第30話 ハーディ実力の一端を開放する事
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また、本日は執筆三ヵ月達成記念ということで、「魔王様にテンセイ!」「ドラゴンリバース 竜・王・転・生」「転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?」の三つの物語を全て更新したいと思います。第二段はこのドラゴンリバース 竜・王・転・生」です。まおテン、まさスラともどもよろしくお願い致します。
「ば、なかな・・・!」
「何だあの女の呪文!」
「信じられない火炎の竜巻だったぞ!」
「バケモノか!」
「さすが「魔女」の異名を取るだけある・・・!」
受験者たちのざわつきが止まらない。
それもそうだろう。未だかつてこの呪文威力判定の的が壊れたことなど、一度も無いのだ。
それほど土の精霊師フォビドゥンの作る魔法のゴーレムは性能が高かった。
「し、信じられん・・・」
「あの、女・・・ホンモノですわ・・・」
「さすが、「魔女」か・・・」
サジタール侯爵家次男のランデル・フォン・サジタールと取り巻き達、そして、貴族の子息たちは「魔女」の放った桁違いの呪文に魂を抜かれたかの如く唖然としていた。
「ま、まさか・・・5つとも破壊されるとは・・・」
フォビドゥン先生は自分の作ったゴーレムが5つとも破壊されるとは思っていなかったらしく、砕けたゴーレムの破片を手に取っている。
「ふむ・・・、瞬間的な衝撃に対する防御力を高めてゴーレムを作ってあるが、まさかダメージを持続するような魔法でゴーレムを攻略するとは・・・まいったね」
フォビドゥン先生は手から破片をパラパラと落として言ちる。
金髪をガシガシと掻くと、試験官に伝える。
「後は彼だけだよね? ちょっと彼の力を見て見たいので、特別なゴーレムを持ってきてもいいかな?」
「え・・・?特別なゴーレムですか?」
「そう、5つの呪文の威力判定用ゴーレムは全て壊れてしまったからね」
ニヤリと笑うフォビドゥン先生。
とうやら何か企んでいるようだ。
「そうですね・・・壊れてしまったものは仕方がないですしね。受験者のハーディ君はそれでいい?」
一応承諾の確認をしてくる試験官。
(先ほどフォビドゥン先生は予備もあるから壊しても構わないと言っていたはずだが・・・)
ハーディは右手で顎を触りながら、少し逡巡する。
(ははっ・・・無粋!)
ここで文句を言ったりすることも出来るのだろうが、フォビドゥン先生は自分に期待しているのだろうから、態々違うゴーレムを用意しようとしているのだ。その期待を無視する事はあまりにも無粋。
「もちろん構いませんよ・・・、壊れてもいいのなら・・・ね」
少しばかり不遜な雰囲気を醸し出すハーディ。
「おおっ!いいねいいね!それじゃあ勝負と行こう!」
屈託のない笑顔で嬉しそうに試験そっちのけで勝負などと言い出してしまう土の精霊師フォビドゥン先生。
「フォビドゥン先生・・・一体勝負とは・・・」
「まあまあ、カンナ先生。正直、彼の見識はもう生徒レベルではないと思いますよ。ある分野ではボクも下手すると教えを乞いたいくらいなんじゃないかなあ」
「えええっ!?」
「まあ、後は実技でどんな呪文を見せてくれるのか楽しみにしてるけどね」
おしゃれにウインクを決めるイケメンなフォビドゥン先生はいそいそと自分の研究室から最強のゴーレムを持ってくるべく校舎に戻って行った。
「ちょっとハーディ! 大丈夫なの?」
「大丈夫も何も、そのゴーレムを見てみない事には何とも言えないね」
「合格できるんでしょうね? クラリスが落ちるはずないから、アンタだけコケるなんて許さないわよ?」
「判定の方法が変わるからね。ゴーレムが来た時に聞いてみないとね」
「はあ・・・アンタ本当に余裕ね・・・」
イザベラはハーディの泰然自若とした雰囲気に溜息を吐いた。
「お待たせ!さあ、これが僕の作った最強のゴーレムだよ!」
嬉しそうにフォビドゥン先生は2mくらいあるがっしりとした人型のゴーレムを連れて来た。
「これは・・・ストーンゴーレムではないですか、土のレベルではないですね。これほどのレベルのゴーレムを操るとは・・・」
ハーディは素直に感心した。
実際、竜王ハーデスだった頃は、ストーンゴーレムよりも上位のアイアンゴーレム、さらに上の素材で作ったミスリルゴーレムなどと戦ったりした事もあるのだが、ハーディに転生してからこれほど高度な魔法制御を見たことが無かったので素直に感心したことをフォビドゥン先生に伝えたのだった。
「いやはや、君にそんなに感心してもらえると本当に自信が出るよ」
とても嬉しそうに語るフォビドゥン先生。
「それで、我はどのようにすれば合格を貰えるのでしょう?」
「基本はどのようになっても私が推薦するけどね。私のゴーレムを壊せば文句なしだよ。傷をつけても合格間違いないね」
「それはわかりやすいですな。本当に壊しても良いので?」
「うん、実は、このゴーレム、国の魔法技術院の研究でも全く傷がつかなかったんだ。だから相当耐久性があるのは間違いなんだよね」
「「「ゲエッ!」」」
「魔法技術院!?」
「マジかよっ!?」
「正しく最強のゴーレムじゃん!」
周りの受験生たちがざわめき出す。
ハーディは改めてストーンゴーレムを見る。
(ふむ、表面の魔法処理は一見の価値があるな。かなりの工夫だ。そして石自体も磨きながら魔力コーティングを施しているため、まるでアイアンゴーレムの様に表面が磨き上げられている)
「どうだろう? 早速テストしてみないか?」
「いいですよ。それで提案があるのですが」
「どんな提案だい?」
「今まで傷が一度も付いていないという事ですので、少しずつ威力を上げて行ってもよろしいでしょうか?属性も変えてみるのも面白いですね」
「おおっ!いいね!ぜひ試してくれたまえ!」
「それでは早速始めて行きましょう」
そう言ってハーディはゴーレムから距離を取る。
周りの受験生や貴族の子息たち、果ては教師たちも何人かが見に来ていた。
「まずは・・・光よ、穿て!<光の矢>」
ハーディがまっすぐ伸ばした右手の人差し指から光の矢が飛び出し、ストーンゴーレムに直撃する。
パアン!
光は弾け飛び、<光の矢>が消え去る。
「さすがですね」
フォビドゥン先生は嬉しそうだ。
「やはり勇者などと言われてもそれほどではないと言うことだ」
貴族の子息たちがハーディ批判で盛り上がる。
「では同じ属性でランクを上げましょう。光よ!我が手に集まり、敵を穿て!<閃光の投擲>」
今度はハーディの右手から先ほどの数倍の光が溢れストーンゴーレムにぶち当たるが、光が四散してもストーンゴーレムには全く傷が無い。
「・・・すばらしい」
フォビドゥン先生は興奮を抑える様に呟く。
「さすがフォビドゥン先生のゴーレムだ!勇者なんざ目じゃねーよ!」
侯爵家次男のランデルは息巻くが、その取り巻き達はハーディの光の魔法に腰が引ける。
「あれほどの威力の<閃光の投擲>など見たことが無い・・・」
試験官担当のカンナ先生は内心度肝を抜かれていた。
カンナ先生の専門担当は魔法学だ。
カンナ先生自身も<閃光の投擲>を放つことは可能だが、あれほどの威力にはならない。
ハーディは右手で顎を擦りながら思案する。
「火でも土でもあまり効果は望めなさそうですね。では・・・天空にあまねく精霊たちよ、我が声に応じ、彼方よりその力を解き放て!<雷撃牢獄>」
強力な雷がストーンゴーレムに降り注ぐ!
ドガガガガ――――ン!
「うおおっ!」
「あれほどの雷を操るだと・・・!」
「信じられん!」
だが、濛々とした土煙が納まると、ストーンゴーレムは微動だにせず立ち続けていた。
「さすがフォビドゥン先生のゴーレムだ!」
侯爵家次男のランデルだけが浮かれているが、その他はストーンゴーレムのすごさもさることながら、とてつもない呪文を事も無げに繰り出すハーディの底知れぬ実力に驚いていた。
「どうだい?ハーディ君。私の作ったストーンゴーレムは」
フォビドゥン先生は少し得意げに聞いてくる。
「まったくもって素晴らしいですね。もうすでに強度はアイアンゴーレムの域にあるでしょう。その上で表面の魔力コーティングは必見の仕上がりですよ」
ハーディの掛け値なしの誉め言葉にフォビドゥン先生は満足そうに頷く。
「これ以上は確実にストーンゴーレムを破壊するレベルの魔法になります。これほどのストーンゴーレムをもう一度作るのはかなり労力がいると思われますが・・・」
「はっ!ダセーぞ!出来もしないことを言って逃げるのはな!」
ここまでストーンゴーレムに傷をつけられていないハーディの言葉を鼻で笑うランデルを無視してハーディはフォビドゥン先生の回答を待つ。
「ちなみに、君はどう壊すつもりだい?」
フォビドゥン先生が興味ありげに聞いてくる。
「そうですね・・・、超強力な火炎呪文で超高熱に晒し、石の融点を超えて熱をかけ、石を溶かす方法、水龍の召喚を持って圧倒的な水圧で吹き飛ばす方法・・・この場合は吹き飛んでもゴーレムがまだ稼働する可能性はあります。後は、加圧した圧倒的魔力で押しつぶす魔法ですね。もし実際にこの後破壊を対象とした呪文を使うなら、あまり周りに影響が出ない様に加圧の魔法を使います」
フォビドゥン先生は少し考え込む。そして、
「わかった、やってみてくれたまえ。壊れればその過程を見てまたより良い物を作り上げるスタートラインに立てるよ」
そう言って笑うフォビドゥン先生。
(なるほど、一度の功績にしがみついてその場に留まる様な人では無い様だ。ならば遠慮こそ無粋!)
「わかりました、大変申し訳有りませんが、きれいさっぱり粉々にして見せますよ?」
ハーディがニヤリと笑う。
「はっ!口ばっかりの卑怯者め!」
侯爵家次男のランデルが吠えるが、もはや取り巻きさえもランデルを相手にしていない。
ランデル以外のこの場にいる人間はハーディの持つポテンシャルがとてつもない事を肌で感じている。
「それでは行きますよ?」
「よろしく頼む」
フォビドゥン先生が真剣な顔でハーディに頭を下げる。
ハーディはストーンゴーレムに対峙すると、少し腰を落とし、右手を頭上に掲げる。
「ディバイス・エンド・トレールリング! いにしえの精霊よ、神名により古き契約を行使しその力を持て示せ!<超重力場>!」
「ま、まさか・・・! <失われた古代魔法>なのか・・・!」
ハーディの体が雷を纏い突き出した右手の平から膨大な魔力が放たれる。
ストーンゴーレムを中心に半径5mのサークルを描くように力場が発生し、その力が行使される。
スドドドドドドドドォォォォォォォォン!
地面の強化とともに、ドーム状の力場から加圧された圧倒的な魔力がストーンゴーレムを押し潰す!
ストーンゴーレムは足からひびが入り粉々に砕け散っていく。
「・・・・・・!」
フォビドゥン先生は瞬きすることも忘れ食い入るように見つめている。
「ばかなっ!」
侯爵家次男のランデルが信じられないと言った表情で絶望する。
「さっすがハーディ!」
イザベラがジャンプして喜びを表した。
スカートが短いため、余分な視線を集めている。
そしてハーディは呪文を解除する。
そこには正に粉々になったストーンゴーレムの破片だけが残されていた。
「・・・まいったよ、私の完敗だ。ハーディ君見事だった。君の実技は100点満点の内1万点くらいあるかな?」
おどける様にフォビドゥン先生は握手を求めてくる。
「恐縮です」
しっかりとフォビドゥン先生の右手を握り返し、ハーディは微笑むのであった。
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(自分で愛称呼んでます(苦笑))
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