第41話 勇者の定義
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ハーディは東へ向かって旅を続けていた。
先日泊った宿は出立が遅れ昼過ぎになってしまっていた。
その日は村長の娘が誕生日とかで、村の子供が大勢集まる予定だったのだが、『ラナの憩亭』は女主人のラナと娘のラミンしかおらず、仕込みや宿の準備でラミンは同年代の友達と遊んだ事は無かった。
それを不憫に思ったハーディはおせっかいかとは思ったのだが、ラミンが予定していた午前中の作業であった「薪割り」と「水汲み」を代わりに済ませてしまった。
宿の水瓶、予備の水瓶、鍋に至るまで<水球>の魔法で綺麗な水を大量に出して満タンに補給し、ラナとラミンを驚かせた。
薪に至っては、用意してあった薪を全て空中に放り投げると自分も宙に飛び、空中で斬撃により薪を全て切ってしまった。
村に確認をとり、ついでに近くの森から木を伐り出してきて、それも薪にしてしまった。
森から伐り出したばかりの薪は乾燥が必要であろうが、ラミンが手斧で一生懸命薪を割る必要は一年以上無くなったと言ってもよかった。
「ゆ、勇者様ありがとう!」
少し目に涙を溜めながら、一張羅であろうか綺麗なワンピースに着替え、急いで花壇の花を摘み、小さな花束を作ってラミンは出かけて行った。
「ハーディさん、本当にありがとう」
昼の食事の仕込みを済ませたラナがラミンを見送ったハーディに声を掛ける。
「大したことはしていないよ」
そう言って自分も荷物袋を肩に背負う。
「あんたが勇者かどうかは知らないけど・・・あんたは素敵ないい男だって事だけはわかってるよ。ずっとここにいてくれって言いたいけど、あんたは世界を旅しなきゃいけないって顔してるから・・・」
ちょっと寂しそうにラナが笑った。
「じ、事実だけど・・・、そんな顔してるかな?」
ハーディはほっぺたをポリポリと掻いた。
「してるしてる」
そう言ってラナがクスッと笑う。
「いつでもいいから、また来て。顔見せてよ。あの子もきっと喜ぶわ」
「ああ、また、必ずだ」
ハーディは手を振って宿を後にしたのだった。
ハーディの東への旅は続いていた。
旅の途中、ゴブリンを狩っては村や町にある冒険者ギルドやギルドの出張所にゴブリンの討伐証明を出して小銭を稼いでいた。
ゴブリンは常時討伐依頼が掛かっているため、ギルドで討伐依頼を受理してから探しに行かなくても、ギルドに寄れば常時討伐依頼の受理票とともにゴブリンの討伐証明を出すだけで完了処理を受けてもらえるのだ。
冒険者ギルド間ではある程度冒険者のギルド実績を管理、共通情報として共有している。
そのため、ハーディがランクを上げる程実績を積まないまま、かといって採取などの依頼は一度も受けたことがなく、常にゴブリンのみを討伐していることは冒険者ギルド間で有名になりつつあった。すなわち、<小鬼殺し>と。
実際のところ、小鬼どころかマジ竜を狩りまくっているハーディである。
現実的に<竜殺し>であるのだが、冒険者ギルド内ではゴブリンしか勝てないから、という馬鹿にした意味を込めて<小鬼殺し>と呼んでいるのだ。
ゴブリンだって徒党を組めば小規模の村には十分以上の脅威になる。
地元の村の人々からすればハーディのゴブリン狩りはとても生活しやすくなる有益な活動になっているのだが、冒険者ギルドの受付嬢や若手冒険者などからはハーディがゴブリンしか相手にしていない事を軽く見て馬鹿にする傾向にあった。
最も、冒険者ギルドにはゴブリンしか討伐証明を出していないからであって、ドラゴンやファイアードレイクなどのAランク、Bランクのような強力なモンスターを買い取りに出していないから実績として残らないため、ハーディが強力なモンスターを倒している事を知らないのだが。
「ここにいるのか・・・?」
王国の東、トーラスの村。
当てがあるわけでもない旅ではあるが、立ち寄った村では常に様々な情報を収集していた。
そんな中、「金の勇者」の情報が上がっていた。
なんでも東の方の村に金の勇者が出現したという話だった。
「金の勇者だとしても、どうだという事はないのだが・・・」
ハーディも自分が赤の勇者だとは思っていない。だから、金の勇者がいる、と言う情報を聞いて、仲間になれだなどと言ってみたり、一緒に旅に出よう、などと誘ってみるつもりもなかった。
だが、勇者と呼ばれた男がどう生活して、何を考えているのか、それはシンプルに興味があった。
「ここがトーラスの村か・・・」
それほど大きな村ではない。
宿屋はありそうだが、もしかしたら冒険者ギルドは出張所も無いかもしれない。
「とりあえず宿を取って食事処でも探すか・・・」
現在は昼過ぎ、まだ宿に宿泊するするには早いだろうが、部屋の空きがあるかの確認はした方が良いだろうとハーディは宿屋を探して村の中央通りを進んで行った。
「どうして手伝ってくれないの!?」
「あ・・・う・・・」
「もういいよ!キース何て!私一人でも探しに行くから!」
そう言って走り出す女性。その場に残される金髪の少年。
ハーディと同い年くらいの、背を少し丸めた気弱そうな感じの少年だった。
「え・・・まさか、あの気弱そうななよっちい金髪君が・・・?」
ハーディは勇者の定義が分からなくなった。
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