第54話 日雇いの仕事でトレーニング
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堂々とカッコつけてランク不問の依頼を受けたハーディとキースだったが、「ドーラの海賊亭」に七日分宿泊費を前払いしてしまったことを思い出した。
どう考えてもこのランク不問の依頼は山奥まで行かねばならず、日帰りでの対応は不可能と思われたため、再度冒険者ギルドへコソコソと向かい、当日完了できるFランクやEランクの依頼について目を皿の様にして探した。
そこで見つけたのが、本日、明日、明後日と三日連続で行われる王都からの大量の荷馬車の荷卸しとドブ浚いの掃除であった。
一応ランク不問の依頼は期限の記載が無かったので、すぐの対応でなくてもよいと確認した上で肉体労働の日雇い仕事を受けることにした。まあ、それ以外に日帰り仕事で対応できそうなものがなかったからと言う理由であるのだが、依頼受理を頼んだ時は「え~」みたいな表情をされて複雑な気分のハーディとキースであった。
「キース、しっかり持てよ」
「グギギッ! お、重いぃぃぃぃ!!」
大商会による王都から運ばれて来た大量の荷物を荷卸しする仕事である。
ハーディは魔力を纏わせた身体強化のトレーニングにちょうどいいとルンルン気分で荷物を運んでいた。
魔力による身体強化は纏わせる魔力を強くすればするほど強化されるが、強すぎればパワーを持て余してしまうし、元々の肉体が破壊されてしまう恐れもある。逆に魔力が少なければ荷物を持つのに負担が大きくなる。
絶妙な魔力コントロールでちょうどいいバランスを取ることが魔力コントロールのトレーニングになるのである。
だが、身体強化を使い始めたばかりのキースは最初余裕で荷運びをしていたのだが、過剰に魔力を使ってしまい、あっさりと魔力枯渇に陥っていた。
「おいおい、まだ昼過ぎだぞ。夕方まで仕事があるんだ。大丈夫か?」
ハーディが若干あきれ顔でキースに声を掛ける。
「ンギギギギ!」
大きな木箱を三つも重ねて渡され、顔も見えないキースは呻き声しか返してこない。
もはや普通に肉体労働状態になっているだろう。
だが、基本的に通常の肉体もトレーニングで強化しなくてはならないのだ。
剣を振ってトレーニングしても銅貨一枚にもならないわけだが、荷卸しの作業員として働けば少なくとも日当は出る。
シンプルに考えてハーディは「まあ、いいか」とキースを放置するのであった。
「うおおおお・・・」
ドーラの海賊亭で迎えた朝。朝飯でも食べようと部屋から一階の食堂に降りてきたハーディだが、一緒に降りてきたキースは昨日の荷卸し作業でハードな筋肉痛に陥っていた。
全身の筋肉が悲鳴を上げているようで、ギシギシと動きの悪い人形の様に階段を降りてきた。
「おいおい、今日も朝から荷卸しだぞ?」
「・・・無理」
ハーディの確認にキースがギブアップを告げる。
「いやしかし、ギルドで依頼を受理してもらったわけだしな」
最も、作業は日雇いとなってるため、今日も冒険者ギルドに行って仕事の受理を行わなければならないのだが、ハーディはその事を説明せずに、あたかも今日もやらなければならない様に説明した。
「うええ・・・」
キースの表情に絶望が浮かぶ。
「昨日は魔力の身体強化において、魔力を使いすぎていたよ。だからあっさり魔力枯渇に陥ることになる。もっと魔力を少なくコントロールして長時間働けるように調整が必要だよ」
「え~、そんな微妙なコントロールもってねぇよ」
「持ってないからトレーニングで身につけるものだろう?」
「そりゃそうだけどさ・・・」
ハーディの全う意見に眉を顰めるキース。
「さあさあ、朝飯を詰め込んで冒険者ギルドに行こうじゃないか」
ハーディに肩をバンバンと叩かれて全身の筋肉痛に響くキースだった。
「ふんぬぅぅぅぅぅ!」
昨日よりは長い時間持ったなとキースの唸り声を聞きながらハーディは時間を見る。
現在は昼を越えて夕方までもう少し、といったところだろうか。
昨日よりは少なくとも長い時間身体強化で働けたことを考えれば、明らかに昨日よりは魔力コントロールがマシになったということであろう。
本日は夕方からドブ浚いの作業を請け負った。人の往来が多い日中は作業を遠慮して欲しいと言う指示があり、夕方以降か、早朝での作業となっていた。
指定場所は区切られており、区切りごとに完了の報告と報酬が貰えるシステムになっている。
ハーディとキースは古道具屋で購入したバケツとスコップを手に持って胴長の古ぼけた作業着と長靴も装備して請け負った地区へ出向いた。
他の地区を受け持つ人たちだろうか、似たような恰好をした者たちも何人か見受けられた。
「さあ、早速始めるか」
ハーディがドブに入り、スコップでドブを浚い、バケツに放り込んで行く。
ヘドロは地点ごとに置いてある大きな樽に集めて入れておかなければならない。
そのため、ドブから浚ったヘドロはバケツに入れ、大樽まで運ばなければならないのだ。
「ほいっ! ほいっ!」
最初はハーディがスコップでドブのヘドロを浚ってバケツへ入れて行ったのだが、非常にリズミカルに圧倒的早さで浚い出して行くので、すぐにバケツが一杯になってしまった。
替えのバケツへ入れ替えている間にキースは大樽にヘドロを捨てに行く。
戻ってくればすでにバケツのヘドロは一杯であった。
「遅いぞ、キース」
スコップに寄りかかっているハーディ。
「んぐっ!」
キースは身体強化で移動スピードをアップ、凄まじいスピードで大樽へバケツのヘドロを捨てに行くのだが、それを上回るスピードでハーディはドブのヘドロを浚って行った。
「うん、手首の返しにコツがあるな。それに気づけば作業もある程度楽になる」
そんなことを呟きながらドブ浚いを続けるハーディ。
周りで作業を見ていた人々から『ドブ浚いの神』『神速のスコップ使い』などと呼ばれるようになったのだが、それはまた別のお話である。
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