第28話 入学試験開始!
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元々王立高等学校は王都にあった。だが、規模が大きくなり王都の学院では手狭になってしまった。だが王都は学院の土地もそれほど広くなく改築するわけにもいかなかった。
そこで王国は王都から離れた第二の大型都市、その名も城塞都市カルバリッサへ大規模な王立高等学校の設立を決めた。そのため、上級貴族の跡取りなどもたくさんやってくる。もちろん跡取りだけではなく次男三男、女子ももちろん箔をつけると言う意味でも大勢やってくる。そして、冒険者科もあるこの学園は平民もたくさん通ってくる。
貴族と平民のいざこざも無いわけではないが、逆に貴族の子供たちも平民の子供たちも人脈強化と言う意味合いを持ってやって来ている。特に商人を目指す平民はその傾向が強かった。そして冒険者を目指す者も貴族との繋がりがやはりあった方がよいと考えている物も多い。そういう側面もあり、学園に通いたいと思う人は多い。そのために選抜の試験があり、その門は平民で2割を切るとの話もある。
・・・貴族側の入学率がどれほどのものか不明だが。
「ねえねえ、ハーディ! 座学の試験どうだった?」
クラリスが試験会場を出て来てすぐ、廊下を歩きながら聞いてくる。
「まあ、大体できていると思うが」
「さっすが、ハーディだね! 私も大体書けたかな」
ニコニコしながらハーディに告げるクラリス。
イザベラもそうだが、学校に通って学んだこと以外に、トーリに頼んで王立高揚学校の過去試験を手に入れてもらっていたので、それを見ながら勉強した。
何でもトーリの知り合いに教会の偉い人がいるらしく、王都の資料館に保管してある過去の王立高等学園の試験問題集を写して送ってもらうことが出来たのは本当にラッキーだった。
「何よ、二人してニコニコと」
続いてイザベラも試験会場から出てくる。
終わったら提出して出てきても良い、というシステムなのだが、大勢が試験を受ける中、圧倒的早さでハーディは試験を書き上げ提出して試験会場を出て来た。
あまりの速さに会場がもうあきらめただの、投げ出しだだのざわつき始めたので、試験官が注意する一幕もあった。
そしてざわつきが納まったと思ったらクラリスが試験を提出して会場を出て行ってしまう。
滅茶苦茶美人のクラリスがあっさりと提出して出て行ってしまう姿を見て、一部男子から悲鳴にも似た叫び声が上がる。
「コラッ! うるさいと試験失格にするぞ!」
そしてざわめき止まぬ中、イザベラもが提出して出て行ってしまったのであった。
「ねえ、お昼ご飯早めに食べようよ!」
そう言って後ろ手に持っていたお弁当箱をじゃじゃーんと取り出すクラリス。
ハーディは一瞬とんでもない物を食べさせられた昔の記憶が蘇り冷汗が流れるが、その後タニアやニーナの教育もあり、クラリスの料理の腕は格段に上がっていた。
今でも食卓にクラリスの作った1品が出ることもあり、その時はクラリスに「ハーディおいしい?おいしい?」と半ば強制的においしいと返事が出るまで詰め寄られてしまうのだが、決して悪い気はしていない。
「ハーディ!私もお弁当持ってきたわ・・・といっても安心していいわよ。このお弁当は我が家の料理人が作ったものだから」
そう言って三段重ねのような立派なお重箱を出すイザベラ。
「おお、それもまたうまそうだな。それではどこか座れるところを見つけて食べようか」
「「うんっ!」」
そう言って三人で並んで中庭の方へ移動した。
「お前らか? あっさりと諦めて試験答案を出して出て行ったってのは?」
三人でお弁当を広げて食べていると、なにやら訳の分からないことを言ってくる三人組がやって来た。ハーディたちと同じ三人組だが、男が二人で女が一人という構成だ。
「何の話だ? というか、我に何の用だ?」
ハーディは行儀悪く焼いた肉を頬張りながら聞いた。
「ハーディ?お口に物を入れたまま喋るのは行儀悪いよ?」
クラリスが苦言を呈す。
「おお、そうだな・・・ごっくん。で、何の用だ?」
「お前ふざけんなよ! 俺が誰だか知ってるのか?」
「いや、知らんが。どっかで会ったか?」
「うわっ、コイツバカだな。サジタール侯爵家次男のランデル・フォン・サジタール様を知らないとは」
「無知とは罪ですわね」
取り巻きらしき男と女がそれぞれ馬鹿にしたように言う。
クラリスとイザベラはハーディが馬鹿にされたと思い、血相を変えて立ち上がろうとするが、それをハーディが止める。
と言っても、食事で止めたのだが。
「いや、クラリス手作りのこの卵焼き、最高だね!枕と同じサイズでも食べきれるよ! イザベラのお重のお弁当もうまいね。この肉団子の味付け、素晴らしいね。長靴いっぱい食べたいね!」
訳の分からないセリフもあるが、とにかくやって来た三人を無視して食事を続けるハーディ。
「お前!何食べてんだよ!俺が話しかけてやってるのが分からないのか!」
怒鳴り散らす侯爵の次男とやらをじろっと見るハーディ。
「だから、何の用だと聞いている。用を告げないのはお前の方だろう。我は昼をしっかり食べて午後の実技試験を受けるのに十分な体力をつけねばならんからな」
「何だと!」
驚愕の表情を浮かべる次男坊。
「何だ?何か問題でもあったか?」
「午後の実技試験も受けるだと! 午前の座学試験を放棄しておきながら?」
「んん?座学試験を放棄?」
ハーディは意味が分からんと首を傾げる。
クラリスもイザベラも目を合わせてるが、何を言われているかわからないと言った表情だ。
「座学の試験答案を諦めてさっさと提出してしまったろう! おかげで会場は変な雰囲気になってしまったんだ。さっさと諦めて記念受験などするつもりの奴は迷惑なんだよ!」
勝手にテンションを上げて怒鳴り出す次男坊にハーディは閉口する。
「正しく持って意味が分からんな。我らは誰も試験を諦めていないが? どこからそんな諦めたなどと言う世迷言を繰り出す?」
「な・・・なんだと!? あんなスピードで問題を解けるわけがないだろうが!」
「何を基準にお前が判断しているのかは知らぬが、お前の常識だけで、物事を測るのは早計というものだ」
嘆息しながら返事を返すハーディ。
この次男坊はあまりに早く回答用紙を提出したこの三人に文句を言いに来たのだろうとハーディはやっと理解する。
「ふざけるな! お前たちが常識を語るなど笑わせてくれる!」
腕を組み、ふんぞり返る様に偉そうに笑う次男坊。
いきなりハーディが立ち上がり、次男坊の前に立ち、睨みつける。
「な、な、なんだ!」
ビビッてしまい、一歩引いてしまう次男坊。
「こんなところでゴチャゴチャ言っていても仕方あるまい? 午後からの実技試験をみておればよいであろう? この王立高等学校は実力主義と聞いている。入学試験もそうであろう。最も貴族たちがどうかは知らぬが?」
「な、なんだと・・・!」
「我々貴族の受ける試験は実力ではないと言うか!」
「何たる不敬!」
スッとクラリス、イザベラがそれぞれハーディの横に立ち、喚き散らす三人を見据える。
「な、なんだよ・・・」
二人の迫力にさらにビビッてもう一歩下がってしまう次男坊。
「ハーディが今言った通りですわ」
「そうね。午後の実技試験を見ればわかる事」
「ぐうっ・・・」
「ま、最も君たちは貴族なんだろうから、午後の試験では会えないかもしれないけどね」
「いいだろう! 俺たちは試験の順番が速いんだ。さっさと終わらせて貴様ら平民の試験会場に足を運んでやろう!」
「最も魔術の鍛錬をしてきた我々とは雲泥の差でしょうけど」
「我々の実力を見せられないのは残念だが、見てしまって委縮してもらっても困るからね」
へらへらと笑う三人。
「では午後に」
そう言ってさっさと歩いて行く三人を見送り、やっと食事の続きが出来るとハーディが再び座る。
クラリスが水筒からお茶を入れてくれる。
人心地ついたハーディはクラリスとイザベラとの昼食を楽しむのだった。
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