第46話 キース踏ん張る!
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「うわわわわっ!」
ホブゴブリンの巨大棍棒が頭近くをかすめていく。
「ゴブッ! ゴブゥッ!」
慌てて避けたキースはしりもちをついた。
「ヒイイッ!」
更に振り上げられた大きな棍棒が足元を襲う。
ドズウゥゥゥゥゥン!
「うわあっ!」
ホブゴブリンの振り下ろした棍棒が地面を抉る。
キースは地面を転がって逃げ回る。
「な、何でボクがこんな目に合わなきゃいけないんだっ!」
キースは剣を抜くことすらせず、地面を転がりながら逃げ回った。
ホブゴブリンに気を取られていたキースは、横からゴブリンソルジャーに回り込まれしてまった。
「あ、しまっ!」
ガツン!
ゴブリンソルジャーの振り回す槍の柄に叩きつけられ、吹き飛ばされてしまうキース。
「ぐわっ!」
飛ばされてごろごろと地面を転がるキース。
「い、痛ってぇ!」
さすがに魔法の鎧である。すごく痛いが、ほとんどキースにダメージは無い。
「どうして・・・ボクがこんな目に・・・、彼が戦えばきっとあっさり片が付くはずなのに・・・」
キースはじわりと目に涙が浮かんできたことに気が付いた。
見ればホブゴブリンは明らかに弱者の獲物としてこちらを見ていた。
その周りにいるゴブリンソルジャーたちも笑っていた。
(お前は、何がしたいんだ?)
ふと、ハーディが自分に向けて語り掛けてきた事を思い出す。
「ボ・・・いや・・・オレが、自分で何がしたいか・・・」
地面に背屈ばっていた自分の体を引き起こす。
まずは膝を付いてでも上半身を起こした。
ホブゴブリンたちがゆっくりとこちらへ向かって来る。
膝に手を付き、体を引き起こして立ち上がる。
足腰が笑いそうになるのを根性で引き留める。
右足を少し浮かせ、ドンッと地面を踏みしめる。
「オレが・・・オレがアンリを守りたいと思ったんだよ・・・他の誰でもない、オレがアンリを守りたいと思ったんだ!」
スラリと腰の<双牙>を抜き放つ。
<伝説級>のショートソード。ハーディから預かったものだ。
ハーディが一体どこでコレを手に入れたのか、それは知らないし、そんなことはどうでもいい。この剣を預けてもらったことにより、アンリを脅かす敵をこの手で排除できるようにしてもらったことが大事なのだ。
「うおおおおっ!」
<双牙>を構えたまま敵に突っ込むキース。
「グガッ!」
いきなり突撃してきたキースに面食らうゴブリンソルジャーとホブゴブリン。
<翼の靴>に<疾風の腕輪>を装備しているキースはアイテムに魔力を通すことによって目にも止まらない速度で動き出す。
「ゴブゥ!」
瞬間にゴブリンソルジャーの一体の背後を取ると、その首を薙ぐ。
「ギシャー!」
首を切られ青い血を吹き出すゴブリン。ゴブリンに関わらず魔物は青い血を持つ者が多い。
返す剣でもう一体のゴブリンソルジャーの胴に切りつける。
3体目のゴブリンソルジャーの槍を躱しながら体勢を整える。
「ふうっ!ふうっ!」
今まで森の獣と戦闘を行ったことはある。狩りと言えば狩りだろうか。
そう言った意味では、本気で魔物と命のやり取りを行ったことは無かった。
ゴブリンソルジャーの一体の首を切り、もう一体の腹部を切りつけて二体を戦闘不能に追い込んでいる。
残りはゴブリンソルジャーの一体とホブゴブリンである。
「呼吸を整えろ・・・、後二匹だ・・・」
肩で息をしながら剣を構えるキース。
「ギャギャギャッ!」
「ゴブゥ!ゴブゥ!」
急にキースの動きが変わり、危険を察知したのたホブゴブリンが大きな棍棒を構えて慎重に距離を詰めて来る。
「オレがやりたい事・・・、コイツらを倒して、アンリの命を守る!」
パキィィィン!
キースの握っていた<双牙>が二本に分かれる。その分かれた<双牙>を両手で持ったキースは体勢を低くしてすべる様にゴブリンソルジャーの足元に踏み込むと、両手に握った剣の斬撃で下半身に切りつけた。
「グギャ―――――!」
キースがゴブリンソルジャーを攻撃したことにより、動きが止まる。
その隙を狙ってホブゴブリンがゴブリンソルジャーごと棍棒で叩き潰そうと攻撃してきた。
だが、そのホブゴブリンの攻撃はキースにとっては予想範囲内であった。
ぐしゃっとゴブリンソルジャーをキースごと叩き潰したと思っていたホブゴブリンだったが、「こっちだ」の声に「ゴブゥ!?」と信じられない表情を向ける。
「これで終わりだ!」
振り返ったホブゴブリンが見たのはキースがそれぞれ<双牙>を握った両腕を振り上げて、斬撃を放つ瞬間だった。
ザシュウッッッ!
左右同時にクロスするように放たれた斬撃は見事にホブゴブリンの首を跳ね飛ばす。
首を刎ねられて仰向けに倒れるホブゴブリン。
「かっ・・・勝った・・・」
膝を付き、ゼイゼイと荒い息を繰り返すキース。だが、自分の手で成し遂げたのだ。例えすごい武器や防具を借りたからの成果だとしても、自分の意思を持って自分の求める結果を追い求めたのだ。そして、今その成果を上げることが出来た。
「オ・・・オレはアンリを守る事が出来たのか・・・」
そこへ声が聞こえてくる。
「もうすぐキリングの花が咲いている場所だよ」
「これでお母さんを助けることが出来るのね!」
トンヌラとアンリの二人が無事にキリングの花が咲いている森の奥に到着したようだ。
キースは何とかここから離れようと体を動かすが、体力、魔力ともにかなり使ってしまったのか、体が自由に動かない。
「くっ・・・ここで会うわけには・・・」
そこへハーディがやって来た。
「見事だな。キースの活躍で幼馴染は命を失わずに済んだな」
そう言って<異空間収納>にキースが仕留めたホブゴブリンとゴブリンソルジャーを収納する。
「ギルドの解体出張所へ魔物を引き渡すのが約束だったからな」
そう言って魔物を収納し終わると、ハーディはキースを脇に抱えた。
「さあ、正義の味方は裏方で働くんだ。見つからない様に帰るとしようか」
そう言って素早くその場から消えるのだった。
「見て!トンヌラ! キリングの花が咲いているわ!」
「よかったね!これできっと君のお母さんも助かるよ!」
「ありがとう!本当に貴方について来てもらってよかったわ! 魔物の襲撃も結局なかったし」
「うん、取り越し苦労だったみたいだね。さあ、早く摘んで帰ってお母さんに煎じて飲ませてあげよう」
何も知らず、二人はキリングの花を摘んで帰路につくのだった。
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