第37話 山麓のドラゴン?
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2018/11/18 剣技名が抜けてました・・・修正しました。(ついでに誤字も修正しております)
「次は北の山麓にある村近くか・・・」
身体強化をかけたまま、夜通し移動する事で日が昇る事には山麓の村に着いた。
通常は魔力で身体強化したまま長時間移動することなど通常はすぐ魔力が枯渇してしまい出来ない事なのだが、相当な魔力量に成長したハーディには造作もない事であった。
「さて、村で聞き込みをするか、魔力探知で森を探るか・・・」
これからの行動を思案していたハーディは村の入口近くで畑仕事に出かける村人にばったり会った。
「あれまあ、おはようさん。こげな朝早くにこげな田舎村に着いただか。夜通し歩いたんなら、迷っただか?」
「いや、この村の近くにドラゴンが出ると噂で聞いてね。どんなものかとやって来たんだ。腕試しがしたくてね」
この村もいい人の集まりらしい感じがするなとハーディは思いながら答えた。
「一人でだか?ドラゴンっちゃすげな魔物だってきいてるっちゃね。大丈夫かね?」
「まあ、腕には自信がある方なんだ」
「そんだば、村長に挨拶に行けばいいべ。どのへんでドラゴンを見たか教えてくれるだべ」
「ありがとう」
ハーディは村の中へ入って行った。
「おはようございます、村長殿」
「これはこれは、もしかして冒険者ギルドで依頼を受けてくださった冒険者のかたですかな?」
「いえ、ギルドで依頼を受けてきたわけではないんです。ただの旅の剣士ですが、ドラゴンが出ると噂で聞きましてね。腕試しに来た次第で」
「・・・そうなりますと、ギルドからの褒賞が出ないのでは? この村からもギルドを通じて討伐褒賞を出すことになっておりますので、今倒されても何も恩に報いることが出来ませんぞ?」
「いやいや、こちらはただの腕試しですから。お気になさらず。出来ればドラゴンとやらが出る場所だけ教えて頂ければ結構ですよ」
「それであれば・・・」
そう言って村からさらに北の森の中にある獣道を登って行った先の洞窟にいるとの情報を貰って移動することにした。
「あれか・・・」
身体強化で森を駆け抜ける事30分、山肌にそれらしい洞窟を見つけた。
洞窟内で戦うには些か狭く、派手な魔法は使いにくい。
剣で戦うにも竜の巨体を躱して回り込んだりするには、広い場所で戦った方がいい。
だが、ドラゴンの中でも飛翔能力を持つ者がいる。その場合は巣穴に戻って飛べない所でタコ殴りにするのが竜退治のセオリーだ。
「さて、ギルドでレッサードラゴンと判断した魔獣は、実際のところどのようなものか・・・」
ハーディがそう呟くには理由がある。
ハーディのような、というか元であるが、<皇帝竜>は元より、通常の竜種は人里などに降りては来ない。より険しい山奥に住み、のんびりと生活している者が多いのだ。
だが、雑魚になればなるほど下等生物に近い欲望を持ち、家畜や人間を襲う者が出る。
「今回は亜種か、それとも情報通り下位種なのか・・・」
だが、ハーディは最も可能性があるのは、別の生き物であると思っていた。
ほとんどの種族は竜種を見たことが無い。
そのため大型のドラゴンっぽい生き物を全て竜種と認識する可能性が高いのだ。
例えおとぎ話や物語の中の生き物であると思っていても、伝え聞く情報や挿絵からその姿を想像できる。そして、似通った魔獣はぱっと見すべてドラゴンと認識されてしまう事も往々にしてある。
今回の情報は、その可能性が一番高いと思っていたハーディだが、その洞窟のサイズを見てやはり、とその判断が間違っていないと確信を高めていく。
「<火球>」
ドオオオンッ!
洞窟の上部に<火球>をぶち当てて洞窟を揺らす。
<火球>の無詠唱もさることながら、その無詠唱での威力がハンパない。通常世間一般レベルの魔術師がここにいれば、まず間違いなく腰を抜かすであろう威力であった。
「グガガガガッ!」
振動に驚いたのか、洞窟からのそのそとその姿を見せたのは、ドラゴンのような生き物であった。但し翼が無い。
「ドレイクか・・・、赤褐色の皮膚、ファイアードレイクだな」
<竜の叡智>によれば、太古の時代、ドラゴンの別称がドレイクであり、その呼び名は地域での違いだけであったと言う。だが時は流れ、現在ドレイクが示すものは竜種の中の亜種でもない、完全な別の種別である大型リザードの種族をドレイクと称していた。
現在のドレイクは完全に竜種であるドラゴンとは別の種別であり、ランクとしても完全に格下となる。
最も、太古の時代、ドラゴンをドレイクと呼び崇めて奉って来た地域の人々からすれば勝手にドラゴンより格下の別種族へ名前を付け替えられてしまったようなものだ。気分の良い物ではないだろう。
「まあ、昔の事だから・・・」
誰に言い訳するでもなく、一人呟くハーディ。
背中から王者の剣を抜き放つ。
「さあ、偽竜退治と行こうか」
ドレイクを偽竜と切り捨てたハーディは王者の剣をだらりと構えたままファイアードレイクに向かって歩いて行った。
「グガアアアア!」
ハーディの姿を見たファイアードレイクは口からファイアブレスを吐く。
だが、すでにそこにハーディの姿は無い。
「こっちだ、ウスノロ」
ファイアードレイクの長い首、その死角となる胴体に近い下側に潜り込んでいた。
「【剣技:地昇斬】
ドンッ!
ハーディの凄まじい踏み込みに大地が揺れる。そして右腕で握った王者の剣を左下から右上に振り上げる。そして左手を自分の右手に掌底の様に当て、加速させる。
ズバンッ!
物の見事に剣閃はファイアードレイクの首を切り裂く。
ズルリと首が落ちたファイアードレイクはその場に崩れ落ちた。
落ちた首と胴体をそれぞれ別に<異空間収納>に収納して村に戻った。
「なんと・・・本当にあっさりと」
討伐したファイアードレイクの首と胴体を<異空間収納>から取り出し、村長に説明していく。
「村長殿。これはドラゴンではなく、ドレイクという種族です。その中でも凶暴性の高いファイアードレイクでした。竜種ではありませんでしたが、危険な魔獣ですので、討伐できてよかったですね」
にこやかに説明するハーディに村人たちも驚きが隠せない。
なにせ、竜だと思っていた魔物である。討伐隊として荒くれ者の冒険者が何人も来て狩りに出るのだとばかり思っていたのだ。
それが、とてもスラッとした若い剣士。
これが本当の事なのかとすぐには信じられない者も多いのだが、目の前の首を切られたファイアードレイクを見れば、信じないわけにもいかなかった。
「申し訳ないですが、胴体は回収させて頂きます。首は討伐証明が必要ですから置いていきます。牙は冒険者ギルドに出せば高値で買取されると思いますが、ギルドに討伐依頼を掛けている場合は、大至急依頼の取り下げを行ってください。牙を買い取りに出せば、討伐証明にもなりますので依頼取り下げに応じるかと思います」
「いや・・・それはありがたいのですが、討伐証明を置いていってよろしいのですかな? ギルドに出せば、依頼はともかく、討伐実績にはなるでしょうに」
村長がハーディに本当にいいのかと尋ねてくる。
「いやいや、私はただの旅の剣士。気にしないでください。それに、討伐依頼を冒険者ギルドに出している以上、取り下げるには討伐証明が無くては信用されないかもしれませんからね。取り下げるとともに買い取りに出せば一石二鳥ですよ。あ、討伐依頼の費用も手数料だけ引いて戻って来るから一石三鳥ですね!」
ハーディの屈託のない笑顔と欲のなさに、村長や村人たちは開いた口が塞がらなかった。
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