14 ウィルス 2
ブックマークして下さった方、評価して下さった方、本当にありがとう御座います。とっても嬉しかったです!
「向こうから出て来てくれるなんて、助かるね。」
ブライアンさんは俺達に同意を求める様に、ニッコリっと微笑んでハンバーガーショップの外に出て行った。
ザックさんと俺も外に出ると、目の前にゾンビが集まって来ている。
片っ端からゾンビを撃つが、銃には2発しか解毒剤が入らないのでリロードに時間が掛かる。
こちらを見ているゾンビ達は感染してから未だそんなに時間が経って無いのに、長時間放置された死体のようにボロボロになっていた。
きっと死後 数日経った姿がこのゾンビウィルスのデフォルトなのだろう。
数体のゾンビがブライアンさんに向かって走り出す。
『グォー』
ブライアンさんは一体を撃ち倒して、両手に注射を持ち2体のゾンビに同時に注射を打った。
もう一体はザックさんと俺が解毒剤を撃ち込んで地面に倒れた。
「出来れば交通整理をして順番に襲って来てもらいたいものだ。」とザックさんが言う。
「ザックさん、それ良いアイデアです。ブライアンさん11時の方向2体を銃で。ザックさん12時の方向2体を銃。シルバーさん2時の方向一体を銃、そして3時の方向1体は出て来たところを銃か注射で。」
近藤さんが指示を出す。
俺達はそれぞれ言われた通りゾンビを倒す。
ただ俺の3時の方向のゾンビが店の中から出てこないので見に行くと、急にゾンビが飛び出して来た。
「うっわ!」
慌てた俺は手に持ってた解毒剤の注射をゾンビの額に刺す。
うーーーー気持ち悪るぅ〜。
自分の顔の真正面にはゾンビの爛れた顔があるのだ。
『ドッサッ』
ゾンビは注射器を頭に刺したまま垂直に地面に倒れた。
「ブライアンさん、ザックさん、8時の方向からゾンビ2体銃でお願いします。」
2人は振り向いて2体を倒した。
「では移動しましょう。」
少し歩くと大きなボーリングのボールが店の上に乗っているボーリング場と、ドーナツショップの間の階段にゾンビが数体いた。
「おーーこれは!」
ブライアンさんが驚いたように店の上のボーリングのサインを見る。
するとザックさんが
「デジャヴだな、」
と言いながら、ボーリング場と階段下のドーナツショップを見た。
(クラッシックなホラゲも好きな2人は以前この場所にとても似ている所で、丸い玉に潰されて死んだ苦い思い出が有るのだ。)
階段とドーナツショップのゾンビをザックさんとブライアンさんが撃った。俺は残り一体を撃つ。
「では装備の補充をしましょう。」
と近藤さんが言う。
「もしかしてドーナツ屋の中か?」
「そうです。ザックさん、よくご存知で。」
「やっぱりそうか、もしかしてグリーンハーブもあるのか?」
「?…グリーンハーブはわかりませんが、ドーナツとコーヒーは有りますよ。」
俺達は注射と銃用の解毒剤を補充する。
補充を終えて俺達は反対側のドアから出て近藤さんの指示のもと、斜め前のクラブへ向かう。
「ここが最後です。この中にZ1 も含めたゾンビ5体がいます。」
「Z1はトレンチコート野郎だろ。」
とザックさんが言うと、ブライアンさんも、
「ああ、きっとそうだ。」
と頷く。
(2人は以前ホラゲでトレンチコートを着た野郎に初見でボコボコにされた経験があるのだ。)
いつに無く険しい顔の2人に俺も少々心配になるが、いざとなったら逃げようと思った。
クラブのドアを開けると、そこには4体のゾンビが俺達に気付いて、ゾンビ音を発しながらこちらに近づいて来た。
4体のゾンビは簡単に片付いたが、Z1が居ない。
「前方左側にZ1がいます。」
前方左側を見ると、舞台の上に一瞬大きな獣の影が映った。
俺達は銃を構えて探すが見つからない。
「右側に移動しました。」
俺達は前方右側のバーカウンターの方へ行く。
「あっ、ザックさんの前です。」
ザックさんの前には何も居ない…ただ足元にザックさんの靴に噛み付いているヤサグレたハムスターが居た。
俺はバーカウンターのシェイカーで、そのハムスターを捕まえた。
近藤さんが報告する。
「無事Z1の捕獲成功しました。」
「ウオー!」と喜ぶ歓声が聞こえる。
ブライアンさんも、ザックさんも何故かとても不満そうだが無事任務は完了した。
翌日のネットニュースの見出しには『米国のフロンティア社のゾンビヴィルスの解決に多大なる貢献』との見出しで俺達の写真が載っていた。
後から分かった事だが、あのヤサグレたハムスターはポロックと言われる昔流行ったオンラインペットで、クリスタルのキーチェーンの中に飼われているが、VRでログインすると、何処でも一緒に行けるオモチャだった。
だが現在は不具合でリコールになって、販売元も既に倒産している。
そのハムスターが何かの不具合で凶暴になった為にフロンティアのVLS内に放置され,それがウィルス感染したのだろうとのことらしい。
詳しくは現在調査中だ。
だがこの出来事のおかげネットクリックの俺達の番組は世界的なヒット番組となリ、アメリカでは俺達のアニメ番組まで放送される事になった。
読んで頂きありがとうございます。