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喫茶店【紅葉の木】物語  作者: 菊侍
1/1

〜ミントコーヒーとサツマイモホットケーキ〜

この度はこの作品をお手に取っていただきありがとうございます

今回の作品はなるべく早く完結できるように善処努力していきたいと思っています

またこの作品以外にも執筆しているので見ていただけたら幸いです

チュンチュン…

まだ残暑が残る夜に窓を開けっぱなしに

していたせい入ってきた小鳥に起こされ

夜食のつもりでベットの上の皿に

置いておいた食パンをすべて食べられていた


…とりあえずご飯を食べなきゃな…


寝起きで意識がまだはっきりとしないが

朝食を食べるために職場でもある

一階のカフェキッチンへ

今日も一人寂しくミルを引く


開店前に自分で豆の味を改めて確かめるため

という意味合いで最初は始めたのだが…

最近は店を開く前からのルーティーンとなりつつある


ガリッガリッチーンガリッガリッガリッガリッ

時折ミルに蓋にコーヒー豆の破片が当たり

甲高い音をときより奏でる


地味に力の入れ加減が豆によって違うため

リズムよく回すには以外に力を使う

だが苦にはならない

むしろミルを回すことによってほどよく集中して

だが肩の力は抜くことができる


「今日はやっぱりやめようかな…」


そんな独り言をカウンターで呟きながら

朝の一杯を入れる


かれこれ27歳で脱サラしてこの店を開いて

そろそろ3年目になるのかな


最初の頃は本当にただサラリーマンの時に

稼いだ金を少しずつ削って遊びながら

やれたらいいなと気軽に思っていたが

思ったよりも客が来ずに逆に心配で遊べなかった

あの頃…色々なことに手を出した

FX、為替、株、投資信託…

様々なことを行って遊んで暮らす事もできるくらい

には財を成した…まぁつまりは金持ちの道楽だな


カフェの経営として喫茶店としての利益はほぼ赤字だが

自家製焙煎のコーヒー豆が思った以上に売れて

喫茶店の赤字を補填してトントンくらいにはなっている


最近は家の裏でやっている自家栽培なんかも

こだわってやりだせるくらいには資金的にも

時間的に(もともと人が来ていなかったから暇だったのだが…)

も余裕が出てきた

さらに育てるものを増やし最近はミントを育て始めている…

今のところ使う予定はないのでただ生やしている状態だ…


なので今日は収穫して食べてみようと思い

カウンターの横にある勝手口から庭に出る


今家の裏にあるこの15坪くらいの空き地で自家栽培なんかを行っている

今の所育てているのは秋野菜だ

この時期だと…やっぱりサツマイモとかがおいしそうだな~

よし収穫


そんな感じでミントのほかにも使えるものはないか

何個か見繕って採って帰る


時間は朝食のためにパンケーキを焼いたり

何だかんだで2時間もかかってしまった…

速めにご飯を食べ終えて


午前10時開店…だがまぁ人は来ない

いつものことだがまぁ来ない…


なので最近はカウンターに収穫した野菜を

置いたりしているので喫茶店感が少ない…


どうせ今日も来ないだろうとたかをくくっていたが

カランコロン

今日は珍しく来客者だ…


「いらっしゃいませ…」


入ると私のいるバーカウンターの向かいに座る

おとなしそうな装いをしている若そうな女性だ

とりあえずお水を出してから注文を聞きに声をかける


「…お冷です…ご注文はありますか?」


「そうですね…」


メニュー表を見つつも店内を見回しながらこう言った…


「このカウンターに置いてある野菜は

なんの料理に使うモノなんですか?」


カウンターに置かれているザルに入った野菜の山々が目に入ったのであろう…


「お客様…実はこの野菜は

メニューにある料理に使うモノではなく

私が個人的に食すつもりで収穫した物でして…」


そういうと少し悲しそうな顔をしてうつむき始めた

さすがに女性にがっかりされるも気が引けるの…


「もし…その…食べたいというのでしたら今日はもうお客様も来ないと思うので

私個人からのプレゼントという事で料理をふるまわせてもらってもよろしいでしょうか?」


などとナンパでもするかのような事を言ってしまった…

なれないことを言った後…

少しだけ恥ずかしくなってしまい少し耳を赤くしていると

その様子が分かったのか…クスクスと笑いながら


「そんな無理して気を使わなく手もいいですよ

でもせっかくそういうのでしたらぜひともいただきたいです」


そういわれたので早速調理にかかる…

材料はサツマイモ…ミント…

とりあえずドリッパーにミントを入れて…


「私最近ここらへんに引っ越してきて

この喫茶店外のモミジがきれいで

前々から気になっていたのだけど

なかなか行く機会がなくて…」


ドリッパーにペーパーフィルターを敷いて

コーヒーの粉を入れてゆっくりと注ぐ


「当店は庭に咲く大きな楓を見ながら

ゆっくりとした静かな時間を過ごす…

それが1番の魅力ですからね

喫茶店はおまけでやってる様なものですから」


コーヒーが落ちる前にサツマイモを調理する

とりあえず乱切りにして皮を向いてレンジでチン

そういえば今朝のパンケーキミックス

が少し余ってたな…

卵とパンケーキミックスを混ぜバターも加える


「あらそうなの?

ウチのお隣さん…タカヤスさんという方が

ここの喫茶店の珈琲は安いし

だけれどもコクがあって美味しいし

メニュー表にない料理がまた格別に美味しい

って勧められたのよ?」


料理の手を止めて考える

タカヤス様…うーん…あぁ…

昔…オープンしたての時からのウチの常連だ


「タカヤス様…とお知り合いでしたか

いつも社交的で貴族のような老紳士の方ですよね?」


「えぇそうですね

あの方は昔は本当に貴族だったそうですよ?」


「そうなんですか

やはりどこか只者ではないオーラが出てますよね」


しばらくタカヤス様のお話で盛り上がっていると…

レンジの音がなる

少し予熱を冷ましてパンケーキミックスに入れ

オーブンに入れる


「パンケーキを作ってるんですか?」


「えぇサツマイモパンケーキ

を作ろうとする思いまして…

おっとコーヒーが落ちた様なので

こちらから先にどうぞ

ミントコーヒーです」


「ミントコーヒー…初めて聞いたわ

…コーヒーの苦味とさっぱりとした

ミントがあとから来てとても清々しいですね


「残暑の残るこの時期に良いと思いまして

アメリカ西海岸の喫茶店なんかでは

一時期流行っていたそうですよ」


「アメリカ西海岸…

なんだか気取らない感じでいいですね」


アメリカ西海岸の話をしながらパンケーキが焼けるのを待つ…


「そろそろ焼けそうですね…」


手に厚手の布を巻いてオーブンから

焼き立てのパンケーキを取り出す

サツマイモ本来の蜜の甘い匂いが漂う


「それではサツマイモのパンケーキをどうぞ

お好みでメイプルシロップもありますのでどうぞ」


「それではいただきます……

すごく甘い!だけどしつこく無い感じが

コーヒーにあいますね」


「お褒めいただきありがとうございます」


「こんなに美味しいならメニューに

出してしまったらいいのに…」


「メニューに出してしまったらしたら

自家栽培なので数に限りがありますので

もう食べられないかもしれませんよ?」


「それは困りますね

じゃあこれは私専用のメニュー…

と言うことでいい?」


「えぇそれではそういう事にしておきましょう

あぁあとお好みでメイプルシロップがあるのですが…

出しましょうか?」


「楓の木を見ながらメイプルシロップを味わうなんて…

いいわね…」


楓の木は窓の外からそよ風に小さく揺れる

まだ青みがかっているもうすぐに色めきだして

秋らしい光景になるのであろう…

この店の開業したあの頃を思いだす…

お読みいただきありがとうございます

次回~テープカット~

今後もお読みいただけたら幸いです

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