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閑話1 ニーナ・フランベール

気が付いたらブックマークして頂いておりました。

作品に興味を持っていただき、大変感謝です!ありがとうございます。

・・・ちなみに、今回は話の脈絡なく「閑話」です。ニーナの回想です。

なぜ、このタイミングなのか! ハーデスvs4人の勇者の決着が纏まらなかったわけでは、決して・・・決してーーー!!!

私はニーナ・フランベール。25歳、処女、未婚、出産経験なし。そしてクラリス様の乳母です。


え、そんな事あるわけないって? そうですね。いささかファンタジーとしてもあり得ない設定と言わざるを得ないとは思います。ですが、これは事実なのです。


これはある国の「聖女保護システム」にかかわっている重大な事案なのです。


私の生まれた国、聖王国「プレシャス」では、『聖女』と呼ばれる存在が生まれてくることがあります。

『聖女』はことのほか回復系の魔法に優れ、存在魔力も高く、鍛え上げてゆくことでその魔力は「神聖力」と呼ばれるほどの圧倒的な魔力を持つようになると言います。それほどの存在のため、生まれれば秘匿され、力が付くまでその存在を世に知られることはありません。知られればそれだけ様々な欲望の目にさらされ、危険が伴うようになりますから。

しかし逆に、聖女の存在が民草への精神的安定をもたらすことに大きく貢献することも間違いないのです。聖女の外遊などはどの国からも諸手を上げて迎えられるイベントとなります。


 その聖女を聖女たらんと育てていくシステムもまた特殊なのです。


その一例が私でしょう。私は聖王国「プレシャス」での王国神殿にて侍女の1人として働いておりました。そんな私に潜在魔力の高さと高潔さから、『聖女の乳母』として白羽の矢が立ちました。

神官長によりますと、特殊な神聖魔法により処女でありながら、出産未経験の女性に母乳を作らせることができるようになることで『聖女の乳母』となることができるそうです。その母乳は高潔な処女の力と神聖な魔力により聖女が育つために必要不可欠なエネルギーを持つ母乳となるとのこと。


 もちろん、『聖女の乳母』として選ばれた以上、私に男性経験はありません。


私よりも一つ上の先輩にすごく美人で魔力も高い人がいたのですが・・・なぜかその人は抜擢されませんでした。・・・その点についてはあまり突っ込まないほうがいいのでしょうね。


そして、『聖女』様に母乳を与えている間、ずっと高潔であらねばなりません。母乳を与えて育てている間は男性と経験を持つことは許されないのです。途中で『聖母の母乳』を与えることが出来なくなってしまったら、『聖女』様の発育に悪影響が出てしまいます。



・・・つまり、私が『聖女の乳母』である以上、『聖女』はクラリス様となるわけです。

であれば、本来このような田舎の村に逃げて来ているはずはないのですが。


あの日、すべては暗転しました。


事の発端は『聖女』と呼ばれる存在が双子で生まれてしまったことでした。ここで彼女たちの生まれを紹介することは出来ませんが、その二人は「レティシア」「クラリス」と名付けられました。先に取り上げられた「レティシア」を姉として育てようということになったのです。


実は、生まれて来るまで双子だとわからなかったため、最初予定されていた聖母は1名だけでした。そのため生まれてすぐは1名で2人にお乳を与えたのですが、これでは『聖母の乳母』の負担が大きすぎるとのことで、急きょ神殿内を探したところ、私に白羽の矢が立った、ということでした。

選ばれた時、それはもう驚きましたけれど。初めてモテなくてよかったって思いました。

モテませんでしたからね・・・私。男の方も私の胸ばかりじっと見られる方が多くて、男性に恐怖感があったことも原因でしょうか・・・。でもモテないことが役に立つなんて、何があるかわからないものですね。

選ばれたからにはしっかりと聖女クラリス様を育てようと誇らしくも使命感に溢れました。でもそれは一か月も続きませんでした。


ある一部の枢機卿が「聖女が二人いるのは災いの元になる」と言い出したのです。

そしていつの間にか「先にお生まれになったレティシア様を聖女とし、クラリス様は幽閉すべし」とした考えが蔓延し始めました。

何を馬鹿な事を、そんな風潮は1週間もしないうちになぜか「クラリスを幽閉すべし」に代わってしまいます。

一体何故なのかまったくわからないまま、ある枢機卿の1人からすぐに脱出するように言われ、何が何だかわからないまま聖王国プレシャスを飛び出したのです。

その時に助けて頂いた枢機卿の方ですか? ・・・確かゴルディア・フォン・エルスハイマー枢機卿だったと記憶しています。



それからの旅は悲惨の一言でした。

追手が来るかもわからない中、どこへ逃げればいいのかもわかりません。

比較的大きな街道を通らないと、盗賊に襲われればひとたまりもありません。

持ち出した食料と、少しばかりのお金も底をついてしまいました。

そこへたまたま行商で辺境の村へ行く荷馬車に乗せてもらえることになり、ここまでたどり着くことが出来ました。

それほど大きくない村なのに、教会だけすごく大きかったことに驚きました。

聖王国プレシャスの町中にある大聖堂クラスの建物です。

なぜこんな辺境の村に?と不思議でなりませんが、これも助けて頂けるとなると、神の思し召しなのかと思ってしまいます。


村に着いた時には雨風がすごく、教会に辿り着いた時にはずぶ濡れになっていました。

大きな扉を叩き、雨露を凌がせて頂きたいと伝えると、快く教会の中に入れて頂けました。

濡れた服の代わりの着替えと野菜をとろとろに煮込んだ暖かいスープを頂けました。

スープがこんなにおいしいと思ったのは初めてでした。



今、私は窓辺に腰かけて、夜空に昇っている満月に話しかけています。

いつか、誰かにこの話を聞いてもらえる時が来るのでしょうか・・・。

今はまだまだ不安でいっぱいです。


本閑話はニーナがデュランダル大聖堂へ到着した当日の話です。

まだハーディに授乳する前の時ですね(^^;)


今後とも「ドラリバ」応援よろしくお願いします!(自分で愛称呼んでます(苦笑))

他にも投稿しています。


転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?

https://ncode.syosetu.com/n2026ew/


魔王様にテンセイ!

https://ncode.syosetu.com/n2011ew/


よろしければぜひご一読頂けましたら幸いです。


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