を確認する。


”XXXX年9月20日 

生存者は私だけとなった。

だがいつまで生きれるか分からない。

ここに有る宝箱の鍵を地図に記した。

幸運を祈る。“


地図にはこの洞窟からの鍵の在処までが描かれていた。


鍵は崖沿いでジャングルの手前、そこの池に浮かぶ小島の一本木の下に埋まっている。


俺達はすぐにそこに向かう事にした。

雨は益々強くなってきた。


到着すると俺達は驚きの光景を目にした。

池には大きなワニガメとワニが所狭しと生息している。

こちら側から島までは約10メートルってとこだろう。


まずはでっかいワニガメの背にジャンプして、次にワニの背にジャンプしてから島に着地。

イメージトレーニングも万全だ。

身体強化のことも有り、俺は飛べない気がしない。


「ザックさん、ブライアンさん、俺が最初に行きます!」

2人は頷き、頑張れと応援してくれる。


俺は助走をつけてワニガメの背に向けて最初の一歩。


ズコッ


思いっきり滑った。頭から池に落ちる。目の前にはワニのデカい口が見えた。


『You are dead 』

詰んだ。


気付けば洞窟だった。

オートセーブポイントが洞窟だったのだろう。

時間が無いので俺は急いで池に戻る事にした。


池に着くと誰も居ない。

おかしいと思い振り返るとブライアンさんもザックさんもこちらに向かって走ってる。 

皆も死んだのね。

俺達は対策を練る必要がありそうだ。


「あの崖を破壊して埋め立てるとか? もしロケランがあればねー。」

ブライアンさんは自分で言って、自分で答える。


ザックさんが「船のマストの柱切って、橋にするとか?」


「重くて運べないですよ。あっ、でも小屋の丸太をリヤカーで持ってきて足場を作ってはどうでしょう?」

と俺が言うと、ブライアンさんもザックさんも賛成してくれた。


俺達は小屋に戻って丸太を9本リヤカーに積んで運んできた。

3本ずつ縄で束ねて合計三つ足場を作った。

それを池に浮かべる。


『経験値が変更になりました。体験ポイント5を取得しました。』


思いがけず体験ポイントが上がって喜んだのも束の間、ワニが足場に乗ってきた。


ブライアンさんがそれを見て「さっきのダチョウを池にぶち込む?」と言う。


おー、ダチョウいたねー、すっかり忘れてました。

「ぶち込みます。それ良いアイデアですね。」


俺達は雨の中リヤカーを押してダチョウを回収し、そのダチョウを真っ二つに切って足場の両側に投げると、ワニはダチョウの肉に食らいついた。


『経験値が変更になりました。体験ポイント5を取得しました。』


現在の経験値は

レベル1、

海の動物 2

陸の動物 18

体験ポイント 30

グループ経験値トータル 50

スキル: 弓名人


ブライアンさんが、「俺が行って来るわ。」と島に渡り、木の下の鍵をゲットして戻って来た。


おーーー、やった!


もう口も聞けないくらいの豪雨の中、俺達は洞窟に戻る。


アイテムボックスからランプを出してライターで火を灯す。


やっと皆お待ちかねの宝箱オープンタイム。


ブライアンさんが鍵を開けると。 


有りました。お約束のロケットランチャー!


「おーーー!」皆一斉に声をあげる。

 そうだよね。苦労したもん。


他は何だろうと中身を見るも金銀財宝ばかり。

無人島のゲーム内で金銀財宝貰っても嬉しく無い。

だが最後の方にアイテム発見。EX強化釣り糸


この洞窟で手に入れたものはロケラン、ロケランの弾、EX強化釣りだった。


しかしここで問題が発生! 

アイテムボックスが満杯でアイテムボックスに入りきらない。

と言う事で、俺達は和気藹々とアイテム整理を始めた。


各自の大物アイテムは俺が弓セットとモリ、ブライアンさんが斧とモリ、ザックさんはサーベル。

なのでロケランと弾はザックさんのアイテムボックスに入れて貰う。


俺とブライアンさんで残りを分けて、2個有るポーションや縄は1だけ残して後は置いていく事にした。


アイテム整理が終わる頃には少しだが洞窟にも水が入ってきた。

「凄い嵐だ。本当に宝箱の鍵が取れて良かったよ。」とザックさんが言う。


ギギギーーーー、ギギギーーーーーー、ガーーーーーン!


何処からか凄い音がした。すると間を置かずして、


ゴーーーー! と水が洞窟に流れ込んだ。


『You are dead』えっ? 詰んだ? どうして?


気付けば俺達は洞窟にいた。


「えーーー、丸太やり直し?」と俺がいうと、ブライアンさんが自分の右手を前に差し出し、


「鍵有る。」と言った。


おーー良かった。

鍵が有るのは不幸中の幸い。

ザックさんの顔にも安堵がみえる。


そう言えば俺達は何をしでかしたのだろう?


「溺死したんだよなぁ。」とザックさんが言う。


そうだ、ここに居てはダメだ。


俺達は慌てて宝箱へ行き、ロケランとEX強化釣り糸を取り出し、先程のアイテム整理の同様アイテムを持って外に飛び出す。


何処へいく? 山か? でも崖だ。


「船に行こう。」ザックさんが言う。 そうだ船だ。


俺達は船に向かって走る。 もう水は膝上まで来ている。


ザックさんが船に登る。

その後ブライアンさんが俺を先に登らす。 

縄ハシゴは豪雨で滑るし、揺れるしで登りづらい。

俺が登り終えブライアンさんを見ると、ブライアンさんが登って来る横にはワニが居た。

ハラハラしながら「ブライアンさん早く。」俺は叫ぶ。

ブライアンさんもなんとか登りきり、俺達は急いで船内の倉庫へ入った。


ギギギーーーーー ギギギーーーーー バーーーン!


もの凄い音と共にそれはまるで、今まで詰まっていた栓が外れたように勢いよく動き出した。

もしも甲板に居たら投げ飛ばされていただろう。


『経験値が変更になりました。体験ポイント5を取得しました。』


レベル1、

海の動物 2

陸の動物 18

体験ポイント 35

グループ経験値トータル 55

スキル: 弓名人


なんとか生き永らえた。


読んで下さりありがとうございました。

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