12 ウィルス 1
ブックマークして下さった方、評価して下さった方、本当にありがとうございました。
あ〜 なんで俺はこんな所にいるんだろう…
今俺が居るのは米国のフロンティア社のVLSエリア内。
フロンティア社は米国大手の老人ホーム型VLS施設を運営している会社だ。
今朝、米国のフロンティア社のVLSがウィルステロ攻撃に遭っているニュースをテレビで見た時は他人事で、俺がそこに行くとは夢にも思わなかった。
VLS内のAIキャラクターをゾンビ化させるウィルスが米国で見つかったのだ。
住人は現在 全員避難しており、又 ウィルスはAIのみ感染するので人体には影響は無い。
(今のところ人体への感染報告は無い。)
フロンティア社はゾンビ化したAIを全て排除したが、又同じように発症を繰り返した。
そんな中、侵入場所が断定した。
ウィルスが侵入したのはダウンタウンのドルトンホテルのゲートだった。
フロンティアのゾンビウィルス対策本部は、侵入したウィルスの事をZ1 と定義付け、詳しい感染経路を調査中だ。
ゲートからという事で、Z1はVLSユーザーに付いて来たのか、VRのビジターについて来たのか、又はZ1自体がVLSやVRの可能性も有る。
そして最初に戻るが、ホラゲが嫌いな俺がなんでこんな所にいるかというと…
サンダーシャックのお仕事だからだ。
多くのアストリア王国の観光客はフロンティア社のVLSからだ。
サンダーシャックとしては
①フロンティア社へ恩を売って今以上に観光客を増やしたい。
② 明日は我が身なので早く対策方法を見つけたい。
③ アストリアの宣伝の為。
という事で、ホラゲも大好きなブライアンさんとザックさんと一緒に 俺はここに来た。
勿論、これもネットクリックで配信される予定だ。
現在米国時間は夜中で、フロンティアのゾンビウィルス対策本部は ここ数日不眠不休で仕事しているため、現在日中の日本のサンダーシャックが支援をする事になった。
「私の名はアレックス ヴィンセント、フロンティアのゾンビウィルス対策本部長をしています。VLSでの貴方達の援助に感謝いたします。 今回の任務はZ1の捕獲、又は破壊。 そしてゾンビウィルスの沈静化です。ゾンビ化した者(AI)には解毒剤を打つ必要がある。しかも首から上に撃たなければならない。地域毎に解読注射と、ガンタイプの解読剤を用意ています。それから Z1の位置情報等は全てシェアをしているのでサンダーシャック側からはミス近藤が位置情報のサポートをして下さいます。」
「近藤です。お疲れ様です。 ここは2時間前に初期化をしたのですが、残念ながら又 AIの感染者が出ています。 目の前のアイテムボックスを開けて下さい。 銃、解毒剤が入った弾、解毒用の注射と注射ホルダーなどがが入っています。 これと同じボックスが町中に設置されていますので、必要ならそこから補充して下さい。では装備をお願いします。」
ザックさんが、ちょっぴり がっかりしたようにアイテムボックスを確認する。
「ロケランとかグレランとか無いんだ… 」
「ロケットランチャーなんて邪道だよ。ナイフで戦え!ナイフで。」ブライアンさんは本当に楽しそうだ。
この2人はまるで恋人にでも会うようにゾンビに会うのが 待ちきれないようだ。
ゾンビが大嫌いな俺は淡々と武器を装備する。
先ずは腕に注射のホルダーを付けると10本くらいの解毒注射が運べる。
銃は一回に2個解毒剤が詰められて、ポケットにいっぱいの解毒剤を持っていく。
俺としては出来れば望遠レンズ付きのライフルで遠距離から解毒剤の投与をしたいのだが…
本当にゾンビの近くに寄りたく無い。
俺達は建物の外に出た。
「近藤さん今 外に出ました。」
近藤さんが見ているマップは現在このエリア内で、フロンティアのAI以外の者が表示されている。
ゾンビウィルスの感染者はフロンティアのAIとは認識されない為に、表示されるのは、俺達とゾンビとZ1だけだ。
「まずは50’s ストリートのゾンビの対応お願いします。場所は皆さんの進行方向、2つ目の道を右に曲がって下さい。」
50‘s ストリートは 本当に50年代にタイムスリップしたように、50年代のビンテージカーがハンバーガーショップの前に並び、クリームソーダの看板のアイスクリームパーラーや、ダイナーなどが連なっている通りだ。
ただ50年代と違うところは、居るのがゾンビだという事くらいだろう。
『ギャ、グゥル』
きっと店員だったのだろうローラースケートを履いたゾンビがバーガーショップのドライブスルーの柱にヘドバンギングをしている。
もう元の原型は留めてい無いゾンビに解毒剤効くのかなぁ〜?
「じゃあ、俺が最初の一発。」
ザックさんが頭に撃ち込む。
銃だと一発では効か無いのか、未だ動いているので、2発撃ち込むとおとなしくなった。
ザックさんが俺達に向かって言う。
「銃の場合は首から上に2発以上撃たないと効果無いみたいだから気を付けろよ。」
「はい。」
「御意」
「バーガーショップの中に2体反応が有ります。」
近藤さんの情報で俺達はバーガーショップの中に入ると、注文カウンターの奥に1体と客席側に1体のゾンビがいる。
客席側のゾンビがブライアンさんめがけて歩いて来る。
『ウギャー』
白目で襲いかかってくるゾンビにブライアンさんは、なんでも無い事のように首に解毒剤をぶっ刺した。
『ドサッ…』ゾンビは床に倒れた。
ザックさんもカウンター奥のゾンビに1発撃つも2発目を外したので、俺が代わりに2発目を撃った。
「ここは後残り17体です。お店の外で対応した方が良いかと思います。」
外を見るとゾンビ達がこちらの方に向かって、歩って来るのが見えた。
「向こうから出て来てくれるなんて、助かるね。」
ブライアンさんはうれしいそうにドアの方へ歩いて行った。
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