第49話 急襲!ハウンド・ドッグを殲滅せよ!
昨日はドラリバ第48話の後にまさスラ第175話が二話分も投稿されるという不具合があり、驚かせてしまい恐縮です。お詫び?という程でもありませんが、今週はドラリバの投稿原稿を増やして物語を進めてまいります。どうぞよろしくお願い致します。
ミーナは恐怖していた。
13歳のミーナは5~6歳の子供たちのまとめ役であり、今日も6人の子供たちを連れてイーナ村の外にある畑に来ていた。草花を摘んだり、畑の手伝いなどを回って行うのが習慣になっていた。
今日もハンス爺さんの畑に収穫の手伝いに来ていた。
「みんな~、ちゃんとお野菜カゴに入れた~?」
ミーナは子供たちに大きく手を振って声をかける。
「はーい!」
子供たちが元気よく答えたその時―――――
「ハウンド・ドッグじゃ!」
ハンス爺さんが叫んだ。ハウンド・ドッグがこちらに向かって走ってきていた。見れば10匹以上は確実にいる。
「みんな!村まで走って!」
子供たちを追い立てるようにミーナは走り出した。
「わ――――ん!」
子供たちは泣きながら村まで走るが、ハウンド・ドッグの走るスピードはかなり速い。
「みんな、逃げるんじゃ!」
見ればハンス爺さんが鍬を振り回してハウンド・ドッグをけん制する。しかし、ハウンド・ドッグの数は多く、ハンス爺さんを迂回してミーナたちに向かってきていた。
「あっ」
一人の子供が転ぶ。ミーナは転んだ子供に覆いかぶさるようにして庇おうとした。
そこへハウンド・ドッグが飛び掛かってきた。
(もうだめ・・・!)
子供を守るように抱きかかえてミーナは目をつぶった。
ザンッ!
誰かがミーナたちをかばって目の前に立ってくれたようだ。
目をつぶっていたミーナだが、日がさえぎられ陰になったことが分かった。
恐る恐る目を開けると、そこには大きな剣を構えた男が立っていた。
飛び掛かってきたハウンド・ドッグはその男の持つ大きな剣で真っ二つに切り裂かれていた。
「大丈夫か?」
絶体絶命の危機に颯爽と現れて、圧倒的な実力で敵を屠ったうえ、めちゃくちゃさわやかな笑顔で「大丈夫か?」などと声をかけられた。
ちょうど夕日にさらされて赤毛が煌めくように輝くハーディは幻想的ですらあった。
ミーナの小さな胸はキュンキュンして爆発しそうになり、返事をすることすらできなかった。ただ、ミーナは思った。
(この世に、王子様って本当にいるんだ・・・!)
そのころ、鍬を振り回して奮闘していたハリス爺さんを守るべくキースがハウンド・ドッグを蹴散らす。
「ハーディは美少女を守る王子様役なのに、俺はじーさまのお守りかよ~」
「ほっほ、スマンのぅ・・・」
キースのボヤキにハンス爺さんは苦笑するしかなかった。
「キース!数が多い。魔法を使うぞ!」
一撃の元に分断されたハウンド・ドッグを見て、ほかのハウンド・ドッグたちの足が一瞬止まったのを見逃さず、ハーディは一気に殲滅を図る。
「雷よ!敵を穿て!」
「マナよ!敵を穿て!」
ハーディの詠唱に即座にキースも追従する。
「<雷の矢>」
「<魔法の矢>」
ハーディの右手に雷のスパークが収束し始める。そして突き出した右手から雷の矢が高速で飛び出す。
キースも手と手を合わせた空間が光り輝き、その手の中に無属性の光の矢が形成されていく。
一瞬にして雷の矢と魔法の矢がハウンド・ドッグたちを貫いていく。
一撃も外さず、ハウンド・ドッグは全滅した。
村の男たちが集まり、ハーディたちが倒したハウンド・ドッグを回収していた。
「本当に、ハウンド・ドッグはこちらで頂いてよろしいのでしょうか?」
イーナ村の村長はハーディたちが倒したハウンド・ドッグの権利をすべて放棄すると聞いて驚いていた。あまり金にはならないハウンド・ドッグではあるが、30匹以上はいたのだ。まとめて村に買い取れと言われればそれなりの金額を用意しなければならない。
小さな村では味がいまいちとは言え、貴重な肉であり、干し肉に加工すれば保存も聞く。毛皮は高級ではないが、防寒用として需要があり、牙や爪なども装飾などに用いられる。
「問題ない。食事に宿を提供いただけるとのこと。十分だ」
ハーディの言葉に村長は恐縮しながらも袋を差し出す。
「これほどの実力ある冒険者様にお渡しするお礼としてはあまりにも少ないのですが・・・」
どうやら、銀貨か金貨が袋に入っているようだ。
だがキースはなぜか苦笑しながらハーディの背中を見つめていた。
たぶん、ハーディが次のセリフに用意しているであろう言葉を想像しながら。
「報酬も不要だ。我らは正式に依頼を受けたわけではない。」
「やっぱりな~」
ハーディのセリフにやれやれといった顔でキースはぼやいた。
ハーディはこういった通りすがりに手を貸した場合に、報酬をほとんど受け取らない。
まして、あまりに裕福ではない村からはまず間違いなく報酬は受け取らない。
食事や宿など、心づくしを受けることはあるが、金銭はまず受け取らない。
(軍資金に余裕があるわけじゃないのに、ホント、ハーディは勇者っぽいね)
キースは心の中で言ちる。出来ればいい宿に泊まってうまい飯をたらふく食いたい。そんな欲求がキースにも無いわけではない。
だが、ハーディは貧しい人たちの生活が困窮するような報酬を絶対に受け取ることは無かった。
きっと今までの活躍に対して全てきちんと報酬をもらっていれば、きっと豪邸が立つだろう。
だが、それもキースの中ではハーディがそんな豪勢な生活をするシーンが似合わないと思った。
似合わないと思っただけで、自分が贅沢したくないわけではないのだが。
「しかし、そういうわけには・・・」
村長はなおも食い下がろうとした。あまりにハーディの反応がほかの冒険者と違いすぎた。逆に村に恩を売って何か企んでいるのか・・・そんな勘ぐりさえ頭をかすめる。
「申し出はありがたいが、最初に約束していたことでもあるまい。けが人も数名で死者もいなかったとのこと。よかったではないか。それで十分だ。」
もはや何がそれで十分なのか村長には理解不能であった。
「まあ、いいじゃないか、村長さん。コイツはいらないって言ってるし。それよか、宴の準備してくれてるんだよな?たっぷり頼むぜ!なんたってこいつは食うからなぁ」
キースはニヤリと笑うと、村長の肩に手を置いた。
「おおっ!たくさんのハウンド・ドッグを頂きましたからな。今夜は大宴会ですぞ!」
破顔した村長やその周りにいる村人たちの笑顔を見ながら、こんな笑顔が見られるなら狼狩りも悪くない、と思うハーディであった。
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(自分で愛称呼んでます(苦笑))
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